目に見える世界は幻想か? 物理学の思考法 (光文社新書)

著者 :
  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334039684

感想・レビュー・書評

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  • 物理を苦手と思っている人のための数式を使わない物理学の本ということですが、物理学を学びながらも全く畑違いの分野に進んだ元理系オヤジの原点回帰読書として速攻読み!正月で緩んだ頭が少しはシャキッとしたかな?でも、計算が有ろうが無かろうが、学生時代に引っかかったところは、今でもムムムです。それは「シュレジンガーの猫」にあたる波束の収縮の瞬間の解釈のあたりから…でも、ここら辺が、物理の面白いところです。コペンハーゲン解釈の現実主義が、昨今の量子コンピュータに繋がることも改めて。著者は、もしかしたらサイエンス・コミュニケーター役を買って出てるかも。人工知能に負けるな、物理学!と、言いつつ、結局、普遍を考えるということは、考えている人間を考えること、と宇宙論における人間原理にも思いを馳せ、シャキッどころかモヤモヤの正月明けでした…

  • 物理学を敬遠してきた人に物理学を紹介するコンセプト。敬遠する理由として難解な計算があるからだ、として、この本には計算式は一切出てこない。
    そのコンセプトはポリシーがあって良いが、やはり計算式や適切な図表抜きでは説明が難しい内容もあるのではないか。

    読了60分

  • 物理学の歴史を、その誕生から万物の理論まで通史的に浅く書いた本。切り口がなく、のっぺりした感じで、どれも聞いたことのある話しばかりだった。

    用途としては、辞典的に使うか、頭の整理に使うか。または、物理学略史を学ぶためか。

    記述は数式は出てこないものの、この手の本にありがちな逸脱した喩えなどなく、正確を期している。

  • 内容は比較的平易に書かれていたけど、タイトルの「幻想か」については直接的な言及がなく消化不良。

  • 著者の松原隆彦氏は、統計的宇宙論を専門とし、宇宙に関する一般向け書籍も多数著している科学者。
    著者は冒頭で、本書について「主に文系出身者など、これまでほとんど物理学には縁がなかったという人々に向けて書かれた物理学の入門書である。・・・物理学とはどのようなものなのか、数式だけでなく難しい図表も一切使わず、ひたすら言葉だけで書くことにした」と語っている。
    そして、まず、物理学の目的(本質)を「複雑で予測不可能にも思える現実の現象について、そこに秩序を見出すことにある」とし、物理学の研究・進歩の歴史を辿る形で、コペルニクスの地動説に始まり、ガリレオの天体観測、ニュートンの運動法則、原子論と更に微小な世界、ハイゼンベルクの行列力学、シュレディンガー方程式と波動力学、量子力学に対するコペンハーゲン解釈、アインシュタインの相対性理論、マックスウェル方程式、未完成の量子重力理論等々、物理学がこれまでに何を解明してきたのかを解説している。
    そして、最後に、「本書で最も伝えたかったことは、この世界が人間の常識的な感覚で思うようなものにはなっていない、という事実だ。・・・その理由は物理学者にもよくわかっていないのだが、自然はなぜか美しい理論によって説明できるように作られているようなのだ。・・・人間の見た目通りの世界は、本当の世界の姿なのではなく、そうではない何か別の世界のようなものから現れ出てきたようなのだ。そうでなければ、見た目通りの雑多な世界の中に、どこでも成り立つ物理法則というものを見つけることはできないだろう」とし、“目に見える世界は幻想か?”と言っているのである。
    私はまさに著者がターゲットとした文系出身者であり、これまでに佐藤勝彦氏らの物理学・宇宙論関係の新書を数冊読んでいる程度で、正直なところ本書の説明についていけない部分は多々あったが、物理学の歴史の大きな流れを掴み、著者が物理学の未来に期するものを感じることはできたように思う。
    (2017年4月了)

  • 物理学には縁もゆかりもない私が読み切れたので、数式・図表ナシを謳っていて、なおかつ分かりやすさがあると思う。

    純粋に世界は「何」で成り立っているのか。
    それを追究してゆくと、そこには人の限界を感じさせられる壁がある。
    人には見えないモノを、どう考えるのか。
    数字に置き換えていくことで、掴み取った真実もまた、時代の認識が必要であったり、ある日突然嘘であることを証明されたりする。
    それでも、人が考えることって、何かとてつもない仕組みのように思う。

    見えないモノを見るために、27kmもの加速器を世界が協力して創り上げてしまう。
    それでも未知の部分があって、人間の持ち得る資源を使うような方法では、全てを明らかにすることは出来ないのかもしれない。

著者プロフィール

■松原 隆彦(マツバラ タカヒコ)
高エネルギー加速器研究機構、素粒子原子核研究所・教授。博士(理学)。京都大学理学部卒業。広島大学大学院博士課程修了。
東京大学、ジョンズホプキンス大学、名古屋大学などを経て現職。主な研究分野は宇宙論。
2012年度日本天文学会第17回林忠四郎賞受賞。
著書は『現代宇宙論』(東京大学出版会)、『宇宙に外側はあるか』(光文社新書)、『宇宙の誕生と終焉』(SBクリエイティブ)など多数。

「2020年 『なぜか宇宙はちょうどいい』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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