「育休世代」のジレンマ 女性活用はなぜ失敗するのか? (光文社新書)

  • 484人登録
  • 3.75評価
    • (35)
    • (51)
    • (36)
    • (15)
    • (1)
  • 71レビュー
著者 : 中野円佳
  • 光文社 (2014年9月17日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (349ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334038168

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
佐々木 圭一
三浦 しをん
伊賀 泰代
有効な右矢印 無効な右矢印

「育休世代」のジレンマ 女性活用はなぜ失敗するのか? (光文社新書)の感想・レビュー・書評

  • 自分と同じ世代の女性・現役ワーキングマザーが書いたということで気になり、購入。少しずつ読んで、読了。
    あーなるほどなあ。わかるわあ。という内容が多数。

    私は転職してるのもあって比べにくいけど、完全にやりがい重視で就活した。女性の働きやすさがないとわかっていながら。のちのち転職するし、それまでがんばろう!くらいにしか思ってなかった。そしてやっぱり訪れた、「ああはなれない」「なりたくない」思ってしまうような、子育てと仕事の両立なんて非現実的だというロールモデル。
    やっぱり早く辞めようと思うのに決定的だった気がする。
    本書でも何回か出てくるように、「そこまでして働く価値はあるか」ってかなり思った。結婚相手もいない時やったけど、この会社でずっと働いていく自分は全く想像できなくて辞めた。
    「まだその問題に直面してないのに逃げてるんじゃない?」って上司から言われたことが忘れられん。その人は女性総合職に理解があって色々がんばってくれてたけど、直面してなくてもわかるだろうよ。誰がどう見たってムリやん?って思ってしまった。
    私もアマちゃんやったかもしれん。

    ・・・と、この本読みながらそんなことを思い出した。
    これからほんまに妊娠・出産したら、たとえ公務員で恵まれてるっていっても色々あるやろうと思う。でも世の中のワーキングマザーはみんな似たような思いを抱えてると思うとがんばれるのかも。

    すごくたくさん資料やデータが載せられてて根拠が明確だったけど、インタビューする人に偏りがあるなあと思った。旦那の年収1000万オーバーなんて人そうそういないと思うので、もう少し低所得で「共働きじゃないとやっていけない」という女性の声も載せてほしい。

  • 2015.5.18読了。
    読みはじめは、「バリキャリの話かあ…」と、自分とは遠い世界の物語のように感じたが、出てくるエピソードが「分かる、わかる!」というものばかりで、一気に読んでしまった。
    私自身、育休を3年まで延長!とか、女性手帳を交付しましょう!とか、的外れな政策が出てくる度にちょっとカチンときたりしていたので、WMのおかれた現状をこれでもか‼と言わんばかりに書いてくれた著者に、心から感謝したい。
    私自身は、著者の言うところの女性向きの職場に入り、ゆるゆると頑張っているが、それでもなぜこんなに「申し訳なく」産休を取り、「申し訳なく」子供がまだ乳離れもしないうちに仕事に復帰し、「申し訳なく」子供の突発的な病気で仕事を休み、「申し訳なく」旦那に休みを代わってもらい…と、身も心もすり減っていくんだろう?とずっと疑問に思っていたが、この本のおかげでずいぶん解決した。
    本の最後で、著者が今後取り上げたい研究テーマに挙げていたものも、とても興味がある。続編も期待したい。

  • 著者が1984年生まれで同い年、ワーキングマザーの書いた本ということで手に取ってみました。

    勉強もできて、大企業の総合職に就いて、晩婚・少子化が進む現代においては比較的早く結婚して出産もした。
    言ってしまえば「勝ち組」のバリキャリ女性たち。生め、育てろ、働け、の全てをこなす“スーパーウーマン”たちは、はたして偉い人たちの言うように輝いているのか?というと、既存の企業のシステムや世間が求める「母親像」などに苦しめられたりして、実はボロボロだったりする。
    …とはいっても食うに困っているわけでなし。こんなことは贅沢な悩みだ、私たちの苦労なんて苦労じゃないよね。…と、ものわかりが良く声をあげない彼女たちに対し、著者は言います。

    贅沢だとか、あんたたちはどうせ勝ち組だとか、人は言うかもしれないけれど。
    同じ立場の男性たちは全く経験しない苦労を味わっていることを、隠してはいけないのでは?
    最終的に「女だから」「男だから」という言葉しか残らない不平等がある。悔し涙があり、憤りや生きづらさを感じたということ。そういう気持ちに誰も寄り添ってくれない世の中ってのはおかしいのではないか。つらいって言ってもいいんだよ、私たちだって。
    (これで終わりません。)
    というかむしろさ、勝ち組なんだからさ、エリートなんだからさ、私たちが感じた理不尽を出発点に私たちが社会を変えて行くんだよ!涙拭いたらやることやるぞ、おまえら!

    という感じの、優しうて後に強し、なアツい本です。

    ※勝ち組とかバリキャリとかって言葉はキャッチーだしイメージがわきやすいから本書でも使われていたように私もここで使っているけど、なにかと議論を呼ぶ言葉ですね。ま、それはここでは割愛。


    アツいといっても想いだけが空回りということもなく、どういう構造がこういう現象を引き起こすのか?といったところの分析がとても丁寧です。それもそのはず本書は著者が育休中に大学院で書いた論文を出版用に書き直したものなのだそうで。新書とはいえ「流行の話題と上手いタイトルが目を引くが1章だけでほぼ言い終わっててあとは薄味」みたいなことになっておらず、頭からつまさき、指先まであんこみっちり。その点だけでも感服の力作です。

    以下、備忘メモ。

    ■「育休世代」という定義
    ・均等法施行から何年とよく語られる、施行直後の世代とはまた違う苦労があるよねという差別化。
    ・各種制度も整ってきて、昔に比べたら恵まれている。だけど!同じ女としての苦悩があるよね。

    ※この、「私とあなたとで状況は違う、お互い羨んだり妬んだりという気持ちを持つことも正直あるかもしれない、だけど、実は共感し合えるところもある、そこを出発点に、建設的に物事を変えて行く話をしようよ」っていう主張は、本書全体を通して、ある。世代間、未婚・既婚、子供のいるいない、出産後仕事を辞めたか・続けているか、さらには復職者同士でさえ、あの人は親と同居だからとか、シッターまで雇ってるとか、旦那さんがどうだとか・・・そういう対立構造、意味ないよね、と。

    ■高学歴で大企業の総合職、バリキャリ女性15人だけにインタビュー対象を限定していることについて
    ・著者自身がそうだから、自分の友人やその友人などをインタビュイーにしたようである。彼女たちの発言の引用を見てもかなりくだけた口調なので、いろんな発言を引き出せたであろうことは伺える。
    ・それはそれで強みでもあるが、同じ手法で別のグループの人たちを対象にこの研究をするのは難しそうだなあと思った。たとえば「絶対に家事をしない夫たち」の気持ちとかすごく聞き出したいのだけど、この著者には語ってくれなさそう(笑)。
    ・また、そんなバリキャリ女性は世の中の少数派だという批判に対しては、「そう... 続きを読む

  • 育休世代とは、両立のための制度が整った後に育休取得する世代、生まれでいえば、1978年以降の人々をさすという。

    この世代は、1. 自己実現プレッシャー、2. 産め働け育てろプレッシャーの板挟みにあうという。

  • 同年代のWM中野円佳さんが修士論文を元に新書に纏め直した一冊。
    産休前からモヤモヤしていた不安が理論だてて分析され、代弁されるかのようなスッキリ感。
    高学歴勝ち組のバリキャリ女性がなぜ出産を機に辞めるのか、育児支援制度が活かされないのか。

    「働き甲斐への執着」は女性達を苦しめる。やりがいが無ければ子供を長時間預けてまで働く意味はないと感じ、しかしやりがいがあるような高付加価値の仕事を得るには時間的制約や犠牲にするものが大きすぎる。
    私も専門性の高い職種につけなかったことに焦燥し危機感を持っていたのはこのことから。
    自分は著書でいう産後一番退職しやすいマッチョ思考型だった。
    「男性と同等以上に競争し、男並みに働くことを求める一方、仕事意識の高い男性を夫とし、結果として家事育児も自分で担うこととなる。」
    「やりがいの無い仕事と育児の両立に葛藤したり、支援制度を利用することを躊躇いがち」

    というわけで、考え方を軟化しないと。

    休職期間や時短勤務に対して抱く申し訳ない感。でも「男が男使って仕事してるんだから、女が女使って仕事してもいいじゃん」という共働きの旦那さんの言葉は目から鱗。
    男性が家事育児を妻に押し付ける男性的働き方をするのであれば、女性が社内制度を利用して割り切って仕事してもいいじゃないか。

    働く女性の貧困問題とは違うし、仮に辞めても食えていけないことはないから「贅沢な悩み」「キャリアを固める前に産んだ自己責任」で口を閉ざしてしまう人が多いから問題が顕在されにくい。それを理論立てて分析し、本として社会に出した著者に感謝と敬意。

  • 総合職として入社し、男性社会の中で必死に働き、頑張っている女友達に贈りたい本。そして、女性だけでなく、大企業で働いてる管理職〜若手層の全て年代の男性に読んで欲しい本。

    本書は、なぜ育休という制度があるのにやめてしまうのかという問題意識に対し、育休の制度が定着した2000年以降に大企業に総合職として入った女性に取ったアンケートを元に、女性参画が進まない理由を論じたもの。論文を再編成したということもあり、新書にしては読みにくい本だったが、同世代もしくは少し上のロールモデルの経験に基づいた話ということで参考になった。

    私は、自立した女性を育成する女子高で育ち、大学ではジェンダーを感じず生きてきた。私は女性であることを無関心であったが故に、業種といった”やりがい”だけを重視してしまい”女性の役割を求められる一般職”を選んでしまい、入社後ジレンマを感じていた。本書が扱っている「総合職女性」とは立場が若干違かったものの、「育休後に周りの目が変わった」「専業主婦を楽しめるキャラだったらどんなに楽だろうと感じた」「ジェンダー化された女性に嫌悪感を持ってしまう」など非常に共感した部分があった。

    男性と同様に競争しやる気があふれていた人(マッチョ型)がやめるという決断をし、逆に自分は女性であることを受容し、仕事に対する意欲を調整できる人が続職しているというのは非常に面白い結論だった。

    男が女に合わせる=残業や転勤の有無で出世を判断するのではなく、質で評価する多様な働き方がもっと可能になればよいと思う。

    女性個人に対するメッセージとして「WLBが整った状態でなくても、入った企業でパイオニアになる。ルールを変えようと戦う姿勢」が印象的。こういう世界が全てではないと思うので、共感できる人とできない人の振れ幅は大きい本だと思います。

  • 今の仕事状況なら、子供は産めないだろうな。と何度も思い、今も、そう思い続けてる「育休世代」の1人です。問題はそれだけじゃないけど。この問題、相当数の人が感じてると思う。本として世に出してくれた筆者に敬意を。。

  • 有名大学を出て就職活動も勝ち抜き、大企業に就職して高収入を得て、早い時期に結婚・出産。どこから見ても「勝ち組」に見える女性たちが抱えることになったジレンマ。
    男性中心に作られた競争のルールの中で、自分が女性であることを意識することなく育ち、実際に勝ってきた優秀な女性は、子どもを産んで初めてそれまで競ってきた男たちと同じ土俵に立たされていないことに気づく。この人たちは「男も女も仕事をしてこそ」と思っているので、逆に夫にケア責任を担ってもらうことができずに自分がやめる。
    ふんふんなるほど。同じく企業で働く同僚として、またこれから自分も同じ立場になるかもしれない女性として、頷く点は確かにある。

    でも、でもですよ。
    有名大学出身で大企業の総合職となったエリート女性たちのインタビューの、口調のあまりの稚拙さにゾッとしたので星2つで…

    話し方もそのまま掲載というのが重要なのかもしれないけれども、この人たちに社会人としての覚悟があるとは思えず不安になった。

  • 共感の嵐。そして今まで漠然と感じ続けていた将来への不安について、これほどまでに的確に示してくれたことはなかった。本当にありがとう!

    私自身は今、この本でいうところの「ケア責任を抱えない女性(出産を遅らせる女性)」にあたる。ただ100%本意でこの道を選んできたかというと、決してそうとはいえない。
    仕事と子供(妊娠・出産)を天秤にかけ、迷うタイミングはこれまで何度もあった。周囲からはその都度、「それってバーターにするべきものじゃないんじゃない?」とアドバイスされ、私自身その意見に納得していた。ただ、それでもついバーターとして捉えてしまうのは、自分の余裕や能力の無さに起因する気がして、勝手にひとりで落ち込むこともあった。

    だからこの本を読んで、私と同じような思いを抱えた人がこんなにもいるのか、と勇気づけられるとともに、こうした悩みは個々人の問題ではなく社会全体の問題として捉えるべきだという筆者の思いに強く共感した。


    中学高校を女子校で育って、大学に入って初めて受けたカルチャーショック。それは「女がしゃしゃるのはダメなんだ・・・」ということだった。冷静で頭のいい同期女子(共学校出身者)が決して同期男子を論破しないうえ、最善策といえない結論にも黙って従う。はじめはその行動が全く理解できなかったし、今でも頭では理解していても心の奥底では納得できていない、と思う。
    だからこそ、売り手市場の波に乗って総合職として就職した訳だが、これまでも今も正直将来のキャリアが描けていない。

    今後どうしていきたいか、どうやって生きていきたいか、改めて真剣に考えてみようと思う。

  • 社会学の書籍としても、組織論の書籍としても、ジェンダー論の書籍としても優れた良書。現時点の日本では、女を受け入れ、女としてのキャリアで妥協している層がキャリアを積んでるとうのが皮肉だった。

  • なんでバリキャリ女性ほど出産を機に辞めてしまうのか、その辺の理由、背景が分かりやすい。
    確かに、男性にも読んでほしい本。

    自分が出産を控える立場になって感じることだが、復帰してバリキャリを続けるか、それなりに妥協して働くか、会社を変革してさせるようなパイオニア的なスーパーな女性を目指すか、戻る場所があることに感謝して淡々と与えられた業務をこなす日々を送るか、など、どんな立ち位置とかスタンスで行くべきか、将来の自分を想像しながらもまだまだ他人事として考えてしまう。

    実際に、育休から復帰して、両立してみてはじめて見えてくるものもあるんでしょうね。

    色々考えさせられた。

  • 仕事の課題図書として。
    女性活用のねじれのメカニズム。


    以下memo&コメント

    著者の疑問
    1.制度が整ったはずなのにどうして総合職女性は出産後退職するのか?
    2.「ぶらさがり」と呼ばれる女性たちがどのようにして「ぶらさがり」になっていくのか?

    ・「自分で選んでいる」の内実は、既存社会の構造や本人が置かれている状況を所与のものとして、選ばざるを得なかったり、選ばされているものであったりする可能性がある。
    →困っている人が困っているのは、本人のせいではない。そうなってしまうような社会の構造があるはず。

    ・「男女平等」女性を男性と同じ存在と見なす平等。仕事だけをとればそれでも良いかもしれないけど、結婚・妊娠・出産によるプライベートの負担の差が考慮されないためにジレンマが起きてしまう

    ・本調査の「男なみ発想」の女性は、いわば自分よりもさらに仕事ができる男性と結婚しており、そもそも自分の代わりに家事育児をしてくれるような男性を結婚相手に選んでいない。

  • 産んで育てて男性と同じ位働けっていうゲームには参加したくない。って社会人2年目位で思って、そこから抜け出していないし葛藤続きの私には、とりあえずやってみている人たちは、まずそのことがすごいなと思う。

    選択の自由がある道にいて、こんな社会で大変だけど子どもを持つことが大切な人や産んでから気づいた人は調査対象のようになり、先に気づき矛盾に苦しみ戦うほど子どもを持つことの優先度が高くないと(他にも理由はあるが)私のようになる。

    違う選択をしているけれど、私もこの人達と表裏一体。

    もともと知ってはいたけど、自分の中の矛盾した希望や価値観のせめぎ合いが明示されていて分かるなぁと思うこと満載。

    個々人の一度しかない人生は、社会の影響を多大に受けるんだよなぁと、しみじみ。

    サンプル数が少ないということを著者が言及していましたが、私が13年働いている子育てをする女性が沢山いる会社で周りの先輩や同期の状況、葛藤、周囲の反応をみていて感じ考えていたこととの乖離感じなかった。
    男並みに働いていた先輩は子どもの成績悪化であっさり退職、子育て中は葛藤しつつ全部60点で良しとするのと話してくれた先輩は働き続けている。

    私にできることは‥、立場の違う女性同士の誤解に行きあったら表裏一体なだけだということ、共感の視点を伝えて女性間の分断の解消に微力だけど貢献できるかも。管理職や意思決定に関われる立場の女性と接点があり、私が子どものいない女性だから相手に聞いてもらいやすい気がする。(つい先週も女性マネージャーが、ぶら下がり女性社員と評する子どものいる社員への厳しい見方をしていた) あと、そういう人にはこの本勧めよう。

    #Bookoff

  • キャリア志向の女性が辞める理由が納得できる。
    理想と現実とのギャップを埋めるため、出産後も働き続けたい女子学生さんには特に読んでほしい。

  • 図書館より。
    気になって一気に読了。

    収入とか学歴とか全然違うけど、育休世代なので納得出来ることが多数。
    出産するとマジで男女平等って嘘だねって思う。
    色んな人が読んで欲しいと思う一冊。
    それでなにかが変われば...娘が年頃になったとき、変わってくれていればと思う。

  • 私は、今まで男女を問うことなく、人に社会にみんな努力して、働いて幸せな人生を!という教育を受けてきて、自分自身もそれなりに応えながら生きてきた。自分自身も家事や育児は仕事と同じように夫婦も一つのcompanyとして分担していくものとばかり思っていた。

    が!社内の女性向けヒアリングで初めて「女性の働き方」について壁を感じた(子供ができて働きにくくなり、やめていく人がいる現実などを知らされた)。
    そんなときに仲の良い人に薦められた一冊。

    なぜ、「育休」があるのに女性活用は進まないのか。
    この本では、特にキャリアウーマンについての考察がされていた。
    キャリアウーマンは自身の周りも年収の高いバリキャリの男性が多く、そういう人と結婚するため、夫が家庭の時間をさけず、自分が仕事を続ける事が困難になる現実がよく実感できる。自分自身もそういう環境にいたから。
    自分の望んでいる働き方ができないというストレス、問題に強く興味を持ち、読み進めた。

    「男なみ発想」の女性が「女ゆえ」に退職するパラドクス:ジェンダーの社会化過程で意欲の冷却を経験しなかった女性は、男女平等に見える教育課程で男性中心主義的な競争への意欲を掻き立てられることで、継続するたけの環境や資源を積極的に選択できず」、退職を迫られる

    納得。特に心に残ったところを抜粋。

    ・逆転したジェンダーの社会化:男並みの発想を持つ女性がいいというイメージを私たちは持たされている。女性らしさを切り捨てることで、男性が圧倒的に多い社会での競争や「女性らしい女性」が損をする社会を生き延びようとしてきた。
    例えば、正直一般職はいったい何が面白いのだろうと思うとか。気がついたらそういった意識の刷り込みがされている。
    ・時代の産物:何より「やりがい」を重視して仕事を選んで働いている。子育てのために、急に自分にとって「やりがい」のない仕事を割り当てられるものなら、一体何のために働いているのかわからなくなる。
    ・男女平等の幻想:冒頭にも書いたが今まで男女平等としか感じたとこがなかった。働きだして急に女性だけが育休をとることになるようになっている社会をおかしいと感じている。
    ・男に合わせる男女平等:結局社会は「男なみ」に働ける女性しか求めてない。そういった男女平等の形になっている。
    ・教育に埋め込まれた「男なみ」:女性が今までおってきた家庭労働は無償であったり低賃金であったりして、男性が圧倒的多数の企業社会で正社員として働くことの方が収入も高く、あらゆる保障も受けられる。そのため、教育課程では、第一に学業達成や社会的地位の達成、就労を継続することに価値をおき、そのから「降りる」ことを問題視している。結局「男」「男なみ」を求められているのだ。

    企業に残る「非男なみ女性」と構造強化の構造:本書とはずれるが、女性自身の意識も変わらなければ女性同士で対立している。今、不都合をこうむっているのは「正社員として働きたい女性」。ならば会社としては、生産人口が減りつつある現代社会で、腰掛けとしての要員よりも正社員が、そして例え女性であってもほしいはずだ。そういった女性たちが衝突なくキャリアを継続しやすくするための選択肢を増やさなければならない。

    夫婦関係を浸食する夫の「男なみ」:仕事のできる女性はさらに仕事ができる男性に惹かれる。そのため結婚して、出産となると、理解力があるため、自分自身よりも夫を応援してしまう。


    自分の持論としては、やはり日本人は働き過ぎなのだと思う。それは、日本が資産がない国で、労働力でカバーしてきたから。
    今こそアイディアを使い、男女問わず労働時間を減らして高付加価値労働で収入を得る社会に転換しなければならないのかな。
    生産人口が減り、女性の労働力が必要... 続きを読む

  • サブタイに「女性活用」って入ってるから敬遠してた1冊。読んだら著者の意図がわかりました。今バリバリ働いてる出産前の女性と、管理職のおじさまに読んでもらいたい1冊。

  • 話題本。女性活用を目指す上司は読んだらいいと思う。
    高学歴、両立支援が整う大企業に勤め、若くして結婚出産という「勝ち組女性」が職場復帰後に退職してしまうのは何故か。
    単純に両立の難しさという言葉だけでは紐解けない社会的背景を調査するという主旨の本。(たぶん)

  • 育休終了後半年が経過し、今後のキャリアを考える上で、時短で仕事をしている中での違和感を解消したくて読んでみました。なるほど、個人の考え方に依るように思えることでも、俯瞰してみるとこうういうことなのね、という納得感。当事者の立場であっても、個人の問題としてもやもやを抱えっぱなしにせず、視野を広くもって考えたり行動したりするのに必要な視点をいただいたかなと。とても参考になりました。

  • バリキャリ志向よりも、ゆるキャリ志向の人の方が長く働ける。

  • 自分の中で働き方がテーマになりつつあったので、とてもためになった。
    自分が働いている会社がWEB企業だからか、この本を読み始めた時にはなぜ筆者がこのように憤っているのかだったり、悩みがいまいち理解できなかった、けれども、次第にこの日本が持っている、潜在的な女性差別に気づくことができた。僕が大人になるより前からあった女性差別は薄れつつも、その影響は育休世代が直面する問題となっている。
    今さら女性活用といっても、なかなか子供を産んだ女性が仕事などを通じて夢ややりがいを両立させられるように、社会の仕組みも、考え方さえも至っていないのだ。

  • 結論は、既によく指摘されているような内容。
    ただし、15名の被験者のライフコースを分析するという手法は大変興味深かった。
    今回の被験者は、筆者も指摘する通り、いわゆる「勝ち組」の女性ばかりだったけれど、今後は様々な職種や年齢の女性に対する研究を期待したい。

    終わりに、の部分に書かれていた最後の一文は、20代から30代の、働くすべての女性に対するエールだと感じたので星4つで。

  • 女性性の否定による逆転したジェンダーの社会化というのは、自分に取って新たな視点だと感じました。

  • とても興味深い内容。質的調査のインタビュー内容がひとりひとりではなく、似た発言をまとめてばらばらと出てくるので、誰が誰かわからない。ひとりひとりのインタビューについてじっくり読みたい。

  • 出産を経験した女性総合職にターゲットを絞り、彼女たちが抱える葛藤を研究した一冊。

    総合職として働く道を選択した女性たちは、なぜその道を選択し、
    入社、結婚といったライフイベントを経て、仕事や家庭への感じ方や考え方どう変わり、
    出産を機にどんな道を再選択し、その選択にはどんな理由があるのか?

    といったことを、企業に総合職として就職し、20代で出産を経験した15人の女性へのインタビューを通じて研究した本です。

    【感想】

    私は今まで、「女だから損している」というような感じ方をしたことがないのですが、
    出産や育児をもし今後経験するとしたら、もしかしたらそのとき初めて、「女だから」に直面するのかな・・・

    と思い、予習(?)のためにこの本を買いました。

    出産するのは女性しかできないことなので、「産休」を女性がとるのは仕方ないけど、
    育児は男性がやっても女性がやってもいいはずなのに、なんで女性ばっかりが育休をとらされて、キャリアをあきらめなきゃいけないのか?

    ・・・というような葛藤が、筆者と15人の女性たちもには共通してあるようでした。

    企業の側が、女性が働きやすい施策を打ち出せば打ち出すほど、
    家庭の中では 「おまえ(女性)が仕事休めば/時短勤務すればいいじゃん」 という話になり、
    男女差別を助長してしまう、というジレンマがあるのだと。

    ・・・ほー。

    確かに、女性が働きやすい施策というのは大事だけど、
    女性だけが働きやすい施策は、結局女性を苦しめてしまうのかと、 なるほどと思いました。

    本当の意味で女性が働きやすい会社になりたかったら、
    女性だけが働きやすくなるための施策はだめで、女性も男性も働きやすくなるための施策が必要なのだということに、とても共感しました。

    その他、なるほどと思ったこと。

    ・男性は基本的に総合職しか選べないのに、女性は一般職という選択肢があるのは、女性の「特権」だと思っていましたが、
     本書ではそのことを、男の仕事・女の仕事 という男女差別が、 総合職・一般職 という職種差別にすり変わり、より本質が見えにくくなったと書いてあり、
     なるほど、そういう見方もあるのかと思いました。

    ・女性管理職が少ないのを、女性の意欲の問題にするのはだめらしい。
     「そもそも、男性は意欲があってもなくても管理職になっていくのに、女性の場合はなぜか意欲が問題にされる。」 というのはなるほどと思いました。

    ・多くの企業における男女平等は、「女性と男性を同じように」ではなく、「女性を男性と同じように」扱おうとしているところに問題がある、という指摘。
     それで 「男なみ」 の考え方や生き方をしている女性だけが上に上がれる仕組みを作っても、
     結局 「男性」 と 「男なみ女性」 の意見しか経営に反映されないことになって、真の女性活躍とは言えないんじゃないの、という主張にナルホド。

    読んでいるときは議論の粗さが気になり、あまり良い本じゃないような気がしていましたが
    (筆者が修士論文として書いたものを、一般向けに改訂した本だそうです。)、
    感想を書いてみて改めて、色々感じるところのある本だったと気付きました。

    研究としての精度より、多くの人に読んでもらいたくて書いたという筆者の狙いは、当たっているな! と思いました。

全71件中 1 - 25件を表示

「育休世代」のジレンマ 女性活用はなぜ失敗するのか? (光文社新書)を本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

「育休世代」のジレンマ 女性活用はなぜ失敗するのか? (光文社新書)を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

「育休世代」のジレンマ 女性活用はなぜ失敗するのか? (光文社新書)を本棚に「積読」で登録しているひと

「育休世代」のジレンマ 女性活用はなぜ失敗するのか? (光文社新書)の作品紹介

昔に比べれば、産休・育休や育児支援の制度が整ったかに見える今、
それでも総合職に就職した女性の多くが、
出産もしくは育休後の復帰を経て、会社を辞めている。
男性と肩を並べて受験や就職活動にも勝ち抜き、
出産後の就業継続の意欲もあった女性たちでさえ、
そのような選択に至るのはなぜなのか。
また会社に残ったとしても、
意欲が低下したように捉えられてしまうのはなぜなのか。

この本では、実質的に制度が整った2000年代に総合職として入社し、
その後出産をした15人の女性(=「育休世代」と呼ぶ)に綿密なインタビューを実施。
それぞれの環境やライフヒストリーの分析と、選択結果との関連を見ていく中で、
予測外の展開にさまざまな思いを抱えて悩む女性たちの姿と、
そう至らしめた社会の構造を明らかにする。

「育休世代」のジレンマ 女性活用はなぜ失敗するのか? (光文社新書)はこんな本です

「育休世代」のジレンマ 女性活用はなぜ失敗するのか? (光文社新書)のKindle版

ツイートする