- Amazon.co.jp ・本 (614ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334076382
感想・レビュー・書評
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のっけからの、
「昭和の官能小説ですか?」
なエロ描写には閉口しましたが、本編はなかなかどうして王道な本格推理小説です。
それも、犬神家へのオマージュと思われる設定てんこ盛りでなお嬉しい。
遺言書が関係者一同の前で開示された時点で、
こいつ以外犯人てありえんやろ絶対に。
っていう人物が案の定犯人だったのは嬉しいやら一抹の寂しさがあるやらでしたが、第1の被害者が出る前から伏線を回収できるっていう経験はなかなかできないので興味深く挑ませていただきました、ハイ。
……………それにしても、私みたいに、同じようなテンプレ推理小説ばっかり読んできた先輩達って、行く行くはどういう嗜好になっていったのかな。
私も、いつか不意に食傷して、気付いたら旅情ミステリとか手に取っちゃうのかしら。
それは何か寂しいなあ。
今以上に犯人丸わかりやん←←
綾辻以降の新本格に夢中になった世代の指針、何か必要じゃないだろーか。
と、不意にうすら寒くなった真夏の夜でございました。
【補足】
この手の不可能犯罪もののトリックはそもそも看破できるはずないと思ってますが、今回は凄かった。
それ、いくら何でも無理でしょ、どんだけ環境要因無視してんのー!って私を含む読者諸氏は白目剥いたと思います、ハイ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
館・遺産相続・連続殺人、とどこまでいってもお約束。しかもどっかで聞いたような筋書きはまさか「犬○家」!? おいおい、そのまんまじゃん! と突っ込みつつ読みました。
……それでも犯人とかトリックは「お約束」じゃありませんでした(笑)。非常に安堵。今作は前作ほどくどくもなく、ちょうどいい感じでした。こういう「ごてごてお約束ミステリ」好きな人には絶対お勧め。
動機もちょっと面白かったな。発想の転換というか、これは考え付かなかった。ものすんごく腹が立って、犯人に同情はできませんが。
それにしてもパット……案外鈍いですね。なんてくだらないところで引っかかって悩むんだ~。もう読んでいてどやしつけてやりたくなりましたよ。 -
2007/06/10
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『風果つる館の殺人』加賀美雅之:カッパノベルス
今日読んだ〜と言いつつ忙しく最近読んだのをまとめ書き。
加賀美さんはデビュー作の『双月城の惨劇』、
2作目の巨編『監獄島』と予判審事ベルトランもので楽しませてもらってきました。
今回はその3作目。
今回も『監獄島』ほどではないにせよ605ページの大作。
重厚でスコットランドを舞台にした魅力ある舞台に
“正統”的な本格推理要素が満載で一気に読み切りました。
過去の密室殺人の真相に関してはちょっと?な部分があったり
記述者でもあるパットが注意力足りなすぎだったり、
気になる部分もありますが…
本人も後書きで触れていますが副業作家で2年に1作が今のところ
限界だそうで、次作もしばらくおあずけでしょうか。 -
遺産相続がからんだ館モノ。遺言状の内容はそそられたが、その他は相変わらずの古臭さ。キャラ、会話、主人公の思考など、何から何まで古臭くてイヤになる。この作家はこの時代のみを書いてる方がよい。現代ミステリなど読めた代物ではないだろう。殺害方法は意味もなく派手。謎解きはツッコミどころが満載。一応伏線も張ってあるし、本格の要素もあちこちに見受けられる。トリックの良し悪しよりも、レトロな雰囲気を楽しみたい読者にはお勧めかもしれない。
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2006/08/27読了