日本沈没 上 (光文社文庫 こ 21-1)

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (409ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334720438

作品紹介・あらすじ

日本列島の下で、何かが起こっている。深海潜水艇"わだつみ"の操艇者・小野寺俊夫は、地球物理学の権威・田所博士と日本海溝に潜り、異変を発見した。日本沈没を警告する田所博士の指示で、政府は"D‐1"計画を立て、極秘に調査を開始した。-危機管理のあり方、世界の中の日本とは、そして日本人とは何か…さまざまな問題を喚起した空前のパニック小説。

感想・レビュー・書評

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  • 多数巻を平行に読むシリーズ。大御所の代表作なんだけど、ちゃんと読んだことはなかったんだよね。「首都消失」を上下で読みはしたけど、なんかパッとしなかったので、ずっと避けてきた。

    地震が多発する197X年の日本。島が沈んだことを調べるために海底の探査中に、1日に200mもの沈下が観測される。一方で、京都(関西)でマグニチュード8強の地震に続き、東京でも大地震に見舞われ、一度に200万人以上が死亡。田所博士の言うように、日本は海に沈んでしまうのか…。

    イントロ部分に阪神大震災の引用があるため、オリジナルに加筆修正がなされている可能性のある版ではあるが、1960年代に構想して、70年代の前半に描かれたものであり、今では知っていて当然のような知識も、おそらく当時ははじめての人向けに詳しく描かれているのが印象的だ。「エレクトロルミネッセンス表示」なんて、当時からあったんですかね?

    また、映画の方はどういう解釈になっているのかわからないが、普通の作家だと「日本が沈む。謎の現象だ」で済ませてしまうところ、まずメカニズムありきで描いているのが印象的である。また、メカニカルな部分だけではなく、統計から未来を予想するというような手法を持ってきているのは、なかなか印象的である。

    一方でちゃんと読みやすくするために、地震などの現場には主人公クラスがきちんと居合わせるようになっており、それもいい加減にたまたまというわけではなく、人に会ったりという形でストーリーを広げる一環というところも、よく練られている。若干こちらの描写は少ないけれども。

    日本が沈んでパニックになる、それだけなら1冊で済みそうなものだけど、なんで上下巻なのかというのは、海底の運動メカニズムを事細かに描いているからであることはわかった。

  • 子供のころテレビドラマで見た。地震が頻発するこの時期に読んでおきたかった。

  • いつか読んでみたいと思っていた作品
    (藤岡弘の映画は昔観た。オグシュンのドラマは観てません)

    私の脳味噌ではマントルやら海流やらプレートの説明はほぼ理解不能だったが
    この作品の時代も今も、災害に対する人々の対応ってほとんど変わっていないな、と感じた

  • 1973年(昭和48年)第1位
    請求記号:Fコマツ 資料番号:010593689

  • 今読まれるべき一冊では

  • 上巻はなぜ日本が沈没するかを説明する科学的な?話が多く、何度も放り投げたくなった。でも、こらえてゆっくり読む。下巻で描かれる物語の説得力が増す。

  • 単なるSFにとどまらず、政治や民族にまで言及したスケールの大きい小説です。
    【熊本大学】ペンネームY・Y

  •  1970年代に出版されたベストセラー。小松左京の代表作。

     この小説に関しては雑誌「S-Fマガジン」2006年4月号において、作家の小川一水氏が素晴らしい論評を書いているので、いいのかわからないけど勝手に引用してしまおう。僕が言いたい事のほとんども簡潔にまとめられているので僕が説明するよりずっといいはず。以下引用。
    ≪小松左京的な愛国心が好きだ。/小松左京的な愛国心は、俯瞰によってもたらされる。 … 昨今の日本でつぶやかれる、陰湿で高慢なナショナリズムとはずいぶん違う。侵略に対抗して団結する心ではなく、あまりにも広い外界に出たとき少しだけ振り返って安らぐ心、それが小松さんの愛国心だ。≫

     タイトルでもう内容をすべて言い表しているんだけど、地球の地殻変動によって日本列島が海中に沈没してしまうというストーリーである。
     70年代、変革期の社会不安を背景にこの小説は爆発的に売れ、映画化も大ヒットを記録した。「日本沈没」という言葉がそれ自体で一つの単語のようになるほどこのタイトルは知名度を獲得している。それほど衝撃的だったのである。

     よく比較されるのだが、ユダヤ人のように国土を持てず世界をさ迷うという経験を日本人はしたことがない。なので、文字通り国土が消滅してしまうという空前の事態に多くの日本人は戸惑い、うろたえ、そして泣き叫ぶ。
    これは日本人という人々のアイデンティティを探る上でとても興味深い。普段意識することはないが、土地・自然・故郷というものが我々の意識形成に絶大な影響を与えているのである。
     故郷というぬくぬくした場所に閉じこもって、世界に向かってきゃんきゃんと吠えてみた所でそれは母親に守られていきがっている子供とそうかわりはない。日本及び日本人について語るとき、本書は重要な意味を持つ。

     そして小松左京の描く日本人はカッコいい。誰もがこの未曾有の災害に真っ向から立ち向かい、前向きに、よりよい方向に未来を導くために、がんばっている。絶望に打ちひしがれながらもあきらめたりしない。相次ぐ地震や噴火、津波などの災害から必死になって生き延びようとする人々の姿は感動を誘う。

     地殻変動の過程を描いた理論的な部分に関しては、正直言って難しすぎてよくわからない。ただ出版当時には修士論文に匹敵すると評価されたそうなので、かなり科学的な裏づけはしっかりしているようです。まあSF小説なんてのはどれだけ大ボラをもっともらしく見せるかがキモなので、そこらへんは完璧です。

     この版は95年に阪神大震災が起きた時に光文社文庫から緊急出版されたものだ(最近は小学館文庫から出ている)。
     今年の東日本大震災を見てもわかるように、災害大国日本では大きな災害が起こるたびにこの本が思い出されるのだろう。どんなに衝撃を受けてもみんな忘れてしまうのだから。

     ところで実はこの物語、もっと長い話だったのを出版社の要請で上下二冊の分量にまとめられたのだそうだ。そう言われてみるとなるほど、ずいぶん駆け足でストーリーが展開していて、未消化な部分が多いようだ。
     そしてこの本で書かれなかった膨大なストーリーは、『日本沈没 第二部』のタイトルで谷甲州との共著で後に描かれることになる。

  •  
    ── 小松 左京《日本沈没 197303‥ カッパノベルス 19950401 光文社文庫》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4334720439
    http://booklog.jp/asin/4334720447
     
    ── 小松 左京・原作《日本沈没 197303‥ 光文社 19731229 東宝》
    http://www.youtube.com/watch?v=_O8R2nJHmI0
    ── 筒井 康隆《日本以外全部沈没 197309‥ オール讀物》予告編
     
     小松 左京 SF作家 19310128 大阪 箕面 20110726 80 /籍=小松 実~《日本列島沈没》
    /余技=バイオリン(第一神戸中学校同級生の高島 忠夫とバンドを組む)
    http://d.hatena.ne.jp/adlib/20050720 いそやん ~ 最後の野次馬伝 ~
     
    http://www.enpitu.ne.jp/usr8/bin/search?idst=87518&key=%A1%A1%BE%AE%BE%BE+%BA%B8%B5%FE
     ↑小松 左京 ↓小松左京
    http://www.enpitu.ne.jp/usr8/bin/search?idst=87518&key=%BE%AE%BE%BE%BA%B8%B5%FE
     
    19901012 宅間 守(26)、小学校担任=小松 左京の実妹(46)と再婚 19940921 離婚。
    http://d.hatena.ne.jp/adlib/20040914 死刑願望 ~ 絶望の果て ~
     高島 忠夫  俳優  19300727 兵庫 /籍=高嶋(弘之の兄)寿美 花代の夫
     
    (20110728)
     

  • 82007.238

    小学生時代からの悲願ついに実るといったところか。科学知識のとこはほとんど斜め読み。

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著者プロフィール

昭和6年(1931年)大阪生まれ。旧制神戸一中、三校、京大イタリア文学卒業。経済誌『アトム』記者、ラジオ大阪「いとしこいしの新聞展望」台本書きなどをしながら、1961年〈SFマガジン〉主催の第一回空想科学小説コンテストで「地には平和」が選外努力賞受賞。以後SF作家となり、1973年発表の『日本沈没』は空前のベストセラーとなる。70年万博など幅広く活躍。

「2019年 『小松左京全集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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