東京郊外の生存競争が始まった! 静かな住宅地から仕事と娯楽のある都市へ (光文社新書)

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334039950

感想・レビュー・書評

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  • 東京近郊の”街”をテーマとした本を同時期に続けて読んでみました。一つはこの本、もう一つは「街間格差」(牧野知弘著)です。同じテーマでありながらも好対照な内容になっています。「街間~」は不動産事情に詳しい著者ならではの視点で東京、特に23区に絞って今後の趨勢について語った内容になっており、いかにして(自分にとって)良い街を選ぶか、というスタンスです。対して本作は社会デザイン研究者である著者ならではといいますか、前半は統計データの羅列で少々退屈な場面も多かったのですが後半は衰退してゆく街を再生させるための施策が語られており著者の”熱量”を感じることができました(施策の良し悪しは別として)。住まいさがしの材料として読む場合であれば「街間~」は今後”買い”の街を探すこと、本作は街の”探し方”を考えるための一冊としてすみ分けるものといえるでしょう。

  • 東京都心は華やかだ
    住めばミヤコであるはずが
    格付けされるようになった

  • 日本の郊外が今後どのような発展、あるいは衰退を遂げていくかという話。
    著者は『下流社会』でおなじみの三浦展。

    基本的に少子高齢化の影響で割と悲観的なのは仕方ないとして、色々とと勉強になった。

  • 郊外の住宅は価値が下がり、売るにも売れない、今後ますます郊外と都心では差がでてしまう話。

  • ある年代になって「せんべろ」という言葉に誘われ、東京近郊の街をそぞろ歩くようになって、戦後の生活遺産としての飲み屋街に激しく惹かれています。また、その横丁のスナックのママさんたちの昭和史オーラルヒストリーも波乱万丈の面白さ。でも再開発や高齢化でどんどん死滅する予感がしています。自分にとってはレガシーな街探検が、本書では未来の郊外の生き残り策として語られます。それは第5章の「郊外に夜の娯楽を復活せよ!」のあたり。その中で1920年代に「夜の都市計画」を提案していた石川栄耀の存在を初めてしりました。また第4章で言及される「センシュアスシティ」(官能都市)というコンセプトにもなるほど。などなどい、「LIFE SHIFT」的100年人生時代の第二の人生や副業解禁なんどが街をも大きく変えていくとこを感じました。ちょうど30年前の著者の「第四山の手論」のエピソードⅧとして無茶苦茶面白かったです。東京シティ・ウォーズ エピソードⅨはどうなるのか?

  • 人口の推移の説明をしている。原因までは明らかにはしていない。
    職住近接を求めて都心へ。
    住みたい街は食べたい街。
    交通、子育て、消費。仕事。
    アマゾンが使いやすい街。

  • コーホート増減。増加するのは海外から転入があった時のみ。
    2016年の23区において、890万人中、38万人が外国人。将来的には、1割が外国人になりそう。
    23区の女性未婚率をみると、30歳で47.9%、35歳で31.9%。
    会議をチャットにすると、会議時間が半分になる。
    通勤時間がなければ、早くに仕事を開始し、早く終わる。
    自動運転技術が確立されれば、車がガクっと減る。

    自動車産業は、IBMが製造からサービスに移管したように、mobirity solution system会社になるべき。

  • ・住みたい街は、その人が今住んでいる地域によってかなり変わる。首都圏を平均すると吉祥寺が1位になるが、現在の居住地別に見ると、基本的には自分が今住んでいる地域の近くに住みたい街があるのだ。(p.87)

    ・現在「新・四畳半暮らし」をしているのは、郊外で生まれて、都心で就職した、未婚の若者だろう。彼らは、「父親のように長距離通勤はしたくない」と思っている。(p.110)

    ・少なくともほぼ8割の若者は生まれ育った県内に住むと言えるのである。(p.121)

    ・住みたい街は食べたい街なのだ。まず、ある街に食べに行き、美味しければその街が気に入り、そこに住みたいという流れがあるのだろう。(p.134)

    ・郊外には、毎日の通勤には遠すぎるが、在宅勤務の場所としては環境がよいという地域もある。(p.157)

    ・地域ごとに固有のニーズを満たすコミュニティ・コンビニエンス・プレイス=コムビニをつくるのである。(p.174)

    ・住宅地の空き地に、コミュニティーカフェの機能を併設するコワーキングスペースをつくり、周辺地域のみならず、都心からもそこに働きに来る人を呼び込む。(p.182)

    ・コモビリティは、不特定多数の人が乗る従来のバスやコミュニティバスではなく、ある程度特定された近隣住民が会員となり、スマホなどで予約して自宅の前まで迎えに来てもらうほうがよかろう。(p.185)

  • 東京は2000年以降の人口増加が大きいが、都心から30〜50km圏で人口減少が起きている。1970年代からバブル期までに開発された住宅地では、そこで生まれ育った2世たちが流出して生産年齢人口が減少し、親世代の高齢者ばかりになっている。

    2005〜2015年のコーホート増減により、自治体のタイプを分けられる。
    成長型:町田市、横浜市都筑区、西区、川崎市川崎区、鎌倉市、流山市、柏市、船橋市、千葉市緑区、中央区、越谷市、川口市、さいたま市浦和区、緑区、川越市、白岡市
    学生街型:多摩市、八王子市、国立市、国分寺市、小金井市、所沢市、川崎市多摩区、千葉市花見川区、厚木市
    若者型:武蔵野市、調布市、府中市、川崎市中原区、幸区、横浜市中区、さいたま市大宮区、浦安市、松戸市、市川市
    衰退型:青梅市、立川市、狭山市、春日部市、入間市、飯能市、秩父市、鳩山町、さいたま市岩槻区、千葉市美浜区、横浜市瀬谷区、栄区、泉区、横須賀市、三浦市

  • 住むだけの街は、娯楽もそなえた街になるべきだと。住みたい街の調査から、いろいろと考察。自分の住む街がその調査に入っていないのがちょっと気になる。

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著者プロフィール

三浦展(みうら・あつし)
1958年生まれ。社会デザイン研究者。カルチャースタディーズ研究所代表。家族、若者、消費、都市、郊外などを研究。著書に『 「家族」と「幸福」の戦後史――郊外の夢と現実』 (講談社現代新書) 、 『ファスト風土化する日本――郊外化とその病理』 (洋泉社新書) 、 『東京は郊外から消えていく!』 『首都圏大予測』 (光文社新書) 、 『愛される街』 (而立書房)などがある。

「2022年 『中央線がなかったら 見えてくる東京の古層』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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