なぜ戦争は伝わりやすく平和は伝わりにくいのか ピース・コミュニケーションという試み (光文社新書)

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334038687

感想・レビュー・書評

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  • 「情緒的」な戦争と平和の違いについて「論理的」に考えた本。戦争を始めるのは権力者であるが、それを拡大していくのは大衆心理の影響が大きい。
    戦争シナリオの作られ方、メディアのあり方など
    決して過去の話でなく、今の政権下の日本について考えさせられた。

  • 様々なジャンルからデータ、概念を取り寄せ、平和について論究している。しかし、冒頭で言及されているとおり、戦争よりも平和の方がイメージが貧困なことが図らずも露呈した内容になってしまっている。骨太な説得力はないが、平和論に少し違う視点が欲しい人に最適。

    ・プレゼンは結論の内容とそこまでの道筋を重視。コミュニケーションは、出発点を見極める行為。私たちの社会でプレゼンし合っても、どちらも正しい可能性が在る以上、むしろ争いを助長する。
    ・戦時下では疑問を差し挟み、慎重に判断を使用とする人を敵側に利する人とみなす傾向にある。
    ・本来、公平性よりも公共性を大事にすべき。
    ・ボスニアでは平和のために戦争を学ばない。
    ・藤原帰一:異なる記憶の出し合いは新たな認識を生むよりは、偏見の補強しか招いていない。
    ・オシフィエンチムではるか昔の歴史を学んでいたはずが、現在の問題として提示されたときの拒否反応。
    ・君たちに戦争責任はない。でもそれを繰り返さない責任はある。
    ・戦争を知ったメディア。身近な人:36%。テレビ:32%。教科書:22%
    ・伊勢崎:戦争はビジネス。だからこそ平和が産業化できない限り、戦争自体はなくならない。

  • 既存の戦争論・平和論とは一味違う切り口、すなわちコミュニケーションの立場から「戦争」と「平和」を論考しているところがユニーク。
    右派左派の従来の硬直した思考に、別の角度からの論理的思考を加えることで、伝わりにくい平和をどう視覚化して伝えていくかが検証される。

  • 「なぜ戦争はなくならないのか」という言説の本は右から左まで様々ありますが、それを「なぜ戦争は伝わりやすく平和は伝わりにくいのか」という、コミュニケーションの視点から戦争論を語る本は他になく、大変興味深い一冊でした。

    題名の問いについてはあっさり序章で明らかにされてしまい、本章では主に戦争がおきる構造を「伝わる」「伝える」を軸に説明されていきます。これが本当に分かりやすい。

    さらに個人的に面白かったのは第4章以降。
    1-3章で大変分かりやすく戦争のカタチが「伝わった」上で、では平和はどう伝えていくのかという、平和教育についての筆者の違和感と考えが、様々な資料を行き来しながら展開されていきます。伝わりづらい平和を伝えるにはどうしたらよいか、戦争を伝えることは、平和を伝えることに繋がるのだろうか。


    毎日の生活が忙し過ぎて、戦争と平和の問題なんて考える暇のない日々ですが、こうして世界の未来と教育に思いを馳せることができた、有難い一冊でした。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/685493

  • ドイツ、ポーランドの共通歴史教科書作りは大変示唆に富む。

  • 社会
    戦争

  • 「反戦」≠「平和」

    -http://naokis.doorblog.jp/archives/peace_communication.html【書評】『なぜ戦争は伝わりやすく平和は伝わりにくいのか』反戦は平和ではない件
    -http://naokis.doorblog.jp/archives/my_best18_books_2015.html【読書】2015年読了マイベスト

    <目次>
    序 章 コミュニケーションから考える「戦争」と「平和」           
    第一部 戦争のキモチをつくる――三位一体モデル  
     第1章 「権力者」の法則――戦争シナリオのつくられ方
     第2章 「メディア」の構造――偏向ニュースのつくられ方           
     第3章 「大衆」の心理――群衆マインドのあらわれ方            
    第二部 平和のココロをつくる――戦後71年目からの「問い」 
     第4章 これからの「平和教育」を考える 
     第5章 戦後71年目からの宿題                       



    2015.07.17 新書巡回にて
    2015.07.28 予約
    2015.08.13 読書開始
    2015.08.19 読了

  • 病気になるまで、健康のありがたさが分からないという話と類似の話。ただそれだけでは無く、世論のあり方や物事の捉え方の主観性・客観性の話も含まれている。
    要点をもっとまとめて書けばいいのに、色々書きすぎで薄まってる気がする。

  • 「相手の前提に立つ」という異なった視点の導入。なぜなら「伝えている」のに「伝わっていない」のとの代表格がまさに「平和」であり、その伝わらない理由を考え、理解するためにには、相手の視点から眺めてみるしかすべはないからだ。

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著者プロフィール

1966年高知県生まれ、上智大学大学院外国語学研究科国際関係論専攻博士前期課程修了、デンヴァー大学大学院国際関係学部博士課程修了(国際関係論、Ph.D.)。日本国際フォーラム研究員、明治大学専任講師を経て、現在、明治大学政治経済学部助教授。主著に『同盟の認識と現実』(有信堂、2002年)、Alliance in Anxiety (New York: Routledge, 2003)、「9・11後の米中台関係」日本国際問題研究所『国際問題』(2004年2月号)がある。

「2004年 『比較外交政策 イラク戦争への対応外交』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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