最後の晩餐 (光文社文庫)

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (406ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334740412

作品紹介・あらすじ

「腹のことを考えない人は頭のことも考えない」S・ジョンソンの絶好の格言に導かれ繰り広げられる、古今東西、人の飽くなき欲望を思い知らせる食談の数々。歴史、文学、政治までをも軽妙洒脱な語り口で呑みこみながら、最底辺の食事から王様の食事、はては人肉嗜好まで。「食」の愉悦、深淵、その極北をあますところなく描きつくす、食の大全。

感想・レビュー・書評

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  • そういえば、物を食べることにより、私たちは牛や豚や魚や鳥や野菜を殺しているのだった
    お皿に並んでいるときはすでに形もなければ、鳴きもしないから忘れていた
    私たちは毎日人殺しをして、人の子供を奪い、その子供を食らっているのと同じである

    でもそうやって、世界は回っていく
    それが悪くも良くもなく、ただ緩慢で残酷な地球の公転か、 いつか我々が卵の側になるとしても

  • いくら開高健とは言え、食がテーマとあればお気軽なエッセイ的な感じで読めるのか…と思って読み始めてみたらそんな甘い考えは通用せず。

    冒頭の重さったら。。いくら「食」が引っ掛かってるとは言え、一切食欲を湧き立たせないようなテーマ設定。お気軽エッセイを期待した層を裏切ってやろうという遊び心なんでしょうか。「食」のあられもなさ、エゲツなさが語られ、ページ進みも重かったです。義務感で書いているような印象も。
    中盤の「芭蕉の食欲」あたりからは様相が変わって、今度は素直な方の遊び心が出てきて、こちらは読んでいる方も食欲を刺激される文章。最後にカニバリズムの話になるけれど、冒頭よりは遥かに読みやすい印象でした。
    しかし、読み終わって印象に残っているのは、冒頭の重々しいくだりから「食」って何なんだろう?と考えさせられたこと。悩ましいものです。

  • いろいろな「食べる」について書かれています。

    食べられないとき。
    食べざるを得ないとき。
    楽しんで食べるとき。
    飽食のその先…。

    今、私は「楽しんで食べ」ることができています。幸せなことです。さて、この先は?
    私の最後の晩餐はどんなふうになるのでしょう?

  • 読み始めから腰が退けて。解説に励まされみだしに願をかけて読んでみた。ら。緻密な文章、音のいい言い回し。思わず一つふたつ。解説の通り魅力的な文章とお話でした!

  • 開口さんの作品には達観がある。
    ぐだぐだな生活をしていてもこれでいいんだと言う感じ。
    小説家なんだけどジャーナリストなんだな。

  • 言わずと知れた名作。
    古今東西の食に関するヒトの尽きる事のない欲望を書いた食の大全。最底辺の食事から王様の食事、はては人肉嗜好まで。「食」の愉悦、深淵、その極北をあますところなく描きつくす(amazon)。
    毎回毎回、視点の付け所がすごい。ただもっと東海林さだおや團イクマさんのエッセイ的なものを、圧倒的な文章力で書いたもの、という勝手な先入観をもって読んだのでそういう意味では肩透かし喰らってしまった。でも面白い。

  •  食をテーマに連載されたエッセイ。グルメ紀行文かと思いきや、切り口からいきなり人肉食の話だったり、古代中国の文化だったりで、鼻面を殴られたような気分で読み始める。最初の序文や一話がやや堅苦しい話題から始まり、中盤は実際に企画として美食を求めてのグルメリポート。フレンチ、羊肉料理、魚、中華版精進料理、モツ……。食欲がそそられることはなはだしい。
     ちょうど「オーパ!」のときの南米旅行前後に連載されていたようで、作者さんが仕事や家庭の頚木に疲れてまた旅に出たくてソワソワしているというか、連載を投げ出したくなっているというような言葉が頻繁に出てきて、微笑ましく思うべきか、やる気のなさにあきれるべきか。まあ、ファンにはそういうところも愛嬌と感じられるわけだけど。
     最後にまた重い話に戻って人肉食のこと、かつての痛ましい墜落事故による遭難の結果、極限状態で人肉食に追い込まれた人々の話題、それから中国でかつて散見された人肉食の文化。食べるということの業の深さについて。

  • 「食べる」ことが切実だった世代の人が、食べることに向き合って書いたエッセー

  • あー面白かった。
    図書館で借りて読んだけど、一冊持ってて読み返しても良いかも。
    初めてでしたが、開高健さん。相当好きです。

  • 面白いとしか言いようがない。
    中国史など、ひもとく必要を感じます。

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著者プロフィール

1930年大阪市生まれ。大阪市立大卒。58年に「裸の王様」で芥川賞受賞。60年代からしばしばヴェトナムの戦地に赴く。「輝ける闇」「夏の闇」など発表。78年「玉、砕ける」で川端康成賞受賞など、受賞多数。

「2022年 『魚心あれば 釣りエッセイ傑作選』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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