リロ・グラ・シスタ: the little glass sister (カッパ・ノベルス カッパ・ワン)
- 光文社 (2007年8月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334076603
感想・レビュー・書評
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高校生なのにハードボイルド。
え、君たちほんとに高校生かって思っちゃう 笑
読んで私はハードボイルド系の文体は苦手なんだって分かったのが収穫 笑詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
学園で探偵をしている「私」は、学園で起きた殺人事件の調査を始めるが……。
不可思議な雰囲気を持つ学園、高校生なのにハードボイルドと何やら特殊条件下で読者を置き去りにしたまま物語は始まる。他殺死体が見つかって捜査を始めるものの、なんだかちっとも進んでいる感じがしない上、「私」の心理がさっぱりわかりづらい。わざとなのだと云われたらその通りかもしれないが、なかなか世界観に馴染むことができなかった。
そんな状態でぼんやりと読んでいたからか、それだけ本筋にはどかんと来た。読み直せばそうかと納得できるし、わかる人にはわかるかもしれないが、基本的に置き去りにされている感が否めなかった。 -
高校の屋上で発見された生徒の不可解な墜落死体。名探偵と噂される主人公は依頼人の無実を証明するために事件の調査をすることに…
高校生なのにハードボイルドという異色設定。デビュー作だけに色々と若い気がするが、ハウダニットの部分はなるほどと思った。
四色の印刷は見づらい。 -
2013年12月27日
カバーデザイン/泉沢光雄 -
学園で見つかった不可解な死体を調査する高校生探偵のお話。
文体が超ハードボイルド。本当に高校生かよ、って突っ込みたくなるくらい徹底してハードボイルドです。それが最初は読みづらかったのですが、最後のオチを見て納得できるものでした。なるほどです。 -
私立吏塚高校の“屋上”で発見された“墜落死体”。
学校の“探偵”である『私』は、死体の発見前日に偶然鉢合わせた観鞍茜から、「自分の無実を証明してほしい」との依頼を受け、事件の捜査に乗り出す。
いかにも00年代的な学園ミステリ、というのが第一印象です。古野まほろ作品が好きな人はすんなり作品の世界観に入れるのではないでしょうか。
最初は探偵である『私』や、その周囲の人間の語り口調がとっつきにくいなぁ、と思いながら読んでいたのですが…なかなかどうして引き込まれていくとあまり気にならなくなる不思議。
トリックは、他の書評で「使い古されたネタ」という意見も見受けられましたが、そういったネタやトリックを何層も重ね合わせて一つの話を紡ぐ作者の力量を感じました。
話の“核”となるラストの告白では素直に驚かされましたからね。
自分が求めて止まない「うわっ、やられた!」という気持ちのいい騙され感を味わえる良作だと思います。
ただ同時に、物語最大のトリックに関しては「あー、何で俺は最後まで『その可能性』に気づかなかったんだろう」っいう悔しさも沸きました。
色々な楽しみ方ができる本だと思うのですが…残念ながら現在(2011年1月)品切重版未定。文庫化の予定も無し。
どうしても読みたい場合はネット古書店で探すしか無さそうですね。 -
ハードボイルドを過剰に意識した文体の意図はわかるものの、それが読みにくさを誘発している点が惜しい。硬質な文体はそのままに、もう少し文章を整理してくれたらと思った。
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遠海市西端にある丘の上にたつ、私立吏塚高校屋上で葉群という生徒の墜落死体が発見された。
足場のない屋上での墜落死体だ。
その前日、最後まで学校に残っていたのは事務員と探偵と同級生の御鞍。
御鞍から自分の無罪を証明してほしいと依頼された探偵は事件に関わることとなる。
詠坂さんのデビュー作。やっと読みました。これで今のところ完全制覇。
ですが、読む順番間違えたカモ・・・。
いきなりの探偵登場に、「コレは絶対、後の作品ででてくるあの人の学生時代に違いない」と思いつつ読んだため、作中最大のサプライズが不発。
でもこの作品から読んでいたら、後の作品を読んだかどうかは怪しいので、しょうがないかなぁ。
何も知らずにこの作品から読んでいたらどうだったのだろう?と思い、他の方の感想を探してみたところ、それでもけっこう皆さん見破っていたみたい。
その際の最大の加害者は裏表紙の綾辻さんの推薦文。
・・・確かに・・・。これから読む人はこの推薦文をスルーして読んでください。
しかし、どうして墜落死体を屋上へ上げたのか?というWHY?の捻り具合には唸らされました。
そこまでは展開を予想できなかったわぁ。
やっぱり一筋縄ではいかない作品。
少々小手先でこねくり回している感はありますが、ここから後の作品が続くことを思うと、それらも納得。
やっぱり好きだなぁ。早く新刊が読みたい作家さんの一人です。 -
ハードボイルド文体の学園本格ミステリ。文体や物理トリックも含め、すべてがラストのネタのために見事に配置されている。けど、その周到さが逆にオチに気付きやすくさせている感もある。良作なだけに少しもったいないと思う。