龍臥亭事件: 長編推理小説 (上) (光文社文庫 し 5-27)

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (577ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334728892

感想・レビュー・書評

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  • 犬坊里美の冒険を読むに際して、里美のキャラクターがうろ覚えだったため、再読。

    上下巻かなりの長さで、じっくり読むと結構な時間がかかるが、それもまたよし。

    御手洗潔不在の中という舞台設定で描かれる、石岡さんの、石岡さんによる、石岡さんのためだけの物語。

    御手洗潔シリーズのなかで、特に好きな作品です。

  • これは新たなる島田氏の代表作だと云っても過言ではないだろう。『秋好事件』のノンフィクションタッチがこの作品でいかんなく発揮されており、島田氏がただ単純にノンフィクションを書いたのではないことも判った。
    巨匠にして新たなる手法を生み出す、この貪欲さは新本格第1期組の、なかなか新作を出さない輩共に見習って欲しい姿勢である。

    『津山30人殺し』をモチーフに、というかそのものを題材にかの御手洗潔のパートナー、石岡和己を主人公にして陰惨な連続殺人事件を繰り広げるというこの設定からして斬新だ。最初は単なる横溝正史へのオマージュだと思っていたが、いやいや、やはり島田氏、オリジナリティー溢れる作品となっており、島田作品以外何物でもない。
    上巻に高木彬光へ、下巻で彼の生んだ名探偵神津恭介に賛辞を表しているが、これはこの作品そのものが彼の作品に対するオマージュではなく、恐らく当時彼が亡くなられたことによるものだろう。

    今回特徴的なのは下巻の中間で都井睦雄の30人殺しへ至る経緯がその生涯と共に語られており、しかもそれが物語の謎の中心であるが故、フィクションとノンフィクションの境がぼやけ、真にあったかのように錯覚させられることだ。
    『秋好事件』でもそうだったがこういうノンフィクションを語らせると島田氏は抜群に上手い。臨場感と睦雄の人となり、そして事件の引き金となった経緯が非常に説得力を持って語られるのだ。
    (下巻の感想に続く)

  • 御手洗シリーズを刊行順に読むというのがなかなか大変で、手に入ったものから、なるべく刊行順になるように読んでっているのだけれど、この「龍臥亭事件」が御手洗渡欧が初めて明らかになる話なのかな。
    石岡くん45歳と思うと、確かにちょっともう少しばかりしっかりしていてもいいような。御手洗は50近くなって日本を飛び出したのかと思うとそれもまたすごい。天才は環境を変えることをいとわないんだなあ。ちょっと見習いたいような気もする。

    上巻は二宮佳世という女性のオカルトじみた話から始まり、石岡君が岡山の貝繁村に連れていかれるところから始まる。面白い!
    明らかに津山30人殺しをモチーフにしているけど、なかなかそれに至らないというか、石岡くん、仮にも推理小説を発表しているのになぜ知らないんだー!と思ってしまった。ホームズもあんなに語れるんだから、横溝だって読んでるでしょうに。
    まあ、読者に説明の要があるのだから仕方がないというか、本来助手がいれば助手に探偵が説明する、あるいはその逆パターンという事もできるけど、今回何しろ助手が探偵役だから大変だあ。こうした連続殺人ものは、確かに御手洗がいたらこんなにたくさん殺される前に事件解決されるはずだから、御手洗の不在は事件のため……なんてメタ視点で見てしまうが、御手洗がいなくても面白い。

    石岡くん、45歳が女子高生にキスされて動転してたらだめだよ……。というか、里美ちゃんの体つきがどうのこうのと内心にしてもそんなこと思ってたらちょっと気持ち悪いよ……。スマートじゃないよ。まあ、スマートじゃなくて美人好きなのが石岡くんなのだけど。

  • 島田荘司の本は設定がすごくいいなと改めて思った。
    龍臥亭の説明だけでもうわくわくしてしまう。
    架空の旅館なのに行ってみたい気持ちになる。
    (事件は悲惨だけど…)

    詳しい感想は下巻で。

  • 今回は御手洗は出てこず、石岡くんが山奥の村で猟奇的な連続殺人事件に巻き込まれ一人で頑張る話。
    猟奇性もあり、ホラー要素も強いのでそういったのに耐性がない方は少し怖く感じる場面もあるかもしれないが、個人的にはこういうのは好みなので面白く読めた。
    上巻だけでも600ページ弱とボリュームがすごいが、過去に起こった事件を少しずつ知りながら現在の事件も多発していくので良い意味であまり厚みを感じずにスラスラと読めた。

    上巻だけではまだわからないことだらけなので下巻でどう纏めるのかが楽しみ。
    幽霊現象にもきっと現実的な解決があることを祈って。

  • 御手洗シリーズだけど、御手洗潔は登場しません。
    石岡君がくじけそうになりながらも、事件解決に向けて苦心する話でした。

    グロテスクで奇怪な犯罪は、島田荘司さんの得意とするところなので、どんな残忍な描写が出てきても平気、という意気込みで読み始めたのですが、本書はそうした犯罪のほかに亡霊だの怨念だの因縁だの呪いだのと言ったおどろおどろしい話が執拗に登場するので、怪談が苦手な私は少々怖じ気づきそうに。
    いやでも島田さんの書く本だもの、亡霊の仕業でしたなんて結末はないはず。人間の起こしたトリックがあるに決まっていると自分自身を奮い立たせ、読み進めました。

  • 横溝正史へのオマージュだろうか?
    暗闇坂の人食いの木は、タイトルがオマージュっぽかったけど。

    岡山の山奥の僻村で起こる連続殺人。
    幽霊、因習、伝説、と内容が横溝作品っぽい。

    しかし、御手洗さん無しでこんな事件解けるだろうか?
    謎は深まるばかり。

  • 石岡くんが45歳とは思えなくて気持ち悪く感じてしまった。
    自分より30近くしたの子供に感じる感覚おかしくない?
    御手洗が出てこなくて(出てはくるけど)がっかり。
    下巻で読んでよかったと思えるといい。

  • いつもは御手洗の陰に隠れてしまい存在感の薄い石岡ですが、今回は御手洗が外国に行ったままなので、御手洗を頼ってきた若い女性とともに岡山の山奥の旅館へと旅立ちました。
    着いた途端早速の殺人事件。しかも密室。
    おまけに次々と起こる事件に加え、閉鎖的な山奥の村での因縁と変わった造りの旅館に霊まで加わり、訳のわからないまま下巻へ。
    なお御手洗から届いた事件へのヒントはただ一言。届いただけマシというものか。
    石岡の活躍を期待しつつ下巻を読むことにします。

  • 表紙カバーがこれじゃなくてもっと怖いやつだった。
    深夜に読み終わったけど怖すぎる。
    そして登場人物が把握できないままどんどん死んでいく。
    はやく御手洗を呼べ!って思ったけど御手洗さんてどんな人だったか長らく御手洗シリーズ読んでないから忘れた

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著者プロフィール

1948年広島県福山市生まれ。武蔵野美術大学卒。1981年『占星術殺人事件』で衝撃のデビューを果たして以来、『斜め屋敷の犯罪』『異邦の騎士』など50作以上に登場する探偵・御手洗潔シリーズや、『奇想、天を動かす』などの刑事・吉敷竹史シリーズで圧倒的な人気を博す。2008年、日本ミステリー文学大賞を受賞。また「島田荘司選 ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」や「本格ミステリー『ベテラン新人』発掘プロジェクト」、台湾にて中国語による「金車・島田荘司推理小説賞」の選考委員を務めるなど、国境を越えた新しい才能の発掘と育成に尽力。日本の本格ミステリーの海外への翻訳や紹介にも積極的に取り組んでいる。

「2023年 『ローズマリーのあまき香り』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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