「育休世代」のジレンマ 女性活用はなぜ失敗するのか? (光文社新書)

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著者 : 中野円佳
  • 光文社 (2014年9月17日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (349ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334038168

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「育休世代」のジレンマ 女性活用はなぜ失敗するのか? (光文社新書)の感想・レビュー・書評

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  • 自分と同じ世代の女性・現役ワーキングマザーが書いたということで気になり、購入。少しずつ読んで、読了。
    あーなるほどなあ。わかるわあ。という内容が多数。

    私は転職してるのもあって比べにくいけど、完全にやりがい重視で就活した。女性の働きやすさがないとわかっていながら。のちのち転職するし、それまでがんばろう!くらいにしか思ってなかった。そしてやっぱり訪れた、「ああはなれない」「なりたくない」思ってしまうような、子育てと仕事の両立なんて非現実的だというロールモデル。
    やっぱり早く辞めようと思うのに決定的だった気がする。
    本書でも何回か出てくるように、「そこまでして働く価値はあるか」ってかなり思った。結婚相手もいない時やったけど、この会社でずっと働いていく自分は全く想像できなくて辞めた。
    「まだその問題に直面してないのに逃げてるんじゃない?」って上司から言われたことが忘れられん。その人は女性総合職に理解があって色々がんばってくれてたけど、直面してなくてもわかるだろうよ。誰がどう見たってムリやん?って思ってしまった。
    私もアマちゃんやったかもしれん。

    ・・・と、この本読みながらそんなことを思い出した。
    これからほんまに妊娠・出産したら、たとえ公務員で恵まれてるっていっても色々あるやろうと思う。でも世の中のワーキングマザーはみんな似たような思いを抱えてると思うとがんばれるのかも。

    すごくたくさん資料やデータが載せられてて根拠が明確だったけど、インタビューする人に偏りがあるなあと思った。旦那の年収1000万オーバーなんて人そうそういないと思うので、もう少し低所得で「共働きじゃないとやっていけない」という女性の声も載せてほしい。

  • 2015.5.18読了。
    読みはじめは、「バリキャリの話かあ…」と、自分とは遠い世界の物語のように感じたが、出てくるエピソードが「分かる、わかる!」というものばかりで、一気に読んでしまった。
    私自身、育休を3年まで延長!とか、女性手帳を交付しましょう!とか、的外れな政策が出てくる度にちょっとカチンときたりしていたので、WMのおかれた現状をこれでもか‼と言わんばかりに書いてくれた著者に、心から感謝したい。
    私自身は、著者の言うところの女性向きの職場に入り、ゆるゆると頑張っているが、それでもなぜこんなに「申し訳なく」産休を取り、「申し訳なく」子供がまだ乳離れもしないうちに仕事に復帰し、「申し訳なく」子供の突発的な病気で仕事を休み、「申し訳なく」旦那に休みを代わってもらい…と、身も心もすり減っていくんだろう?とずっと疑問に思っていたが、この本のおかげでずいぶん解決した。
    本の最後で、著者が今後取り上げたい研究テーマに挙げていたものも、とても興味がある。続編も期待したい。

  • 著者が1984年生まれで同い年、ワーキングマザーの書いた本ということで手に取ってみました。

    勉強もできて、大企業の総合職に就いて、晩婚・少子化が進む現代においては比較的早く結婚して出産もした。
    言ってしまえば「勝ち組」のバリキャリ女性たち。生め、育てろ、働け、の全てをこなす“スーパーウーマン”たちは、はたして偉い人たちの言うように輝いているのか?というと、既存の企業のシステムや世間が求める「母親像」などに苦しめられたりして、実はボロボロだったりする。
    …とはいっても食うに困っているわけでなし。こんなことは贅沢な悩みだ、私たちの苦労なんて苦労じゃないよね。…と、ものわかりが良く声をあげない彼女たちに対し、著者は言います。

    贅沢だとか、あんたたちはどうせ勝ち組だとか、人は言うかもしれないけれど。
    同じ立場の男性たちは全く経験しない苦労を味わっていることを、隠してはいけないのでは?
    最終的に「女だから」「男だから」という言葉しか残らない不平等がある。悔し涙があり、憤りや生きづらさを感じたということ。そういう気持ちに誰も寄り添ってくれない世の中ってのはおかしいのではないか。つらいって言ってもいいんだよ、私たちだって。
    (これで終わりません。)
    というかむしろさ、勝ち組なんだからさ、エリートなんだからさ、私たちが感じた理不尽を出発点に私たちが社会を変えて行くんだよ!涙拭いたらやることやるぞ、おまえら!

    という感じの、優しうて後に強し、なアツい本です。

    ※勝ち組とかバリキャリとかって言葉はキャッチーだしイメージがわきやすいから本書でも使われていたように私もここで使っているけど、なにかと議論を呼ぶ言葉ですね。ま、それはここでは割愛。


    アツいといっても想いだけが空回りということもなく、どういう構造がこういう現象を引き起こすのか?といったところの分析がとても丁寧です。それもそのはず本書は著者が育休中に大学院で書いた論文を出版用に書き直したものなのだそうで。新書とはいえ「流行の話題と上手いタイトルが目を引くが1章だけでほぼ言い終わっててあとは薄味」みたいなことになっておらず、頭からつまさき、指先まであんこみっちり。その点だけでも感服の力作です。

    以下、備忘メモ。

    ■「育休世代」という定義
    ・均等法施行から何年とよく語られる、施行直後の世代とはまた違う苦労があるよねという差別化。
    ・各種制度も整ってきて、昔に比べたら恵まれている。だけど!同じ女としての苦悩があるよね。

    ※この、「私とあなたとで状況は違う、お互い羨んだり妬んだりという気持ちを持つことも正直あるかもしれない、だけど、実は共感し合えるところもある、そこを出発点に、建設的に物事を変えて行く話をしようよ」っていう主張は、本書全体を通して、ある。世代間、未婚・既婚、子供のいるいない、出産後仕事を辞めたか・続けているか、さらには復職者同士でさえ、あの人は親と同居だからとか、シッターまで雇ってるとか、旦那さんがどうだとか・・・そういう対立構造、意味ないよね、と。

    ■高学歴で大企業の総合職、バリキャリ女性15人だけにインタビュー対象を限定していることについて
    ・著者自身がそうだから、自分の友人やその友人などをインタビュイーにしたようである。彼女たちの発言の引用を見てもかなりくだけた口調なので、いろんな発言を引き出せたであろうことは伺える。
    ・それはそれで強みでもあるが、同じ手法で別のグループの人たちを対象にこの研究をするのは難しそうだなあと思った。たとえば「絶対に家事をしない夫たち」の気持ちとかすごく聞き出したいのだけど、この著者には語ってくれなさそう(笑)。
    ・また、そんなバリキャリ女性は世の中の少数派だという批判に対しては、「そういう対立構造(を煽る姿勢)から脱したい」という話と、「(エリート意識と言われるかもしれないけど)バリキャリが活躍してこそ女性全体、ひいては社会全体の利益にもつながる変革を起こせるのだという理念」で回答。
    ・傍目からは恵まれているように見えても、みんなそれぞれの事情を抱えて頑張ってる、こうやって生活してる、そういうことをつぶさに伝え合えたら知り合えたら、もっとわかりあえるんじゃないのか?ということでまずは入り口として、この人数のインタビューなのであろう。
    ・私自身本書の定義で言うと「バリキャリ」なので、同じ穴のムジナですが、はたしてどこまで多様な層に著者の思いは届くだろうか。

    ■「ケア責任を負う就労者」という概念
    ・そもそもこうした就労条件のばらつきやなんかの話って「女性」の問題にされがちだけど、実は女性に限らない。育児や介護などのことを「ケア責任」という言葉で表現するらしいのだが、これまで慣習としてケア責任を負うのは女性とされてきたというだけのことで、今後企業は「女性を」ではなく「ケア責任を負う就労者を」どう活用するかを考えなければいけないよという指摘。ちょっとずれるがLGBT的な意味でも。

  • 育休世代とは、両立のための制度が整った後に育休取得する世代、生まれでいえば、1978年以降の人々をさすという。

    この世代は、1. 自己実現プレッシャー、2. 産め働け育てろプレッシャーの板挟みにあうという。

  • 同年代のWM中野円佳さんが修士論文を元に新書に纏め直した一冊。
    産休前からモヤモヤしていた不安が理論だてて分析され、代弁されるかのようなスッキリ感。
    高学歴勝ち組のバリキャリ女性がなぜ出産を機に辞めるのか、育児支援制度が活かされないのか。

    「働き甲斐への執着」は女性達を苦しめる。やりがいが無ければ子供を長時間預けてまで働く意味はないと感じ、しかしやりがいがあるような高付加価値の仕事を得るには時間的制約や犠牲にするものが大きすぎる。
    私も専門性の高い職種につけなかったことに焦燥し危機感を持っていたのはこのことから。
    自分は著書でいう産後一番退職しやすいマッチョ思考型だった。
    「男性と同等以上に競争し、男並みに働くことを求める一方、仕事意識の高い男性を夫とし、結果として家事育児も自分で担うこととなる。」
    「やりがいの無い仕事と育児の両立に葛藤したり、支援制度を利用することを躊躇いがち」

    というわけで、考え方を軟化しないと。

    休職期間や時短勤務に対して抱く申し訳ない感。でも「男が男使って仕事してるんだから、女が女使って仕事してもいいじゃん」という共働きの旦那さんの言葉は目から鱗。
    男性が家事育児を妻に押し付ける男性的働き方をするのであれば、女性が社内制度を利用して割り切って仕事してもいいじゃないか。

    働く女性の貧困問題とは違うし、仮に辞めても食えていけないことはないから「贅沢な悩み」「キャリアを固める前に産んだ自己責任」で口を閉ざしてしまう人が多いから問題が顕在されにくい。それを理論立てて分析し、本として社会に出した著者に感謝と敬意。

  • 総合職として入社し、男性社会の中で必死に働き、頑張っている女友達に贈りたい本。そして、女性だけでなく、大企業で働いてる管理職〜若手層の全て年代の男性に読んで欲しい本。

    本書は、なぜ育休という制度があるのにやめてしまうのかという問題意識に対し、育休の制度が定着した2000年以降に大企業に総合職として入った女性に取ったアンケートを元に、女性参画が進まない理由を論じたもの。論文を再編成したということもあり、新書にしては読みにくい本だったが、同世代もしくは少し上のロールモデルの経験に基づいた話ということで参考になった。

    私は、自立した女性を育成する女子高で育ち、大学ではジェンダーを感じず生きてきた。私は女性であることを無関心であったが故に、業種といった”やりがい”だけを重視してしまい”女性の役割を求められる一般職”を選んでしまい、入社後ジレンマを感じていた。本書が扱っている「総合職女性」とは立場が若干違かったものの、「育休後に周りの目が変わった」「専業主婦を楽しめるキャラだったらどんなに楽だろうと感じた」「ジェンダー化された女性に嫌悪感を持ってしまう」など非常に共感した部分があった。

    男性と同様に競争しやる気があふれていた人(マッチョ型)がやめるという決断をし、逆に自分は女性であることを受容し、仕事に対する意欲を調整できる人が続職しているというのは非常に面白い結論だった。

    男が女に合わせる=残業や転勤の有無で出世を判断するのではなく、質で評価する多様な働き方がもっと可能になればよいと思う。

    女性個人に対するメッセージとして「WLBが整った状態でなくても、入った企業でパイオニアになる。ルールを変えようと戦う姿勢」が印象的。こういう世界が全てではないと思うので、共感できる人とできない人の振れ幅は大きい本だと思います。

  • 今の仕事状況なら、子供は産めないだろうな。と何度も思い、今も、そう思い続けてる「育休世代」の1人です。問題はそれだけじゃないけど。この問題、相当数の人が感じてると思う。本として世に出してくれた筆者に敬意を。。

  • 有名大学を出て就職活動も勝ち抜き、大企業に就職して高収入を得て、早い時期に結婚・出産。どこから見ても「勝ち組」に見える女性たちが抱えることになったジレンマ。
    男性中心に作られた競争のルールの中で、自分が女性であることを意識することなく育ち、実際に勝ってきた優秀な女性は、子どもを産んで初めてそれまで競ってきた男たちと同じ土俵に立たされていないことに気づく。この人たちは「男も女も仕事をしてこそ」と思っているので、逆に夫にケア責任を担ってもらうことができずに自分がやめる。
    ふんふんなるほど。同じく企業で働く同僚として、またこれから自分も同じ立場になるかもしれない女性として、頷く点は確かにある。

    でも、でもですよ。
    有名大学出身で大企業の総合職となったエリート女性たちのインタビューの、口調のあまりの稚拙さにゾッとしたので星2つで…

    話し方もそのまま掲載というのが重要なのかもしれないけれども、この人たちに社会人としての覚悟があるとは思えず不安になった。

  • 共感の嵐。そして今まで漠然と感じ続けていた将来への不安について、これほどまでに的確に示してくれたことはなかった。本当にありがとう!

    私自身は今、この本でいうところの「ケア責任を抱えない女性(出産を遅らせる女性)」にあたる。ただ100%本意でこの道を選んできたかというと、決してそうとはいえない。
    仕事と子供(妊娠・出産)を天秤にかけ、迷うタイミングはこれまで何度もあった。周囲からはその都度、「それってバーターにするべきものじゃないんじゃない?」とアドバイスされ、私自身その意見に納得していた。ただ、それでもついバーターとして捉えてしまうのは、自分の余裕や能力の無さに起因する気がして、勝手にひとりで落ち込むこともあった。

    だからこの本を読んで、私と同じような思いを抱えた人がこんなにもいるのか、と勇気づけられるとともに、こうした悩みは個々人の問題ではなく社会全体の問題として捉えるべきだという筆者の思いに強く共感した。


    中学高校を女子校で育って、大学に入って初めて受けたカルチャーショック。それは「女がしゃしゃるのはダメなんだ・・・」ということだった。冷静で頭のいい同期女子(共学校出身者)が決して同期男子を論破しないうえ、最善策といえない結論にも黙って従う。はじめはその行動が全く理解できなかったし、今でも頭では理解していても心の奥底では納得できていない、と思う。
    だからこそ、売り手市場の波に乗って総合職として就職した訳だが、これまでも今も正直将来のキャリアが描けていない。

    今後どうしていきたいか、どうやって生きていきたいか、改めて真剣に考えてみようと思う。

  • 社会学の書籍としても、組織論の書籍としても、ジェンダー論の書籍としても優れた良書。現時点の日本では、女を受け入れ、女としてのキャリアで妥協している層がキャリアを積んでるとうのが皮肉だった。

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「育休世代」のジレンマ 女性活用はなぜ失敗するのか? (光文社新書)の作品紹介

昔に比べれば、産休・育休や育児支援の制度が整ったかに見える今、
それでも総合職に就職した女性の多くが、
出産もしくは育休後の復帰を経て、会社を辞めている。
男性と肩を並べて受験や就職活動にも勝ち抜き、
出産後の就業継続の意欲もあった女性たちでさえ、
そのような選択に至るのはなぜなのか。
また会社に残ったとしても、
意欲が低下したように捉えられてしまうのはなぜなのか。

この本では、実質的に制度が整った2000年代に総合職として入社し、
その後出産をした15人の女性(=「育休世代」と呼ぶ)に綿密なインタビューを実施。
それぞれの環境やライフヒストリーの分析と、選択結果との関連を見ていく中で、
予測外の展開にさまざまな思いを抱えて悩む女性たちの姿と、
そう至らしめた社会の構造を明らかにする。

「育休世代」のジレンマ 女性活用はなぜ失敗するのか? (光文社新書)はこんな本です

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