- Amazon.co.jp ・本 (705ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334732080
感想・レビュー・書評
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うーん。山田風太郎は大好きだけど、これは若書きだなあ。載っている短編がどれもこれもしょうもない。
本の半分を「太陽黒点」がしめているけど、ひねりが足りなくて面白くない。ケレン味がない。後書きによると風太郎自身がこれは失敗作だと言っているそうだが、そのとおりだと思う。わざわざ傑作選に載せなくても。
本の残りの半分は昭和20年台に書かれた短編だけど、そのままカストリ雑誌の投稿小説って感じで、安っぽいエログロってだけで面白くもない。なにもこんなのを載せなくてもいいのに。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
戦争をテーマにした内容だからか、ところどころに「不戦日記」と同じような記述が見られる。「潜艦呂号99浮上せず」の九鬼雄一郎の言葉は、そのまま昭和二十年の山田誠也青年の慟哭に等しい。「太陽黒点」にしても「黒衣の聖母」にしても、戦争によって運命が捻じれてしまった悲しい人達の物語として読める。その中で「魔島」は、鬼畜同人もかくや、という内容で、こんな作品が昭和二十五年、戦争が終わって五年しか経たないうちに発表されている。掲載はカストリ雑誌「りべらる」。この雑誌は終戦の年の12月に創刊されたエロ・グロ雑誌なのだが、敗戦からわずか4か月でこんな物が発行されてしまうあたり、日本人の逞しさに脱帽。ついでながら「裸の島」「女の島」あたりは今村昌平が監督したら面白い映画になったかもしれない。
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「戦争もの」の短篇集。個人的ベスト3は「太陽黒点」「戦艦陸奥」「黒衣の聖母」。
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暗くて救いのない話が多く、ややげんなり。でもいい。「太陽黒点」は既読。
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風太郎作品の根底には、常に「太平洋戦争」があります。そのテーマを真っ向から描いた作品が面白くないわけがない!上質の戦争文学であり、ミステリ。特に『太陽黒点』はオススメ。