物流ビジネス最前線 (光文社新書)

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (214ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334039318

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    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/685541

  • ある程度内容は古くなっていますが
    物流の歴史を知る意味では非常に良い本です。

    今でこそ当たり前に翌日に届き、
    当たり前のように通販は使われますが
    その背景を見るにつけ、まだそこに従事する
    人たちの改善はされていません。

    それと少しだけある時代の某運送会社のお話に
    触れられていましたが、バブリーな時代に稼げてたのは
    本当のお話だったようです。
    (知り合いの人がまさにその運送会社の人でした)

    終章のネットスーパーは…
    情報は少し古いかな。
    今は結構メインで使われているので。

  • ネットショッピングを例にとると、日本の消費者は物流面において恵まれすぎている。送料無料や翌日配送、日付指定や再配達が無料なのはどう考えてもおかしい。特に再配達は宅配便の配送車両の走行距離の25%を占めるという。
    実際にはそういったサービスも加味された商品価格になっているはずで、そういったサービスを使わない人たちも実質的に費用を負担していることになる。また、日本の消費者のほうがアメリカよりも迅速性を求めているという。物流会社やそこで働く人たちの負担が大きすぎる現状は改善されるべきであると思う。

  • 教科書っぽい。ラストマイル。日米の三社独占状態が良く似てるって話がふーんと思った。

  • ・アマゾンフレッシュの原型であるグロサリーのネット通販の起源は1996年にウェブバン社が始めて、物流に一番力を入れた。
    ・最終的に全米の26都市での事業展開を構想し、各都市に大規模な物流センターを作るべく、10億ドルもの建設費を投じる計画だった。また、配送用トラックもトラックドライバーも大量に雇用した。
    ・が、2000年にITバブル崩壊で、次々とセンターは閉じて、2001年に経営破綻した。
    ・アマゾンも同時期に経営危機に直面した。が、大規模なコスト削減とリストラにより、経営危機を乗り切った。

    ・ウェブバンの失敗は物流センター内の作業効率の悪さと商品の配送圏域設定。

    ・アマゾンはウェブバンの元経営幹部4人を新たに雇用し、グロサリーの成功ポイントを調査した。結果、スモールスタートと顧客への配送効率と物流センター効率化が挙げられた。
    ・その後、アマゾンフレッシュはサンフランシスコとロサンゼルスに限定して、2013年に開始し、2014年にサンディエゴ・ニューヨーク・フィラデルフィアと、徐々に拡大していた。
    ・ウェブバンで物流ロボットの開発をしていた技術者もアマゾンに取り込む。(キバシステム)

    ・アマゾンは自社物流センターを「フルフィルメント・センター」と呼んでいる。
    ・受注管理や在庫管理、ピッキング、パッキング、発送、代金請求、決済処理、返品処理、苦情処理などをイッテに引き受けている。
    ・「フルフィルメント・センター」は111,500平米~130,100平米で、1000人程度の作業員。(日本には、小田原に200,000平米という巨大なセンター)

    ・アマゾンではドローンによる配送実験を明らかにしている。また、千葉市でも2019年にドローン配達の実用化を目指している。

    ・ネット通販を成功させるには、「ラストマイル」と「物流センター」を有機的に結びつけ、機能を高めていく必要がある。
    ・また、在庫管理も重要。在庫が増加すれば、企業の収益性に悪影響を及ぼし、経営が不安定になる。

    ・アスクルは埼玉県に「アスクルLogiPARK首都圏」という72,000平米で7万アイテムを取り扱う大規模な物流センターがある。

    ・楽天は、モールに参加する企業が個々で管理/保管/ピッキング/パッキングを行い、宅配便で配送していた。が、物流のサービスレベルがまちまちで、欠品や到着遅れなどが頻繁に発生していた。
    ・そのため、2010年に楽天物流を設立し、「楽天スーパーロジスティクスサービス」という物流支援サービスを提供している。
    ・楽天のフルフィルメント・センターは関東に2個、関西に1個。正確な作業を迅速に行い、かつコストが安い物流サービスを提供する。

    ・ラストマイルでは、郵便局と宅配便がある。もともと国営の郵便局が担当していたが、民間に宅配便事業者が成長し、民間がトップになっている。(日本もアメリカも中国も)
    ・配送時の商品の破損や配送遅延、誤配送等をアンケート取ると、日本は格段に不満が低い。日本の輸送サービスは高い品質がある。逆に中国はとても低い。
    ・中国では、貨物はゴミのように扱われ、乱雑に高く積まれる。オートバイで集荷した貨物は道路脇の地べたにそのまま放置される。
    ・アメリカも、精密機械のカメラを玄関の入口から中に放り投げる配達や、液晶テレビも玄関の塀から放り投げる配達が普通。

    ・ネット通販では返品が多い。返品は売上にならないし、処理に余計なコストがかかる。
    ・再配達問題が悩みのタネ。再配達となる貨物は20%。さらに3%は2度以上の再配達となる。ラストマイルの工数不足につながる。国土交通省の調査では、ドライバーが9万人足りていない。

    ・ヤマト運輸の宅配便は、初日の取扱数は11個。現在の宅配便の年間取扱量は36億個。
    ・宅配便のシェアは、ヤマト45%、佐川33%、日本郵便13%、西濃3%、福山3%。
    ・運賃は、佐川が平均530円/個だったが、2013年には460円/個に値下げ。ヤマトも666円/個から2014年には574円/個に値下げしている。佐川がアマゾンに値上げ交渉したところ、アマゾンから縁を切られた。
    ・アメリカは実はもっと高い。日本は貨物の大きさと輸送距離で値付けするが、アメリカは、石油価格上昇追加料金、一般家庭向け配送追加料金、効率悪い地域への配送手数料金など、追加コストが大きい。

    ・宅配便はハブ・アンド・スポーク型のネットワーク。ヤマト運輸は「ゲートウェイ構想」として、東京/名古屋/大阪の3大都市圏で当日配送を実現しようとしている。「厚木ゲートウェイ」が首都圏では稼働し、ハブ間の大型トラックによる幹線輸送を実施している。
    ・幹線とは別に「羽田クロノゲート」という一般の見学が可能な物流施設もある。

    ・トラックドライバーが不足している。2014年3月末には実際に不足しすぎて輸送が滞る深刻な事態になった。トラック輸送は日本の貨物輸送の91%を担う。
    ・トラック業界の下請けは七次下請まで存在する。荷主が払う手数料は下請け分引かれるため、最後の下請けが受け取る運賃は…
    ・環境問題に対する規制強化など、石油価格の高騰等も影響するし、安全性を高めるためにより高価なトラックも必要になる。
    ・ドライバーの賃金も低下し、ドライバーの長時間労働は加速する。ドライバー自身も賃金が減少する中で収入を確保しようとして、労働時間は増えた。
    ・製造業と比較しても、2001年は90%、2014年には81%の賃金であり、月間労働時間も製造業の180時間に対して、トラック運送業は210時間に達する。
    ・全産業に占める女性労働者の割合は43%だが、トラックドライバーの女性労働者の割合はなんと2.4%。

    ・このまま進むと、地方や僻地で買い物難民が発生すると予想されている。

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    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/685541

  • えらいひと推薦。
    物流業界におけるドライバー不足問題と、日本の少子高齢化、ネットショッピングの利便性とを織り交ぜた内容。
    宅配便ユーザーとしても、一企業に勤めモノを動かしているサラリーマンとしても、そして超高齢化社会:日本に住んでいる国民としても、考えさせられる一冊だった。

  • 通販の急成長により、物流ビジネスにスポットが当たり始めたので読んでみたが、私にはあまり参考にはならなかった。

  • 主張の大筋は間違っていないが、それをサポートするエビデンスや背景の説明が嘘だらけで人には勧められない。
    門外漢が書いているのかと思ったら神奈川大経済学部で物流や交通経済を専門にしている教授。確信犯でやっているのか、細かいことに無頓着なのかわからないけれども世も末。
    ネットスーパーについての部分のみ参考になったので星一つ

  • 物流の専門家による物流の現状について述べた本。アマゾンをはじめとするネットビジネスのほか、ヤマト、西濃、日本郵便など輸送業についても記述が詳しい。ただし輸送については、既読の「仁義なき宅配: ヤマトVS佐川VS日本郵便VSアマゾン」の方が内容は詳細であった。海外との比較は今まで見たことがなかったので、参考になった。
    「企業組織の中で物流部は、華々しさからはほど遠い、人事の吹き溜まりの部門だった。物流部に配属させられることは左遷を意味していた。このことは、かつて企業の中で物流がどのような位置づけにあったかを端的に示している」p6
    「(アマゾン)創業者で最高経営責任者のジェフ・ベゾフが1994年にアメリカ西海岸のシアトルで書籍のネット通販を始めて以来、目を見張るような成長を遂げてきた。2015年の売上高は1070億ドル(13兆540億円)にも達する」p21
    「最近、アメリカで注目されているのが「アマゾンフレッシュ」である。アマゾンは、2013年から、グロッサリー(肉、魚、野菜などの生鮮食品や生活雑貨、日用品など)のネット通販を巨大な都市に限定して開始した」p22
    「ネット通販は、物流に関するノウハウやスキルを持ち合わせていなくても事業を開始することができる。しかし、軽視していた物流の運営の失敗が響き、バブル崩壊という逆風の中で経営破たんに陥ったネット通販が多かった」p33
    「アメリカの宅配便は著しく寡占化が進んでいて、少数の宅配便事業者によって市場のほとんどが占められ、地域の運送業者が占める割合は数%程度だといわれている。これに対してアマゾンは、全体の配送のうち、18%をこうした地域の運送業者にに委託している」p59

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