辞書を編む (光文社新書)

著者 :
  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334037383

感想・レビュー・書評

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  • 国語辞典をつくる際、どのような過程でつくられているかご存知だろうか。辞書をつくるにあたり、ことばを収集したり語釈を書くために街を歩きまわっている人たちがいる。その人たちのことを「編纂者」と呼ぶ。この本は編纂者の著者が辞書をつくる際の苦労を語っている。この本を読み終わったら国語辞典を読んでみたくなります。

  • 実は有名な「船を編む」未読なのですが、こっちが気になってしまい先に手を取りました。
    辞書を作ってる人=言葉のプロ、だとずーっと思っていて、どうやって作ってるのか具体的なことは全くわからないけど、日本語の研究者達が室内でコツコツやっているんだろうなーなんて思っていました。
    この本を読んで、変化し続ける言葉を外で地道に集めてきてるのか!とびっくりしました。
    最初は楽しくてもよっぽどの根気と愛がないと、すぐ挫折しちゃいそうなくらい地道な作業なんですね、、、編纂者の方々には頭が上がりません。

    時代と共に変化する生の言葉を一つ一つ見つめながら、細やかに手を入れることで辞書が出来上がっていく、素晴らしいお仕事だと思います。

    学生時代から大分時間も過ぎ去りまして、紙の辞書を手に取る機会はめっきりと減ってしまいましたが、そんな今だからこそ新たな気持ちで紙の辞書をめくるというのも楽しいかもしれません。
    目当ての言葉の前後に載っている言葉がまた新しい出会いなる、これも紙ならではですしね。

    ところで、読書家の方は辞書を読むって本当なんでしょうかね。

  • 楽しくてためになる!

    ことばおたく(褒めてます)な著者の日常はことばに対するアンテナがぴんと張っていてとても素敵!本文の一文一文の重み、行間から感じられる著者の誠実で謙虚な人柄にも心惹かれました。

    そして、もっとことばに敏感になろうと思いました。まずは、辞書を隈なく読みたいです。

  • 辞書編纂の裏側をウィットに富んで書かれていて面白かった。著者の辞書編纂という仕事に対する愛情、情熱が伝わってきた。

  • 三省堂国語辞典の編纂者による辞書作りの内幕。国語辞典なんてどれでも一緒と思っていたが、取捨される言葉、その語釈など、それぞれに持つ特徴があることを知り、早速、各辞書を立ち読みで比べてみた。結果、実用上は何冊もの辞書を持つ理由はないが、知識欲を満たす意味で複数の辞書を購入する意味はある。それだけ言葉の世界は奥深い。

  • 著者は「実例主義」の国語辞典の編纂者。実例主義とは、文学作品などの(権威ある?)文献には現れなくても、広告などで巷に溢れており、一般的言葉は積極的に載せていこうという方針。

  • 20140628読了。
    一昨年大ヒットした『舟を編む』の現実版。
    辞書編纂にまつわるあれやこれやがわかりやすく書いてある。
    今まで国語辞書を選ぶ時、何で選んでいたかというと、特に基準はなく、なんとなく。大きさであったり、収録語数であったり。
    言葉を説明するとき、できるだけ簡単な言葉で言い換えるというのはできるようでなかなか難しい。難しい言葉を難しい言葉で説明するのは簡単なことなのだが、小学生にでもわかるような言葉で説明する難しさを痛感する。
    しかし、これを読んで辞書編纂にはたいへんな苦労があるということがわかったのはもちろん、どんなポリシーでその辞書が編纂されているのか、その辞書がターゲットにしているのはどんな年代なのか、それぞれに違うということが認識できたので、今後は内容を見比べて本当にじぶんにあっている辞書を選びたいとおもった。
    しかし、電子辞書、ネット辞書全盛のこの時代、紙の辞書をあえて選ぶ理由はなんだろうか。

  • 三省堂国語辞典の編纂に関わる飯間氏が、その改訂の過程を、丁寧に著した本。
    言葉に向き合う飯間氏の真摯さがひしひしと伝わってくる良著です。

    いわゆる誤用も、「誤り」とばっさり切り捨てるのではなく、日本語の変化、派生の仕方の一つととらえるなど、「今の」日本語の姿を的確にとらえようとする姿勢がよくわかります。

    辞書には、言葉の「かがみ」としての2つの役割があって、そのうちの一つは「鏡」、つまり、日本語を映し出すもの、もう一つは「鑑」、つまり、日本語の規範となるものですが、三省堂国語辞典は前者の「鏡」であることを、より強く意識している、とのこと。
    言葉は日々変化することを考えると、そのことに強い共感を覚えました。

    それにしても、現在の三省堂国語辞典の基盤を作り上げた見坊豪紀は凄い人ですね。
    この本からも、そのことがよくわかりました。

  • 辞書は中学生でも分かるように書く、というのが三国(三省堂国語辞典)のポリシーらしいが、この本も分かりやすい文章で書かれていてとても読みやすかった。込み入った内容もあるのに、シンプルな文章のおかげでまったく苦労を感じない。見習いたいと思った。
    辞書の編纂作業のあらまし、が主な内容だが、こぼれ話や編纂にかける思いを記述した部分に著者の温かい人柄が感じられた。

  •  国語辞典の編纂に関しては①用語の発掘・用例採集調査、②加えるべき言葉の判定会議、③語釈の文章考案、④取捨選択など手を入れる行為などの局面から詳細に説明があり、三浦しおん「舟を編む」の世界が現実であることを示してくれる。それにしても辞書の編纂者がこんな苦労を抱えているとは夢にも思わなかった。例えばキャバクラという用語の意味を実体験するために実際に店に入るなど・・・。三省堂国語辞典:通称「三国」の特徴は何よりも「中学生にも分かる説明!6万語」、新明解の特徴その他辞書にはそれぞれの強みがあり、読み比べによってその思想の違いを実感してみると実に楽しそうである。新しい言葉でなくとも洩れている盲点のような言葉も確かにあるのかも知れない。「んーん」「あーあ」などは確かに有り得る!デジタル化の時代になり、新しい悩みが出てきていることも分かる!

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著者プロフィール

香川県生まれ。国語辞典編纂者。『三省堂国語辞典』編集委員。新聞・雑誌・書籍・インターネット・街の中など、あらゆる所から現代語の用例を採集する日々を送る。著書に『辞書を編む』(光文社)、『辞書に載る言葉はどこから探してくるのか?』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『辞書には載らなかった不採用語辞典』(PHPエディターズ・グループ)、『辞書編纂者の、日本語を使いこなす技術』(PHP研究所)、「日本語をつかまえろ!」シリーズ(金井真紀・絵 毎日新聞出版)など。

「2023年 『けいごって しってる?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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