見知らぬ妻へ: 傑作小説 (光文社文庫 あ 29-4)

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334731359

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  • 浅田次郎さんの短編集。

    躓いたさきに何とか生きている。周りの助けもあるがそれを拒み、他人のため孤独を選ぶ。そんな人物ばかり。

    その意地に何の意味もないのかもしれないが、それでも想いを自分の内に抱えてしまう。
    破滅的に不器用な選択をする大人たちの生き様が胸に染みて、後を引いてしまいます。

    「うたかた」
    頼子は人生を完遂できたのだろう。こんな最期も潔く感じてしまう。

    「スターダストレビュー」
    圭二もやり直すチャンスはあったのに、、、節子とやり直して欲しかったと悔しくなってしまう。

  • 表題でなんとなく手に取ったけど、非常に浅田次郎さんらしい、憎みきれない半端なヤクザものの男と流されているようで強い女性が出てくる短編集。
    「うたかた」は良かったなぁ。冒頭では悲劇的なのかと思ったら、なんかすごい幸福な感じに終わった。
    実娘、実息子だけでなく義息子や孫にも好かれてるのに、旦那と過ごして旦那を看取った場所を離れたくなかった主人公の強い意志と愛情が報われてた。
    タイトルになってる最終章の「見知らぬ妻へ」は悲しい終わりだけども、ずるくもカッコよくもなりきれない中年の客引きのおじさんが主人公でも、読みたくなる短編なのがすごい。中国の美女が解放されるハッピーエンドな悲恋だったら良かったのに。
    浅田次郎さんの作品はプリズンホテルが一番好きですが、霧笛荘夜話みたいな幻想小説っぽいものも好き。
    この短編集もひどく現実的な面もあるけど、妙にふわっと都市伝説っぽいというか、まさに物語って感じなのがいいですね。

  • 何故か涙がとまらなかった!

  • この短編集は全話主人公が孤独であった。孤独となってしまったのか孤独を選んだのか。どうであれ人は結局孤独であるのだと痛感した。
    自分のため、他者のため、理由はどうであれ人は孤独であるのだろうと感じてしまう。
    さらにこの短編集に出てくる人物はみな自分で望んで孤独になっている。なんとも切ない感情が湧いてくるが生きている中で誰しもが同じような経験をするのではないかと思っている。


    「踊り子」
    相手の全てを知らずとも愛は存在するのだと感じさせられた
    「スターダストレヴュー」
    私の読解力がないのだろうが、最後主人公は自分の手を切り落とそうとしたのだろうか?才能のある自分の手を切り落としてもいいと思ってしまったのだろうかと疑問が残った
    「うたかた」
    おばあさんは自身納得のいく死であったのだろう。ただ第三者から見たらとても切なさが残る
    「金の鎖」
    強い女なのか強く見せるのが上手い女なのか。本人がどう思っていようが他者から見たら彼女は強い女だった。私もそうなりたいと思った。
    「見知らぬ妻へ」
    この短編集の中で1番心が動かされた。鉄道屋の中のラブ•レターににたような感覚になった。

  • 今更ですが
    浅田次郎を初めて読んだ
    映画やドラマになるので何となく避けてきた
    短編の中にある密な表現に驚き感情をヒリヒリと刺激された
    作者の見てきた住んできた世界なのか
    実体験であってもこのように読者にさらせる力はさすがと
    遅ればせながら他の作品をむさぼるように読んでいる

  • 半分くらいまでは
    どいつもこいつも・・・って思ってたけど
    だんだん・・・そうよなあ〜〜って

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/687127

  • 浅田次郎さんといえば「鉄道員」。何度読んで何度目頭が潤んだことだろう。その「鉄道員」を読むきっかけとなったのがこの本。最初の浅田次郎さんだった。
     20数年ぶりの再読。その時は何とも言えない読了感を持った。ノスタルジックな物語に心がやんわりとやさしく包まれたことを覚えている。
     少し前にラジオの朗読番組で「うたかた」を聞いた。切なくもあたたかく悲しいけれど悲しくない(?)ノスタルジー…2回3回と聞き直した。この物語がこの本に掲載されていると知って読もうと思った次第であります。んで、今回の再読だけど、どの物語もまったく内容を覚えていなかった。そして20数年前に味わったあの読後感は残念ながら訪れてこなかった。自分が年を取って心がさび付いたのかもしれない。
     「スターダストレビュー」は割と好きな作品だ。ブルースっぽい小説というのか廃れた感が好きだ。少し主人公の意固地頑固さがやりすぎのようにも思えるのだけど。 
     ただ、やっぱり「うたかた」にはじ~んときた。隅々までにじみ出てくる昭和レトロ感。あの時代が日本人にとって一番幸せだったのではないかと思う。「うたかた」というタイトルに万感の思いを感じる。この本の中ではこれが一番好きだ。

  • 浅田次郎の短編集。
    この小説は過去と現在が逡巡する。自分が意図していないことに直面する、そんな過去を繰り返して現在がある。
    私達がいま目の当たりに幸せ/不幸せも実は凄く脆いもので、しばらくすると全く変わっているかもしれない。
    そんな当たり前のことを今一度認識させてくれる一冊。

  • うたかた
    ファイナルラック
    見知らぬ妻へ

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著者プロフィール

1951年東京生まれ。1995年『地下鉄に乗って』で「吉川英治文学新人賞」、97年『鉄道員』で「直木賞」を受賞。2000年『壬生義士伝』で「柴田錬三郎賞」、06年『お腹召しませ』で「中央公論文芸賞」「司馬遼太郎賞」、08年『中原の虹』で「吉川英治文学賞」、10年『終わらざる夏』で「毎日出版文化賞」を受賞する。16年『帰郷』で「大佛次郎賞」、19年「菊池寛賞」を受賞。15年「紫綬褒章」を受章する。その他、「蒼穹の昴」シリーズと人気作を発表する。

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