教室 (光文社文庫 い 31-12 異形コレクション)

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  • Amazon.co.jp ・本 (631ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334735586

感想・レビュー・書評

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  • 学校じゃなくて「教室」っていうところが肝。
    バラエティ豊かで存分に楽しめました。

    好みは「開かずのドア」「すぎたに」「転校」そして「逃亡」。
    菊池作品はもう現在の状況から見ると現実になるまで秒読み段階な気がする怖さ、ほんに怖い。

    今回は満足しました。

  • ホラー・幻想アンソロジー「異形コレクション」
    今回は「教室」がテーマ。小学校〜高校をイメージしがちだが、それ以外にも日本語学校や教習所等色々な教室での怪異が描かれる。中には「ちょっと無理やり学校要素を捩じ込んだ感があるな…」と感じる物やオチがよく分からない物もあるが

    個人的に良かったのは
    竹本健治「開かずのドア」
    江坂遊「霊媒花」
    犬木加奈子「教室は何を教えてくれる?」
    岡本賢一「必修科目」
    石神茉莉「海藍蛇」
    浅暮三文「帽子の男」
    菊地秀行「逃亡」
    梶尾真治「再会」

    梶尾真治「再会」が今作用に寄せられた事、そしてそれを最後に据えた編集がとても良い。かつて通った「教室」は過去として記憶の中に沈んでいくのだ

  • ・『教室』にやぶれる(木原浩勝)
    初っ端は小説ではなく、学校怪談をまとめようとしたときの失敗談。
    怪談のパターン化、体験の集団化によって個人の恐怖への変換が難しい、というお話。

    ・開かずのドア(竹本健治)
    青春ホラー。月光ゲームとかで描かれる青春の雰囲気。
    好きな人は好き。
    自分は好き。

    ・すぎたに(平谷美樹)
    教師視点の学校怪談。階段の場面のところとかよくある演出が多い気がする。

    ・目(黒岩研)
    カミキリムシが印象的。生理的にくるホラー。

    ・ハイスクール・ホラー(手塚眞)
    若い頃に抱いていた感情や思いが、異常な事件の真相につながる。

    ・転校(石持浅海)
    理事長が石持さんっぽさを感じるキャラ。
    このテーマとミステリ作家の親和性は高い気がする。

    ・ストーリー・テラー(奥田哲也)
    収録作の中ではトップクラス。
    表題作通り、物語ることが中心となって進行していき、いつの間にやら異界の縁にいる。
    三枚の写真を使った三題噺みたいなのが面白い。

    ・最後の夜(太田忠司)
    同窓会に集まった大人たちの描写がいかにも俗世間にまみれたという書きっぷり。
    あっさりし過ぎていて、最後に大人たちとの対比を意図しているようには思うけど、あんまり印象に残らない。

    ・霊媒花(江坂遊)
    語り手である先生視点の語りが上手い。

    ・Tableau vivant活人画(森青花)
    ミッション系の女子高で、キリストの来歴を生徒たちが活人画として演じる。
    短くも美しい話。解説にある「邪悪な存在」がよく分からなかった。

    ・侘びの時空(朝松健)
    室町伝奇。非常に達者な文章で満足度が高い。

    ・教室は何を教えてくれる?(犬木加奈子)
    マンガと写真が混ざった実験的な創作。
    不安感が残る。

    ・花切り(飛鳥部勝則)
    美少年に「花切り」というタイトルの二つで、この作品の雰囲気が通じてしまいそうな気がする。

    ・必修科目(岡本賢一)
    世にも奇妙な物語にすごくなっていそう。

    ・あの日(小林泰三)
    何度か読んでるけど、こんなアイディアがどこから来ているのか本当に謎。
    そしてアイディアだけでなく、物語を進める会話がまあ真似ができない。
    小林泰三の会話文は論理的に話した結果、全くお互いの話が通じなかったりして居心地の悪い気分にさせるのが凄いのだけれど、
    本作の着地点もそんな会話文の特異さがなければ成立しない。

    ・実験と被験と(平山夢明)
    やばい人間の描写に関しては一級品。
    日本的なホラーではなく、海外のホラー映画の『ホステル』とかあのあたりに感じるクールでゴアな作品。

    ・ネズミの穴(安土萌)
    穴の先にはネズミーなマウスが出るかと思った。

    ・海藍蛇(石神茉莉)
    『4ジゲン』というマンガを思い出したりしたけど、単に舞台だけからの連想。
    国籍も異なる大人たちだけの教室にある交流風景が印象に残る。

    ・帽子の男(浅暮三文)
    一発ネタのような発想から流れるように物語ができてしまっている。
    ラファティとかのホラ話の系譜。
    一度は読んでみればいいような。

    ・スクイーズ(井上雅彦)
    自分が好きな日本の映画の映像が頭に浮かんでいた。
    ツボにはまる場面と演出。

    ・エスケープ フロム ア クラスルーム(山田正紀)
    自伝的な雰囲気の小説?

    ・逃亡(菊地秀行)
    解説どおり、「まさにそこにあるディストピア」

    ・再会(梶尾真治)
    ダムに沈む小学校。二十一年ぶりに集まった同級生。名前を思い出せない「あの子」。
    締め用に依頼したんじゃないかというぐらい、情緒豊かで締めにふさわしい作品。

  • 実は本編よりも怖いんじゃないか?…という、伊藤潤二による表紙&中表紙が不気味な本アンソロジーのテーマは「教室」。異形だからして、当然学校の怪談的な内容に偏ることはなく、作家それぞれのユニークな発想着想の物語を取り揃える。そして、地味(?)なテーマが示すとおり、派手さはないが色々な感情がジンワリ湧いてくるアンソロジーである。
    さて、今回は、朝松健「侘びの時空」、飛鳥部勝則「花切り」、岡本賢一「必修科目」、小林泰三「あの日」、平山夢明「実験と被験と」、石神茉莉「海藍蛇」と、なかなか打率の高いアンソロジーではあるが、私のように遅れてきた異形ファンならば、比較的派手目(例えば、宇宙生物ゾーンとか、蒐集家とか、怪物團とか…)なアンソロジーを読んでからの方がより楽しめるだろう。但し、朝松氏の一休シリーズがお好きな人は「侘びの時空」は必須。

  • 「教室」ってことで、当然、学校をテーマにした作品が多い。子供を主人公に置いたものが多いかと予想していたが、意外にそうでもなかったらしい。かと言って成長した主人公が感じる郷愁をメインに置いた作品もあまりないってのは意外か。
    一口に「教室」と言えども。色々あるものですな。

    印象に残った5作品
    ・「開かずのドア」竹本健治……何とも皮肉な結末。少々ホロ苦い。
    ・「ハイスクール・ホラー」手塚眞……ミステリ寄りか。この著者の作品はまた読みたい。ってか「ブラック・モーメント」「ファントム・パーティー」をどうして売っ払ったんだー?オレ。
    ・「必修科目」岡本賢一……不覚にもラストで目頭が少々熱くなってしまった。今回のイチオシ。
    ・「あの日」小林泰三……この著者ならでは。中盤までのやりとりがどうにも笑える。
    ・「実験と被験と」平野夢明……残酷度では今回No.1か。ただ、ラストの意味が個人的にちと……うーむ。
    (以上、収録順)

    表紙と巻頭イラストを伊藤潤二が手がけている。出来ることなら各作品の口絵イラストもこの人にやって欲しかった。

  • 「教室」とはいっても、イコール「学校」とは限らない。案外バラエティに富んだアンソロジー。
    オーソドックスな、しかしひねりのある竹本健治「開かずのドア」はもっとも印象深く怖い物語。江坂遊「霊媒花」もいつもより尚ホラーっぽいし、恐怖の度合いは少し高めなセレクションという気がした。装丁が伊藤潤二さんだというのもインパクトが強い。
    しかし一番の注目作は、浅暮三文「帽子の男」。これは凄い! 是非ともこれだけでも、立ち読みででも読んでください!と薦めたいくらいに衝撃的。これからはもう正気で○○○○が見られません。いろいろと裏のストーリーを想像しちゃって……。

  • 複数の著者の作品からなるオムニバス。
    飽きがこない反面、著者との相性もあったりで…
    暇つぶしにはなった1冊。

  • ホラー短編集。お気に入りは、「開かずのドア」、「帽子の男」、「ハイスクール・ホラー」、「実験と被験と」、「転校」。「必修科目」のラストは心地よい。

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