今日の芸術―時代を創造するものは誰か (光文社知恵の森文庫)

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334727895

作品紹介・あらすじ

「今日の芸術は、うまくあってはならない。きれいであってはならない。ここちよくあってはならない」。-斬新な画風と発言で大衆を魅了しつづけた岡本太郎。この書は、刊行当時、人々に衝撃を与え、ベストセラーとなった。彼が伝えようとしたものは何か?時を超え、新鮮な感動を呼び起こす「伝説」の名著、ついに復刻。

感想・レビュー・書評

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  • "分からないもの"に対して私たちは距離をとる傾向にあると思う。或いは、無理やり分かったつもりになるか。
    この本は"分からないもの"を分からないままにすることの大切さを教えてくれた気がする。たまには、"分からないもの"を分からないまま受け入れてもいいのだ。

    • マーさん
      え、大丈夫ですか!
      まさか仕事のストレス…?(知らぬ振り)
      え、大丈夫ですか!
      まさか仕事のストレス…?(知らぬ振り)
      2020/09/06
    • ノートさん
      あのギャグ好きやけどな
      あのギャグ好きやけどな
      2020/09/06
    • マーさん
      ぼくも古賀さんのクソリプだいすきです。
      ぼくも古賀さんのクソリプだいすきです。
      2020/09/07
  • 既成概念にとらわれないことが語られていたように思う。形式を壊して新しいやり方でやるその意気込みが伝わってくる。

  • いわゆる指南書ではないと著者は言っているが、この本のおかげで、今まで食わず嫌いしていた現代の抽象芸術や超現実派の作品を見るのが楽しくなった。

  •  もともとは貴族階級の占有物であった芸術が、資本主義の台頭によって一般階級のものとなった。と同時に、パトロン(お得意様)に向けて依頼された肖像画をできるだけ綺麗に優美に描くという、職人芸的な絵画は終わり、「きれいであること」「上手であること」はもはや芸術の条件ではなくなった。

     そのうえで岡本は「今日の芸術は、うまくあってはいけない。きれいであってはいけない。ここちよくあってはいけない。」と宣言する。うまいから、きれいだから、ここちよいからという絵画の絶対条件が全くない作品で、しかも見るものに緊張を与え価値観を根底から揺さぶるような作品こそがほんとうの芸術である。
     私は鹿児島市立美術館に行った際、ジャン•フォードリエルの「雲」という作品を前にした際、はじめて本当の意味で芸術に対峙した感覚があった。いわゆる抽象画で何が描かれているかはよく分からないが、なぜか心が激しく揺さぶられ、緊張なのか感動なのか自分でも分からない感情に支配されて、しばらくその場から動けなかった。芸術のもつ凄まじい力を実感させられ、それまでの自分の芸術鑑賞は型に当てはめて分かったような顔をしているだけの「八の字」的なものだったのだと気付かされた。

     岡本はまた、すべての人が絵を描かなければならないと主張する。うまく書こうとしなくていい、でたらめでいいから、自由な気持ちで書くことが大事であると。
     私も思い切って書こうとしてみるとこれが非常に難しい。どうしても「うまくなければならない、きれいでなければならない」と言った刷り込みがあるためか、鉛筆を書く手が止まってしまう。そうしたしがらみ、見栄や世間体、社会性に縛られた精神を乗り越えるために、苦しみもがきながら戦って自由を獲得し、自分の精神、人間性を積極的に打ち開いていかなければならない。そのようにして創造された芸術には、魂を根底から揺さぶるようや強烈な根源的驚異があるのだ。

     すばらしい読書体験でした。1954年に書かれた本でありながら、内容はとても新鮮で、今を生きる自分にグサグサささりました。必読書だとおもいます。

  • わたしは「美しさ」を「きれい」と勘違いしていたようだ。
    芸術の本質を、この本の中に見たような気がする。
    熟練した技術や学びがなくたって、整っていなくたって、溢れる情熱を放出させればこそ、真の芸術が生まれる。
    誰しもが表現者であり、常に時代は変わって芸術的な価値も変わっていく。
    真似事をしてばかりではならない。自分をもっと表現したいと思った。

  • 子供の絵が芸術になりえない理由や、太陽や花の描写の事は、凄く気付きになった。
    今もみずみずしい言葉で綴られていて、日本の変わらなさに、気付かされる。
    謙虚さを捨てていき、今を生きたいと考える。

  •  岡本太郎といえば、誰もが知っているであろう「太陽の塔」の芸術家。この本のおかげで、岡本太郎のおかげで芸術について初めて考えることが出来た。芸術を考えるきっかけにしては内容の濃い、しかしわかりやすい本だった。

     芸術とは、自分発信でなければならない。

     最近、自由について考え、自在について考えていたので、それに関連付けて考えることが出来る内容だった。

     ただ、とにかく現状に怒りを憶えているのだなぁと、しみじみ感じさせる口調で、学生運動とかこんな雰囲気だったのかな、と感じてしまったり、時代のギャップを感じざるおえない。温室育ちのひよっこな世代としては、すこし恐ろしささえ感じさせる、ハングリー精神あふれる人だなと感じ、魅力も感じた。

     ただ、ひとつ。どうしても「岡本太郎という存在が、恵まれた環境にあった」という事実が、ぬぐいきれないもやっとした何かを僕の中に残しました。

  • 岡本太郎の論調は現代にも当てはまる部分が多数あるのは事実だか2011に読むと少し違う

  • 岡本太郎はなんてvigorousなんだろう。彼の言葉の節々にその情熱が伝わってくる。
    作者と作品だけでは作品は完成しない。観る人がいてこそ、作品は完成する。
    彼の芸術論はわかりやすく、かつストレートである。

  • 2023年度【芸術学部 彫刻専攻】入学前知トラ「課題図書」

    OPAC(附属図書館蔵書検索)リンク
    https://opac.lib.hiroshima-cu.ac.jp/opac/volume/346172?locale=ja&target=l

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著者プロフィール

岡本太郎 (おかもと・たろう)
芸術家。1911年生まれ。29年に渡仏し、30年代のパリで抽象芸術やシュルレアリスム運動に参加。パリ大学でマルセル・モースに民族学を学び、ジョルジュ・バタイユらと活動をともにした。40年帰国。戦後日本で前衛芸術運動を展開し、問題作を次々と社会に送り出す。51年に縄文土器と遭遇し、翌年「縄文土器論」を発表。70年大阪万博で太陽の塔を制作し、国民的存在になる。96年没。いまも若い世代に大きな影響を与え続けている。『岡本太郎の宇宙(全5巻)』(ちくま学芸文庫)、『美の世界旅行』(新潮文庫)、『日本再発見』(角川ソフィア文庫)、『沖縄文化論』(中公文庫)ほか著書多数。


平野暁臣 (ひらの・あきおみ)
空間メディアプロデューサー。岡本太郎創設の現代芸術研究所を主宰し、空間メディアの領域で多彩なプロデュース活動を行う。2005年岡本太郎記念館館長に就任。『明日の神話』再生プロジェクト、生誕百年事業『TARO100祭』のゼネラルプロデューサーを務める。『岡本藝術』『岡本太郎の沖縄』『大阪万博』(小学館)、『岡本太郎の仕事論』(日経プレミア)ほか著書多数。

「2016年 『孤独がきみを強くする』 で使われていた紹介文から引用しています。」

岡本太郎の作品

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