九つの殺人メルヘン (光文社文庫)

著者 :
  • 光文社
3.30
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本棚登録 : 492
感想 : 75
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  • Amazon.co.jp ・本 (375ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334736934

作品紹介・あらすじ

彼女がワイングラスの日本酒を呷ると、確実なはずのアリバイが崩れ出す-!渋谷区にある日本酒バー。金曜日に現れる日本酒好きの女子大生・桜川東子が、常連の工藤と山内、そしてマスターの"厄年トリオ"と推理する九つの事件。グリム童話の新解釈になぞらえて、解き明かされる事件の真相とは!?興趣あふれるバー・ミステリー珠玉集、華やかに登場。

感想・レビュー・書評

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  • 小気味よく読み進められる短編集。

    短編集は苦手なんだけど、これは面白かった。
    童話の暗喩をヒントに今起きている事件を解決する、しかも現場を駆けずり回るのではなく、バーのカウンターの与太話的に進んでいく。

    少々無理があるなという章もあったけど、それでも文章の読みやすさで一気読みした。

    鯨作品は三冊目だけど、どれも好きだったな。

  • メルヘン童話になぞらえた9つの短編集。メルヘン、日本酒、安楽椅子探偵というキーワードによって、小説の個性は立っている。特にメルヘン童話に関する解釈の部分は(脇道に逸れているとはいえ)なかなか興味深く読める点ではある。
    しかしながら、どうしても無理やりメルヘンと殺人事件をこじつけようとしている感は否めないし、ストーリーにそこまで絡んでくるわけでもない。謎解きが始まるかと思いきやまずメルヘンの講釈が始まるので、じれったく感じる人もいるかもしれない。
    そして何より、謎解きの部分の粗が目立つ。他のミステリでは「単なる思いつき」のひとつとして検証され却下される程度の推理が披露され、『確かに筋は通っている!そうだ!これが真相に違いない!桜川さんは天才だ!』という雰囲気のまま締められる。推理というより『こんなものがあればあの人を犯人にできるから探してみて』というような、やや突拍子のないハウダニットがひたすら続く。移動されたらアリバイが成立しなくなるロウソクや、そこに至るまでのヒントもなく突然"死体を運ぶトラック"が登場するなど、ミステリとして楽しむにはいささかレベルが低いように感じて、申し訳ないことに途中で読むのをやめてしまった。
    これが30分間の連続ドラマであれば相当楽しめる設定ではあると思います。

  • 桜川東子シリーズ、第1弾。

    いわゆる安楽椅子探偵モノ。
    ヘンゼルとグレーテルなど、有名な九つのメルヘンを参考に、迷宮入りしそうな事件を解き明かす。

    短編集でとても読みやすい。
    キャラも立ってるし、取り上げる題材も興味深い。

    ヤクドシトリオ、同い年…



  • 渋谷区にあるうらぶれた日本酒バー。
    刑事、犯罪心理学者、バーのマスター、日本酒好きの松濤にお住いの女子大生ご令嬢。
    カウンターにて、解き明かされる九つの殺人事件。
    グリム童話の新解釈になぞらえて、アリバイトリックに特化した九つの短編を崩してゆく。
    鯨氏らしい一冊だが、短編よりやはり彼のは長編の方が好みだな。

  • 日本酒バーでの連作短編です。厄年トリオが提示する未解決事件をグリム童話に絡めて美人女子大生が綺麗にアリバイを崩して解決します。「本当は恐ろしいグリム童話」のような童話の変わった解釈には毎回驚かされますが納得させられてしまいます。トリオの昭和のいろいろな雑談が自分の年齢より上の時代で分からなかった部分もありましたがそれもそこでおじさんたちの雑談をきいている感じで楽しかったです。でも、実は一番気になったのは毎回出てくる日本酒と肴…。今すぐ行くから仲間に混ぜて〜!シリーズのようなので続きも是非読みたいです。


  • なんとなく、こじつけのような気がする章もあったけど、全体的に、グリム童話の解釈は面白いし、辻褄があってて、好き!


    でも、最後の章だけはなんとなく、スッキリしないなぁ!

  • 読了日2010/05

  •  表紙のイラストが『・・・殺人メルヘン』という題名の不気味さを醸し出している。それぞれの事件を9つの童話に当てはめて、上手に謎解きしてみせる。一話ごとにお酒についての講釈も嫌味じゃないし、バーカウンターで語られる雰囲気がとても楽しげで好ましい

  • 桜川さんが謎のまま。
    ラストが毎回一緒だけど、ねずみの件がよく解らないのだけど。。。
    でも読みやすかった。

  • 超多作で多彩な人だが、デビュー作『邪馬台国はどこですか?』から入った者にとっては、このシリーズが正統、この人の作風の基本イメージ。うんちくだけじゃなく本格魂もある。

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著者プロフィール

鯨統一郎
一九九八年、『邪馬台国はどこですか?』でデビュー。大胆な歴史解釈から、日本の常識を覆す独自の作品が話題を呼ぶ。以来、歴史だけではなく幅広い題材を用いて、次々と推理小説を発表している。著書に「喫茶〈ひとつぶの涙〉事件簿」シリーズ、「ハウスワーク代行・亜美の日記」シリーズ、「女子大生桜川東子の推理」シリーズ、「歴女美人探偵アルキメデス」シリーズ、『タイムメール』『女子大生つぐみと古事記の謎』『作家で十年いきのびる方法』など多数。

「2022年 『カルトからの大脱出』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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