低予算でもなぜ強い? 湘南ベルマーレと日本サッカーの現在地 (光文社新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334038496

感想・レビュー・書評

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  • レアルマドリッドvsアントラーズのクラブワールドカップ決勝の試合中継が最近の日本代表戦を上回るような視聴率を取って終わった2016年の日本サッカー。イタリア代表よりACミランのことが大切というミラニスタのような存在がJリーグにも代々続いていく可能性を感じました。それはジーコの巻いた種を鹿島の強化担当者が25年間一貫して育てて来たという継続性の結果だとの論評を読んだことがあります。そういう一貫したサッカーを「湘南スタイル」として積み重ねていこうとしているベルマーレ湘南の挑戦の物語。出てくる人、みんな熱いです。曺貴裁監督体制6年目の今年はJ2での戦いになりますが「湘南スタイル」はどう続いていくのでしょうか?それはバルサのサッカーのようにJから生まれた魅力あるサッカー文化になっていくのでしょうか?注目です。

  • この本が書かれたあとにベルマーレはまたもやJ2へ降格したわけで、タイトルの「なぜ強い?」には若干違和感があります。だけど、予算が潤沢なように見えるのになかなか勝てないチームがある中で、ベルマーレはもう一度J1に昇格しました。これからのベルマーレに注目していきたいと思います。

  • ベルマーレはJリーグが始まった時に「ベルマーレ平塚」という名前だったが
    気づけば「湘南ベルマーレ」と名前を変えていた。

    色々大変なんだろうと思ったが、この色々がなんなのかはよく考えずにいた。
    別に何かのマンガの引きでもないので、それが自分の生活に関わっているとか
    世界の秘密につながっているわけでもない。

    単に地方の弱小チームがどのように生存戦略を作っていったか、
    ということでしかない。
    それだけだが、それが誠実で考え抜かれたものであるならば
    魅力的な輝きをもった活動につながっていく。

    大きい看板企業がつかなくても観客を沸かせてさらに強い。
    悔しいけど、素晴らしい。
    地域に根付いた輝く活動が津々浦々に広がるとしたら、
    これほど地域創生の理想的なイメージに重なるものもないだろう。


    >>
    自宅から練習に通える範囲内の子どもを育てる。育成とは、できる子どもを集めることではなく、育てることだ。(p.49)
    <<

    これは提携したスペインのクラブチームから聞かされた言葉である。
    当たり前のようだが、これができているところはそれほどないのではないか。

    >>
    30歳前後の選手が多ければ、練習の強度に配慮が加えられる。スケジュールが過密になれば、最優先事項は体力の回復だ。(中略)将来性のある若手が伸び悩むのは、そのほとんどにおいて絶対的な練習量の不足に理由がある。(p.148)
    <<

    少なくとも金銭的なメリットを提示できない中、正直にかつ誠実に選手にどういうメリットを提案できるかということの1つ。この辺の打ち出しはなるほど、と思った。

    >>
    ベルマーレの足りないところには触れずに、話を盛ったり偽ったりして営業するのは、守備一辺倒のカウンターサッカーみたいだと思うんです。勝てばいいや、というサッカーと同じ気がします。そうではなくて、誠実にクラブの状況を伝える。誠実な戦いを挑む。それで負けたとしても、僕は後悔しないですし、ウチのサッカースタイルと営業のスタイルは同一であっていいのかなと思います。(p.191)
    <<

    選手引退から営業に移った坂本のコメント。
    3年目での言葉ということを割り引いてもこの理念の浸透具合はすごいことだ。

  • いろいろ条件の悪い湘南ベルマーレなんですが、
    本当にじわじわと、上昇しているんです。

    眞壁潔(代表取締役会長)
    大倉智(取締役社長)
    曺貴裁(監督)
    田村雄三(テクニカルディレクター)
    坂本紘司(営業本部長)
    畔柳豪(前・事業本部長)
    の6人に取材。

    こういう優秀なスタッフの力、そして相乗効果だといえましょう。

    でも、ごめんなさい、私のようなド素人から見たら、やっぱり監督がすごいからかな?て。

    だから、彼の本を読んでみることにしました。

  • サッカーだけじゃなく、社会貢献活動やサッカー以外のスポーツにも活動の幅を広げている湘南ベルマーレ。サッカーチームは予算ありきで動くところもあるけれど、潤沢な資金があるチームばかりじゃない。低予算のベルマーレがどのような活動をしているのか、勝つためにどのような努力をしているのかよく分かる1冊です。

  • メジャーリーグの低予算球団の躍進を追ったノンフィクション「マネーボール」を思い出させる本。
    駐車場が足りないとか、かなり具体的に課題と対策が語られていて、興味が出る。地域密着という理念がどのチームも生煮え状態の現在、ベルマーレの比較的先進的な成功例の分析が、本書の中心テーマ。

  • 《スタイル》
    積み上げ、完成させるには、伝統と根気強さ、そこに、集まる人間達の人間性と芯の強さが必要だと感じた。

  • 2015年をJ1で戦う湘南ベルマーレのサポーターにとってなによりのプレゼント。#bellmare

    低予算というところが悔しいが、こういう本を書いてもらえるチームを応援していることを誇りに思いましょう。

    浦和やガンバでは成り立たない話内容。
    そもそも大家族物は貧乏家族の方が絶対面白い。

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著者プロフィール

スポーツライター。1968年、神奈川県生まれ。『Sports Graphic Number』などのスポーツ誌で様々なスポーツノンフィクションを手がける他、海外サッカー、Jリーグ中継の解説も務める。J1・大宮アルディージャの公式ライターの一人でもある。著書に『低予算でもなぜ強い? 湘南ベルマーレと日本サッカーの現在地』(光文社新書)など多数。

「2017年 『必ず、愛は勝つ! 車イスサッカー監督 羽中田昌の挑戦』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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