見えない女 (光文社文庫 し 5-8)

著者 :
  • 光文社
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334710019

感想・レビュー・書評

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  • 光文社による裏表紙の紹介文によると本書は「異色の旅行推理集」となっている。
    確かに“異色”である。
    収録された3編全てにおいて主人公は名前すらない男で、しかも「早見優」、「カトリーヌ・ドヌーブ」といった実在の人物が出てくるあたり、実話のような錯覚を憶える。

    だが“推理集”というのは些か大袈裟だろう。確かに各編において謎はある。しかし本書は異国での恋を主体にした短編集であると私は認識した。
    恋愛にはある程度謎はつきものである。ここに収められている謎はその範疇を超えるものではないし、ミステリへと昇華しているものでもない。
    従って私は「異色の旅行恋愛集」と呼びたい。

    翻って内容について述べると、ほとんど実体験に基づいたエッセイに近く、それに現地女性との交流を絡めた恋愛短編集といった感。
    3編全てに共通するのは『異邦の騎士』に脈絡するある種の喪失感。この作家、根っからのロマンティストらしい。

  • 2013.8.7処分

    トラベルミステリー3篇。
    ややネタバレあり↓

    「インドネシアの恋唄」
    見知らぬ会社から急にインドネシア旅行をプレゼントされた学生が、現地で知り合った娼婦の少女と過ごすうちに、なぜか命を狙われる話。
    探偵などは出てこず、後の警察の調べでは〜とネタ明かしが始まる。
    うまい話には裏がある。

    「見えない女」
    フランスを仕事で訪れた主人公が、1人の女性と知り合う。
    暇そうでパトロンもいない様子の女性がなぜか裕福な暮らしをしていて、さらに映画に何本も出ているというが見た覚えのない主人公、という謎。
    当時この職業は日本では未だメジャーではなかったのだろう。

    「一人で食事をする女」
    西ドイツを旅する主人公が、いつも1人で食事をする女性を気に留め、さらに娼婦として街角に立つ姿を見る。
    偶然から女性に城巡りガイドをしてもらうことになったが、全く笑顔を見せなかった女性がルートヴィヒⅡ世の残したノイシュヴァンシュタイン城で1度だけ微笑んだのを見て心惹かれる。
    教養のある女性がなぜ娼婦をしているのか疑問に思いながら別れたが、後日東ベルリン1日観光バスで女性と乗り合わせたことで謎が解ける。
    東西ドイツの切ない恋。

  • 表題作は中編と中編にはさまれた短編。インドネシア・フランス・ドイツを舞台にしたトラベルミステリ3編。風情はありました。

  • ミステリですが、別に殺人事件とかがおきる訳ではなく、各国に旅行した各主人公が各国で各ミステリアスな女性と出会い、各印象的なストーリーが展開され、最後しっかりまとめてくれる、秀作ナリ。
    少し古い作品ですが、ソコは気にならないんで、古本屋の100円コーナーで手軽に手にとって読んでみて欲しいナリ。
    (舞台となる国に詳しい人とかは、多少「この場所は今はアレなんだよ」とかあるかもしれませんが、ミーは海外行った事無いしね。)

  • 『インドネシアの恋唄』インドネシア旅行中にであった娼婦の少女との恋。切なくて悲しい。
    『見えない女』フランスで知り合った美女。大きな屋敷に一人で住み職業不明。「見えない女」の言葉の意味が良かった(笑)
    『一人で食事をする女』東西ドイツの物語(笑)やはり切ないですね。

  • イメージ参照(http://blogs.dion.ne.jp/kentuku902/archives/4577777.html)
    (収録作品)見えない女/一人で食事する女/インドネシアの恋歌

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著者プロフィール

1948年広島県福山市生まれ。武蔵野美術大学卒。1981年『占星術殺人事件』で衝撃のデビューを果たして以来、『斜め屋敷の犯罪』『異邦の騎士』など50作以上に登場する探偵・御手洗潔シリーズや、『奇想、天を動かす』などの刑事・吉敷竹史シリーズで圧倒的な人気を博す。2008年、日本ミステリー文学大賞を受賞。また「島田荘司選 ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」や「本格ミステリー『ベテラン新人』発掘プロジェクト」、台湾にて中国語による「金車・島田荘司推理小説賞」の選考委員を務めるなど、国境を越えた新しい才能の発掘と育成に尽力。日本の本格ミステリーの海外への翻訳や紹介にも積極的に取り組んでいる。

「2023年 『ローズマリーのあまき香り』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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