サルバルサン戦記 秦佐八郎 世界初の抗生物質を作った男 (光文社新書)
- 光文社 (2015年3月17日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (251ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334038502
感想・レビュー・書評
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2015年 10月新着
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あちこちにちょっとした無理があるが、ともかく楽しく読めた。別途まじめな評伝書いてくれないかなあ。
真意はまだわからん。しかし判らないときはさしあたって判断保留するのが一番妥当なやり方だ。自棄にもならず、卑屈にもならず、まずは目の前の仕事をコツコツとやるだけのことだ。話はそれからだ。恨みに思わない。我慢していない。何度も繰り返し事務的で定型的な(中略)することによって、(中略)力が高まっていくことを実感していた。
すごくよくわかる。 -
面白かったです。
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当時難病だった梅毒の特効薬「サルバルサン」(世界初の抗生物質)を、ドイツのパウル・エールリッヒ(ノーベル生理学・医学賞受賞)
と共に開発し、多くの人の命を救った細菌学者・秦佐八郎(島根県出身)の伝記。
(492 臨床医学.診断・治療) -
440
高校までの教科書に載っている内容は、日本史でも、化学でも、1行で簡潔に「秦佐八郎、梅毒に効果のあるサルバルサンの発見」程度のものだが師弟関係や時代背景に関しての描写がくわしく好印象。フィクションの部分では森鴎外や北里柴三郎、志賀潔を出してきたところまでは良いが、石川啄木や南方熊楠を出してきたのはやりすぎのようにも感じた。 -
HONZ土屋敦評 「サルバルサン」とは、1910年にドイツの細菌学者パウル・エールリッヒと秦佐八郎によって開発された梅毒の特効薬である
秦佐八郎の伝記でありつつ、史料から得ることのできないような秦の心情や意識までもを、こうだったに違いない、と描写してゆく。啓蒙的な本という意味では、マンガHONZでも大絶賛された『まんが医学の歴史』を思い出すが、新書であるがゆえにずっと本書の方が軽妙で、また著者自身の思考と意志が強く反映されている。「感染症界のエース」として活躍する著者が、同郷の秦に自分自身を重ねあわせ、研究者としてあるべき姿を力強く示した本でもあるのだ。
当時の研究者たちの躍動も描く。ドイツの巨人コッホと北里柴三郎。その教え子の志賀潔、野口英世、森林太郎(鴎外)。高木兼寛に鈴木梅太郎、731部隊の石井四郎あたりもちらりと登場する。 -
岡山第三高等学校医学部 第三高等学校はのちの京都大学 医学部のみ残り岡山大学医学部
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2015/4/24読了。
この著者の文章に、私は惹きつけられるものがあり色々な出版社からのものを購入させていただいている。
今回のこの本も、導入から引き込まれた。特に森鴎外などの偉人の心理面での表現などとても興味深いものがあった。
ただ、酒盛りの際に古今の偉人達が集まるというメタ的な表現が自分には合わなかった。急に入ってくるものだから同世代の人物達なのかと最初は思ってしまった。
元々メタ表現が得意でない為、今まで引き込まれていたものが急に冷めていく気がした。 -
夢中で一気に読んでしまいました!
登場人物が歴史上の偉人も多いのですが、さりげなく、しかし存在感はとても強く描かれていて、当時の世界にタイムスリップしたかのような感覚を得ました。戦記、前記の織り交ぜ方も絶妙なだけに。
その中に、愛もあり、一転して不思議な世界が広がったり、岩田先生のメッセージも随時盛り込まれている至極の一冊です。
話しに登場するので、ここ数年毎年見る機会があるのですが、youtubeで石見神楽を聞いてみたりと、少しでも作品の世界にイメージを近づけたいなと努力をしてみたりもしてしまいました(笑
しかし、こういった先達達の努力の先に自分たちがいるということを身にしみて痛感。なにげなく使う(感覚としてで、適当に処方しているわけではありません)抗菌薬はまさにその結晶。
最後に、医学ではないのかもしれないけれど、僕の肩に乗っかってくれた人たちが、僕が見たことのない世界を見れるように、僕も努力を続けようと思います。 -
秦佐八郎と聞いて、あの人ね、と頷ける人は少ないのではないかと思います。大学時代に化学を学んでいた方からの紹介で読んだのですが、面白かったです。静かで、すごい学者って本当にすごいと思います。
時々、あり得ない展開の飲み会が挿まれたりしますが…そこはもっと普通に時代を俯瞰した形で書かれた方がよかったのではないかなーと思います。きっと編集者と盛り上がっちゃったんでしょう。