長い長い殺人 (カッパ・ノベルス)

著者 :
  • 光文社
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感想 : 87
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334072360

感想・レビュー・書評

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  • 後の『模倣犯』の原型ともいえる作品。色や金銭だけが動機ではない犯人。マスコミを巻き込んでの劇場型犯罪。
    それによって踏みつぶされていく『普通の人』たち。
    宮部みゆきの真骨頂ともいえる群集劇。
    客観的に描くために、章ごとの主人公の財布を語り手にしているところも面白い。
    財布ほど人の個性が出るものもそうはない。
    紙幣の数、小銭の種類の比率だけではなく、レシートの枚数やそれに記されている店名、商品などなど個人情報のかたまりだ。
    時には証拠品が仕舞い込まれたり、思いもかけない人の手にわたることもある。
    事件の犯人はかなり初めから示唆され、その周囲の人間たちがさまざまなかかわりをもっていく連作短編集の構成に近く、小説としての面白さは宮部作品の中でも際立っていると思う。

    そういえば、『犯人』の財布はなにも語らなかったな。

  • 語り手がなんと10人の「財布」。財布が持ち主を観察するという奇想天外な展開で、保険金殺人疑惑の謎を追っていく。ユニークな試みでありながら、よくもここまで人間の深層に迫っていける、と感心しました。内容はロス疑惑の三浦和義氏また林真須美容疑者を思い出ださせるものですが、犯人の論理にやや無理があるというのが感想です。

  • 遅々として進まない展開にイライラする。
    だから、途中で投げ出したままだ。
    恐らく二度と手に取ることはないだろう。

  • 「財布」の眼・耳から、ドラマを進めるって、面白いです。結末は、ウーム、ありそうな(読んだ者からの勝手な言い分か)。

  • 持ち主の財布がストーリーテラーという異色の物語。モノというのは持ち主に似るのか、それぞれキャラがたっていて読むスピードがあがってしまいますよ♪

  • すべてが財布目線で進む異色ミステリー。

  • 登場人物が持つ財布たちが語る物語。
    財布だから、カバンに入れられていると外が見えないし
    どっかに置かれると、持ち主の気持ちも状況も分からない。
    だけど、皆が知らない持ち主を知っている。

    面白い設定だし、ぐいぐい読ませる楽しさもあるんだけど
    犯人の出し方が気に入らない。
    AとBとCとDとが、もめてもめて、犯人誰でしょう。
    じゃーん、Kでした~!みたいな・・・・・
    大げさに言えばですけどね。

    文章が昔の外国ものを読んでいるようでした。

    ( ・_ゝ・) <おさいふは、見た!

  • 何故財布目線なのかだけが謎。でも確かに宮部みゆきの原点なのかな?という感じ。

  • 財布視点で話が進んでいく変わった趣向のミステリでした。
    短編を読み進めていくと全てつながっていて長編になっているというやり方はそんなに斬新でもないかもですが、ムリムリにならないのが宮部さんの筆力という感じ。

    大きな矛盾も破綻もなく最後まで楽しめました。

  • 持ち主のサイフ視点で話が続いていく、どんどん読み進めていけました。
    すごいおもしろかったです。



    最終的にそこまで重い気持ちじゃないのに
    殺人が続いていくんだなっと思った。
    早苗さんの事件が一番悲しかった
    甥っ子の思いも悲しくってきっと一生思い続けちゃうんだろうなって考えさせられた。

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著者プロフィール

1960年東京都生まれ。87年『我らが隣人の犯罪』で、「オール讀物推理小説新人賞」を受賞し、デビュー。92年『龍は眠る』で「日本推理作家協会賞」、『本所深川ふしぎ草紙』で「吉川英治文学新人賞」を受賞。93年『火車』で「山本周五郎賞」、99年『理由』で「直木賞」を受賞する。その他著書に、『おそろし』『あんじゅう』『泣き童子』『三鬼』『あやかし草紙』『黒武御神火御殿』「三島屋」シリーズ等がある。

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