村上春樹はノーベル賞をとれるのか? (光文社新書)

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  • 光文社
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (259ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334039431

感想・レビュー・書評

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  • 毎年のように村上春樹のノーベル文学賞受賞が実現するかどうかがニュースで報じられますが、そもそもノーベル文学賞とはどのような性格のものなのかということについて論じている本です。

    著者自身が「まえがき」でことわっているように、村上の文学についての考察はそれほどおこなわれていません。そのことについてはとくに不満はないのですが、ノーベル文学賞の理念とする「世界文学」について、もう少しくわしい議論を展開してほしかったように思います。著者自身はそうした「世界文学」の理念に批判的なスタンスを示しており、また日本のみならず東アジアの文学に広く精通しており、ポストコロニアルの問題についても鋭敏な感覚をもっている著者だけにそうした期待があったのですが、本書はさまざまなノーベル文学賞受賞者や受賞を逃した作家たちについての散漫なエッセイといったような内容で、やや不満に感じてしまいました。

  • 客寄せ的なタイトルですが、村上春樹云々は数十頁のみで、大部分の "ノーベル文学賞とは何か" という内容が興味深かった。
    決定していても直前に亡くなれば授賞はなく、国別、言語別、カテゴリー別に暗黙の持ち回りがある、エンターテインメント系作家には決して授賞はないなど。一年に一人という間尺に生きてるうちに合わない、何十年に一人、百年に一人といった天才には回ってこないと。次の日本人はイシグロではないかと当てていた。
    それにしても著者の「世界文学」の知識がすごい。非受賞の愛すべき大作家たち、偉大な作品が出るわ出るわ

  • 村上春樹は、今年も騒がれたけど取れなかった。本人は、騒がれることにうんざりしてるだろうなぁ。

  • タイトルと中身はちょっと違くて、どちらかというとノーベル文学賞ってこんな賞で、こんな作家が今まで受賞してたりしてなかったりして、その裏ではこんな事情があって…みたいな、村上春樹よりもノーベル文学賞に焦点を当てた本(もちろんタイトル通りの考察もされるけど、あんまり重点は置かれてない)。
    最近暇になるとWikipediaのノーベル文学賞の項目を見てふむふむと思っていたりしたので、この本ではその傾向などが整理されていて大いに参考になった。
    ただ受賞してない人の紹介のところでは「俺ってこんなに色々読んでんだぞ」という自慢を感じてしまったのは自分の心が貧しいからですかね。もっと読まないとね…。

    ただこれだけ考証してても「最近ボブ・ディランが取りざたされてるけど受賞はありえない」的な文言で説得力が皆無に…。

  • 2016/10/5

  • 特に文学賞に興味が向いている今、手に取った作品ということもあるけど、かなり面白く読ませてもらいました。村上春樹とノーベル賞の親和性についても頁数は割かれているけど、むしろノーベル賞の何たるかを検証する点に重きが置かれていて、世界規模の文学賞の実際が見えてくる構成。過去の受賞者とか(北欧偏重)、男女比とか(男性偏重)、まあ何となくそうなんだろうとは思いながら、改めて指摘されるとへーって感じ。アジア枠みたいな中に日本人も入っていて、中国とか韓国とかも合わせて選出、みたいになってるんですね。そうなると、目下一番のライバルがカズオイシグロってのも納得。いよいよ今年のそのシーズン。周りが騒ぎすぎ感が大きいけど、やっぱり取っては欲しいですよね~。

  • 毎年のように恒例となった村上春樹のノーベル賞受賞騒ぎ。何か非常に確度の高いように思っていたが、実際はそうでもないんだ。他の理系の賞と異なり、多分に政治的な要素があることが分かる。

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著者プロフィール

1951年2月、網走市に生まれる。文芸評論家。1981年「異様なるものをめぐって──徒然草論」で群像新人文学賞(評論部門)優秀作受賞。1993年から2009年まで、17年間にわたり毎日新聞で文芸時評を担当。木山捷平文学賞はじめ多くの文学賞の選考委員を務める。2017年から法政大学名誉教授。
『川村湊自撰集』全五巻(作品社、2015‒16年。第1巻 古典・近世文学編、第2巻 近代文学編、第3巻 現代文学編、第4巻 アジア・植民地文学編、第5巻 民俗・信仰・紀行編)。

「2022年 『架橋としての文学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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