- Amazon.co.jp ・本 (230ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334737832
感想・レビュー・書評
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分水嶺お市
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女のしたたかさ、強さを改めて実感しました。
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女性史を書くならやはり女性だよね、という感想になる作品。細やかな女性から女性を見た視点と、資料や当時の常識や風俗による考察のバランスが良く、読みやすい。
また、主題の女性(お市の方やその三姉妹等)ごとに細分化されているので、ショート形式のため、ちょっとした空き時間に読めるのも良い。 -
昔の女性にスポットを当てた本は珍しいので、興味深かった。戦国時代の女性の系図が書かれていて、わかりやすかった。戦国時代は同族結婚が行われていて、婚家と実家の外交官のような役割を果たしていたという内容など、なるほどと思った。
また、後継ぎを生むために女性は重要な存在だったけど、江戸時代家光以降は権力分散のために、子供を生むのもコントロールされていて、自分の代わりに別の女性を差し出したりすることが行われていたと知って驚いた。 -
2011年大河ドラマのためにお江を復習。
永井路子の描く女性像は自分にとって新しくて真実味があって面白い。女性とは時代に合わせて活きているのだなと思う。現代人も見習うべき。 -
お市からその子(三姉妹)、そして江戸幕府の大奥までの女性について考察されています。
信長の妹のお市は浅井長政そして柴田勝家に嫁ぎますが、作者は可哀想な女性としてではなく、強気なお市像を描いています。
そしてお市と浅井長政の子ども達はそれぞれ豊臣、京極、徳川家に嫁ぐのですが、それからの姉妹の全く異なる人生模様は面白いところです。
徳川家に嫁いだ三姉妹の末っ子お江は秀忠との間に三代将軍家光をもうけます。ということは、家光の祖母はお市で、祖父は長政なわけです。そう考えると不思議です。徳川の将軍は織田とその敵浅井の血を引いているんですね〜。
女性の立場や役割の変化もお市から大奥までのたった百年間ほどの間に大きく変化しているという点も面白いところです。関が原の戦いは、女性のあり方に変化を及ぼしただけではなく、今の会社の構造にもあらわれているのです。これも面白いところです。
江戸幕府の体制をいかに長く保つか、その工夫も面白い。公家、大名、商人、これらに対する幕府の扱いかたが見事です。(お世継ぎ問題、男色、セックスコントロール等々)家康、秀忠が凄いのは、それぞれの代で幕府の体制をしっかりと築いたってことです!「社長がいなくても回る会社」、本当に江戸幕府はその言葉通りですね。
(お福さまは出てこなかった; ”秀吉の寵愛した女性”として、出てくると期待してたのにな〜) -
女性を幹として、戦国〜江戸時代を見直す。資料を提示した上で明かされる、新たな解釈が面白い。