若田光一 日本人のリーダーシップ (光文社新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (259ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334038984

感想・レビュー・書評

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  • 若田光一さんが国際宇宙センターの船長に就任し、フライトを目前にした緊急対処訓練の取材を通して、日本人のリーダーシップについて記す本。

    NASAの管制官マイク・ジェンセンの言葉が、印象的。
    「同じ目標に向かう時、チームの優先事項の共有が何よりも重要。リーダーは時に仲間のペースに合わせて、全員が同じレベルで状況を把握出来るように説明しなければならない。」事態の深刻さや優先度を理解して始めて自発的に行動出来る。
    若田さんのリーダーシップは、和を大切にする日本人ならでは。率直に物言うアメリカや欧州の文化ではないリーダー像。

  • リーダーシップにおける「トップダウン型」と「協調型」のバランスという切り口が面白い。緊急対処訓練(第3章、第5章)で至らなかった点をバンバン指摘されるのはきついなと一瞬思ってしまうが、本番前にストレートなフィードバックを受けられるありがたい機会なわけで、ここで受けた指摘を取り入れて成長につなげる素直さも重要なのだと思う。若田さんは宇宙飛行士に選ばれた時点で相当優秀だと思うが、そこからさらに成長しようと努力を続けているのはすごい。

  • あくまでも若田さんを取材した記事だが、リーダーシップとは何かというのを、時系列を持って考えさせられる。どんな職種でも程度の差こそあれ共通しているのかなと思う。

  • アジア人初のISS船長(コマンダー)若田光一。
    地球最大の国際プロジェクトのコマンダーに、アジア人として初めて選ばれた若田さんの秘密が書かれてあった。
    「日本人らしい、和の心を大切にしたい。ハーモニーを大切にしたい」という若田さんのこだわりに共感した。
    「和」のリーダーシップとは何だろう?
    最初から妥協しあうのではなく、異なる意見も述べ合っていく。その上で皆が分かり合えるようになるまでのプロセスを大切にする。
    コミュニケーションの積み重ねでこれを出来るようになる。
    日本人だから、日本人にしか出来ない「和の調整力」を鍛え続けることが必要なのだな。そして、その根底にあるのが「人間力」すなわち「思いやり」だ。こんな人が世に溢れたら、より良い世界になるんじゃないだろうか。
    「グリーンカード」が出てきたことも、宇宙兄弟ファンとしては嬉しい。

  • 図書館で借りて。コマンダーを輩出することがそんな重要視されているとは今まで知らなかった。油井さんが選抜された時のこともリアルタイムでは興味がなかったのか記憶になく。

    ISSで通用する日本型リーダーシップとは?という観点でまとめた本だが、その点は抽象的な話でもあり、新書一冊の限られた紙面では説得力を持たせるのが難しいように感じた。

    若田さんのT-38訓練の話が印象的。
    帰りの車の中で涙が出てくるという話。
    壁にぶつかってもがいている時に試行錯誤の中で成長する。自分で苦しんで体得した「対処法」は次の壁にぶつかった時にも役に立つ。

    油井さんがやたらと自衛隊のエリート!次代の期待の星!みたいな書かれ方をしていたのも印象的。

    外からの視点も面白いけれど、私は宇宙飛行士自身の言葉を聞く方が興味あるかも?
    若田さんご自身が書かれた本も読みたい。

  • 2011年、日本人宇宙飛行士の若田光一さんが、日本人として初めて国際宇宙ステーション(ISS)のコマンダー(船長)に抜擢され、搭乗までの訓練の様子や選抜の経緯などが詳細に書かれた本。
    船長として必要な能力を身に着ける為、様々な課題にぶつかりながらも懸命に取り組み、乗り越えていく姿に、とても勇気づけられます。
    リーダーとして強くチームを引っ張る一方で、調和も大切に、相手の立場も思いやる。若田さんならではの「和のリーダーシップ」。ある意味、日本人らしいリーダーシップの1つの理想形かもしれないと思えました。若田さんの謙虚で誠実な人柄はNASAの職員達からも非常に人気があるというのも何だか嬉しかったです。

  • 2011年、宇宙飛行士若田光一氏が日本人で始めて、国際宇宙ステーションの船長に選ばれた。筆者は、そのミッションが始まるまでの約一年間密着し、”NHKスペシャル 日本人船長(コマンダー) 宇宙へ~若田光一の挑戦~”というテレビ番組を制作した。本書はその取材を通して若田氏から学べる、リーダーの資質について記したものである。

    率直にいって、残念ながら内容が薄く、NHKの映像で十分だと感じた。

    宇宙飛行士は、体力・知力・人間性で類まれな能力を持ち、努力を惜しまない、選ばれし人々である。若田氏が優秀といえども、その猛者揃いの中では、卓越した存在ではなかった。その若田氏が船長という困難な任務を担うために、訓練し苦悩し努力する姿は感動的だ。特に、地上に作った宇宙ステーションの実物大模型で行う緊急対処訓練は、緊張感が伝わってきて、ミスをするたびにこちらがひやひやした。ただ、この様子は、NHKスペシャルを見た方がわかりやすいだろう。
    そして、リーダーの素質として、和の精神を大切にする”協調型”が大切で、さらに場合によってはピンポイントの”トップダウン”を採用するのが重要と結論づける。これは、ありきたりだ。他の宇宙飛行士と比較するなどして、もう一歩踏み込んだ洞察が欲しいところだ。

  • 日本人初の国際宇宙ステーション(ISS)船長となった若田光一さんが船長に選ばれてから任務につくまでの過程を綴った本。
    なぜ船長に選ばれたのか、日本人ならではのリーダーシップ論、和を重んじてどのようにリーダーシップを発揮するかが書かれていた。ISSの仕組みや訓練の様子もわかりおもしろかった。

  • 日本人として初めてISS(国際宇宙ステーション)の船長となった若田光一さん。船長として指名されてから実際にISSの任務に就くまでを追ったNHKスペシャルの取材班が、番組で紹介しきれなかった事実などをまとめた本。
    アメリカ、ロシアが長らく主導してきた宇宙開発で日本が存在価値を印象付けた日本人ISS船長の若田光一さん。その訓練の日々や、船長に求められる資質、ISSでの日常とは、など様々な側面から現代の宇宙開発の様子を紹介しています。
    日本人だからこそ発揮できるリーダーシップとは、「和」を重んじ、相手の立場を慮ってメンバーの能力を最大限に発揮させる環境作りだとおっしゃります。「船長」という響きから一国一城の主という印象を受けますが、実際は地上管制クルーとメンバーの宇宙飛行士との間を取り持つ中間管理職だという例えは民間企業出身の若田さんならではの分析でしょう。
    危機管理の手法、組織としてのパフォーマンスを最大化する配慮など、確かにISS船長の役目って中間管理職が担う役目と重なり、日々の仕事にも大変参考になる内容でした。

  • 忌憚なく意見を言い合い、その中から最善の道を見出す

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