はじめての不倫学 「社会問題」として考える (光文社新書)

著者 :
  • 光文社
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感想 : 40
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334038731

感想・レビュー・書評

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  • 同じ著者の「性風俗のいびつな現場」がなかなか良かったので、買ったのだが、こちらは中々に酷かった。
    両書とも基本的には様々な角度、手法から特定の問題にアプローチする感じなので、一冊の本としては散漫になるし、内容的にも深いものにはならないのだが、この本ではそれがマイナスの作用しかもたらしていない。

    性風俗が不倫ワクチンとはなりえない、と前半部分で書いておきながら、結論的には条件付き婚外セックスを受け入れるべき、とし、その例示として自身のNPOの活動を紹介しているのだが、正直それが風俗と寸分違わないもので、論理破綻している。

    記述の多くは何を元に書かれているものなのかもよく分からず、かといって、体験談的なものとするには余りに表面的で、大凡お粗末としか言いようの無い本であった。

    不倫に対しては防げない、というのは分かるが、それを社会問題として捉えるならば、最終的には一夫一妻制の家制度以外の制度を取った場合にどのような社会を構築出来るのか、が一番大切な問題な気がする。
    DNA検査で父子関係がほぼ確実に確定出来る現代において、一夫一妻制を厳守する必要性は低くなってきてるのではないか。
    そうした中で両者の合意(お互い浮気をしないのであれ、するのであれ、そうした合意)に基づく関係の構築というのが、一番重要なものになっていき、その結果として、どのような社会制度が構築出来るのか、維持できるのか、という考察が一番必要なのではないかな、と感じた。

    とりあえず、本書については、散漫で浅い内容で、論理性も脆弱としか言いようがなく、作文、としかいえないような出来の本であった。

    • daiwaryu1121さん
      性風俗のいびつな現場も酷いですよ!!
      あんなの綺麗事のウソっぱちです。
      一般社団法人ホワイトハンズ「風テラス」が悪徳スカウト、悪質違法風俗店...
      性風俗のいびつな現場も酷いですよ!!
      あんなの綺麗事のウソっぱちです。
      一般社団法人ホワイトハンズ「風テラス」が悪徳スカウト、悪質違法風俗店に斡旋!これは酷い!! https://daiwaryu1121.com/post-15243/
      2018/10/28
  • 久々に「新書レベル」としか言いようのない本を読んだ。
    不倫を感染症ととらえてワクチンを考えるというコンセプトにほほうと感心して先を読むと、そのあと本の5分の2をつかって「不倫学入門」これがwikiなら要出典、独自研究?の嵐になるレベルのしろもの。後半のインタビュー事例はこの社会では不倫ではなく売買春と呼ばれるようなもの、そしてアメリカのカルト宗教のフリーセックスのネタ…巻末の参考文献のしょぼいこと。
    著者あとがきで、編集者に見せたとき「世界観がありますね」と褒めてくださったそうなので、私も褒めようのないものを見せられたらこれでしのごうと思う。
    新聞書評で2度ほど目にしたから買ったのに、だまされた感でいっぱい。

  • この本は大きく分けると2種類のコンテンツがある。
    1つは不倫の文化史。不倫は古今東西様々な形で行われてきたことについて丁寧に説明。
    もう1つは不倫の必要性を認めたうえで、それをどのような形で害なく実行できる体制を社会が整えるべきかを説いている。
    1つ目のテーマは面白い。著者がよく勉強しているであろうこともわかる。
    けど、2つ目のテーマに関しては著者が何を言わんとしているのかよくわからなかった。
    「不倫ウイルス」という言葉を定義づけをきちんと行わずに導入し、それをいかに根絶するかを説いているのだが、そもそも対象がきちんと定義づけされていないから何を言わんとしているのかよくわからない。
    1つ目のテーマについては充実しているだけに、残念である。

    ■自立とは、多くの依存先を確保している状態を指す
    ■生物学的に見れば、一夫一妻制はガラス細工のように壊れやすい代物
    ■人類が狩猟型生活を行っていた時代には、階級が生じにくいことから一夫一妻制が多数派だと考えられている
    ■一夫多妻制の社会で複数の妻を持つのは5~10%程度の裕福な男性のみ
    ■18世紀までのヨーロッパでは、性に関して自由主義的な考え方が普通だった。が、アメリカに渡ったピューリタンは極めて性に厳格
    ■不倫によって得られる強烈な性的快感は人生の充実に影響を与えない。覚せい剤の使用と同じようなもの
    ■近代以前の社会には、「リスクの少ない、制度化された婚外セックス」が存在していた

  • この本は、不倫を「発生を防ぐべき社会問題」として捉え、不倫を予防するための処方箋を提案するというコンセプトを掲げる。他の同じテーマの本と共通する内容として、不倫自体は防げない、なくならないものだということ、そしてその端緒である厳格な一夫一婦制自体が、人類の歴史において定着したのはごく最近であり、それ自体が抑圧だとする向きもあるということが書かれていた。様々な時代や社会において婚外セックスがどのように捉えられてきたかを列挙したうえで、家庭を壊さない婚外セックス、婚外セックスを前提とした夫婦関係、またポリアモリーの在り方を例に、丁寧な考察を重ねる。最終的に、「現行の夫婦関係を維持するために行うポジティブな婚外セックスを条件付きで受容する社会」を処方箋として提案していた。

    筆者の提案する「処方箋」が、今の社会に受け入れられるのはなかなか難しいと思うが、不倫を社会問題として捉え考察する視点は興味深かった。不倫を単に不届き者の悪行として個人に責任を押し付けるのではなく、不倫によって当事者が受ける不利益や家族に与える悪影響を社会や経済の問題として把握した上で、不倫を生みやすい環境や社会をどう変えていくか?という視点で考えることは非常に意味がある。不倫は、本音と建前というものが機能せず、グレーゾーンがどんどん小さくなり、何でも白黒つけようとする現代社会の弊害なのかなと思った。

    個人的には、夫婦関係が良好に保たれており、パートナーにまったく気取られることなく婚外セックスをし、そのことが夫婦関係を良好に保つことに寄与するのであれば、それを無理矢理に暴く必要もないのではないかと感じるが、制度としてそれが「アリ」になり、おおっぴらにそういうことがまかり通るというのはやはり受け入れがたい。また、読んでいてひとつ気になったのは、事例としてあげられているケースの中で、既婚女性が独身または既婚のパートナーとの婚外セックスを上手にこなしている例がほとんどなかったことだ。婚外セックスを(条件付きで)受容する社会を目指すのであれば、それは男性だけでなく女性にも適用されるべきなので、女性の例もあると良かったと思う。

  • 性欲と性行欲

  • 恋愛を真剣に考える本

  • 不倫学とは?難しいですね。

  • 学問としてアプローチはしているが、納得感はあまり感じられない。
    男女それぞれの事例は示唆に富んでいるが。

  • 不倫の学問。
    メモしておきたいのは、
    ・性欲と性交欲は別物。そのため、不倫をしている人には「セルフプレジャー(マスターベーション)」では代替できない
    ・一夫一婦制は、ほかの制度に比べてうまくいっているだけで、人類にとって最適ではない。複数の人を好き(ポリアモリー(複数恋愛))になるのは生物として自然なのかも。
    ・「クーリッジ効果」:新しいメスとの性的パートナーとの出会いがあるとオスの性的欲求が回復する現象
    また、不倫がうまくいくのは自身の家族との関係が良好であることという矛盾が皮肉でした。。

  • 一般社団法人ホワイトハンズ「風テラス」が悪徳スカウト、悪質違法風俗店に斡旋!これは酷い!! https://daiwaryu1121.com/post-15243/

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著者プロフィール

坂爪真吾(さかつめ・しんご)
1981年新潟市生まれ。NPO法人風テラス理事長。東京大学文学部卒。脳性まひ・神経難病等の男性重度身体障害者に対する射精介助、風俗で働く女性のための無料の生活・法律相談窓口「風テラス」の運営など、社会的な切り口で現代の性問題の解決に取り組んでいる。著書『性風俗サバイバル』『情報生産者になってみた』(共にちくま新書)、『「許せない」がやめられない』(徳間書店)など多数。Twitter @whitehands_jp

「2022年 『ツイッターで学ぶ 「正義の教室」』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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