ルポ ネットリンチで人生を壊された人たち (光文社新書)

  • 光文社
3.44
  • (5)
  • (11)
  • (14)
  • (2)
  • (2)
本棚登録 : 223
感想 : 15
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (501ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334039721

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • いわゆる炎上した人のその後と、なんで炎上が起きるのかを探った本。炎上者のその後の人生の話は、本当にいたたまれないし、言葉は悪いが読みごたえがある。アメリカで炎上するって事は、全世界で炎上するって事だからなあ……。

    炎上を「公開羞恥刑」という観点で読み解くのは良いが、個々の考察はやや浅い。特に炎上でプラットフォーマーが儲けているのではないかという話は、重要な論点だがさらっと流されている。良くも悪くもテレビのドキュメンタリーの台本を読んでいる感じ。手法とテーマがあってない気がする。

    とはいえ、インターネット上のコミュニケーションを考える上で、重要な一冊である事は間違いない。その手のことに興味がある人は必読だな。

  • なかなか読みにくい翻訳で、著者の結論、何が言いたいのかというところが置き去りにされている気がした。

    ちょっとした悪ふざけをTwitter、Facebookに投稿したところ、大炎上して、勤め先を解雇され、奈落に突き落とされた人たちを紹介している。
    なぜ、ネットの炎上があらゆる人の心を破壊するのか、「恥」というものの正体を暴きながら物語は進む。
    結局、ネットの炎上を本人が「恥」と感じなければなんともないのかもしれない。
    職を奪われるのはキツいが。

    最後の方に出てきた、ポジティブな情報でネガティブな情報を押し込めるサービスを提供している会社のビジネスモデルがとても面白いと思った。
    確かにちょっとした間違いだけで、その人の将来まで奪ってしまうのは酷だと思う。
    ネットの炎上は、時には心や命まで奪ってしまうから。

  • アメリカ独自の状況の説明が多すぎて卒論には使えそうもない。ただ、ル・ボンとジンバルドについての説明については本に書かれていない話があるので役立つであろう。さらに最後でgoogleの検索で最初に出ないために、SNSについての多くの新しいアカウントを作成して、さらに新しい写真を掲載する、ということは炎上された人には有効である。
     これはジャーナリズムの宿命で、新しい情報にはとびつくというマスコミと同じ状況である。

  • 少なくとも私はこの本を読んで炎上案件に一切言及しない、関わらないことを決めた。……もちろん何かの拍子にやってしまう可能性は大いにあるけども。
    私刑は本当に良くない。

  • 借りたもの。
    ツィッターやSNSを通して起こる「炎上」の当事者たちのインタビューを通して、彼らのその後と「炎上」にある人間の群集心理とは何か、その本質を探ろうとするルポルタージュ。

    書籍の中で中心となる事例は、ジャーナリストのジョナ・レーラーのねつ造と、ジャスティン・サッコのブラックジョーク。
    勿論、彼らの行為には非があるが、それは世界中から攻撃され、将来さえも奪われるほどなのか?
    「炎上」を促す群集心理は集団ヒステリーなのか?

    その現象を、著者は公開羞恥刑と呼ぶ。
    私は以前、アメリカの羞恥刑について取り上げたTV番組を見たことがあるが、再犯の抑制に繋がるそれとネット私刑には結びつかなかった。
    懐疑的に読んでいた訳だが、著者は結局、別物と判断したようだ。
    そしてネット上のバッシング(「炎上」)の方がはるかに恐ろしく、漠然とした存在であった。

    インターネット上のバッシングの正体は何か?
    また、そうなる人とそうならない人の違いは何なのか?

    著者はその原因に「恥」の概念があると考え、検証を重ねてゆく。
    「恥」に繋がるものとして、自己啓発セミナーや、ポルノ女優(!?)に取材して確たるものを求めるも、それは得られずじまいだった。
    個人的には「恥」という概念――バッシングする人は対象者に「恥」をかかせるのが目的である――という著者の仮定は納得できなかったので、「やっぱり」という感想しか持てなかった……


    結局それは“集団(バッシングする人々)によって価値観が変わる”ことによる現象だった。

    読んでいて私は、それが誰しもが持つ「自分の正しさ」、正当性の誇示がバッシングの正体ではないかと考える。
    日本の「炎上」についてまとめた、安田浩一『ネット私刑(リンチ)』( http://booklog.jp/item/1/4594072925 )よりも、科学的な検証や公平な取材に基づいており、納得する。やっぱりルポライターはそうでないと。

    多角的に切り込もうと、色々な事象を参考に検証する分、別の話題でも多く知ることができた。
    群集心理って、いわゆる疑似科学的なものだったのね……

  • SNSは、名も無き一般人に力を与えた。ネット上で見知らぬ私たちが繋がりあうことで、大企業や、時には政府にも立ち向かえるようになった。しかしその一方で、私たちは、残酷すぎるために廃止された見せしめの刑を復活させてしまったのかもしれない。
    多分、まだ新しく手に入れたこの力をうまく使いこなせていないんだろう。過去の権力者達も散々やりすぎてきた。そしてやりすぎた歴史から学んだ。彼らから学べることはあるんじゃないかな。

    Public DisgraceのDVDはアマゾンでも扱っているので、レビューを読んでみた。沢山出ているのね。調教師役の女性がプリンセス・ドナ・ドロレかな?パッケージを見ただけでは、著者が取材した時の撮影はどれだかわかんないわ。
    草間弥生みたいに、完全なサプライズではなく、道行く人達はエキストラなのね。

    自分の物語を書くのにも、客観性は必要だ。客観性とは真実のこと。

    映画『シャッターアイランド』のベン・キングスレー演じるジョン・コーリー医師のモデルになったのはジェームズ・ギリガン。レオナルド・ディカプリオが主演なのね。観たい。

  • ネットでの「炎上」事例を集めたもの。外国の事例なので具体的には知らなかった例ばかりだが、日本と状況は似ているかも。

    かつては公開の場での処刑というものは非常に効果的な刑罰であったが、都市化に伴い他人に関心を示さなくなってきており羞恥刑の意義は薄れていったと考えられていた。これが復活したのが炎上だという。
    しかも一般の刑罰は罪に応じた量刑が決まっているのにこちらは際限がなくなりやすい。少なくとも軽い罪でその人の一生を台無しにするような刑罰はくだされることがなかったのに、SNSなどの発達によってこの原則が覆されつつある。

    ネットで炎上が起きやすいことの原因として、おそらくいちばん正確なのはメルセデス・ヘイファーという掲示板荒らしの「ああなりたい、こうなりたい、という願望はあるけれど、どれも自分には無理だとわかっています。それでインターネットに流れてくるんです。インターネットでなら、普通なら無力であるはずの状況で、力を持つことができます」という分析なんだろう。

  • ネットでの炎上から身を滅ぼされる人がいるのは日本もイギリスも変わらないのだな。SNS利用者として無知のベールを被って自戒すべし。
    書籍としては取材したこと、それにより考えたことをだらだらと書き連ねているだけで面白くない。簡単に良し悪しを語れるテーマではないが、軸をもって再構成して欲しかった。恥という概念への着目はよかっただけに残念。

  • 女はレイプで、男は失業。

全15件中 1 - 10件を表示

ジョン・ロンソンの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
塩田 武士
村田 沙耶香
スティーブン・ピ...
リンダ グラット...
ヴィクトール・E...
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×