- Amazon.co.jp ・本 (485ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334740917
感想・レビュー・書評
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帯に「あなたが裁判員になったときに真実を見抜くために」とありますが、いやはやこれは本当に考えさせられる作品。
読み手には逮捕された青年が無実であり冤罪であることもわかっているのですが、分かっているからこそ冤罪が起きてしまうその恐ろしさに身震いすらしてしまいます。
もし、ある日自分が身に覚えのないことで突然逮捕され、高圧的な態度の刑事に囲まれたら・・・
自分にかけられた嫌疑を否定し続けられるでしょうか?
その恐怖もリアルに表現されていて何とも言えない切なさも感じられました。
けれど。
もし冤罪と知らず、裁判だけを傍聴していたら私は冤罪と気づけるのでしょうか。
これから始まる裁判員制度は、正しく機能するのでしょうか。
非常に厳しい問いかけをされたような気がします。
解説に
「本当にいい小説とは、『どこにもない世界とどこにもいない人々』に、読者に激しく感情移入させ、生々しく感じさせるものである」と書いてありました。
私も同じ意見ですし(吉田修一氏の「悪人」然り)、
この作品は「本当にいい小説」であると思います。
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ノンフィクションとは思えないリアリティ。
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冤罪。それぞれの我が身かわいさだったり、疑問がでてきてもひくにひけない状態になってしまってたり、、、警察だけじゃなく色んな人間のちょっとしたことが寄り集まって、大きな流れになってしまう。それを堰き止めたり、一度流れ始めてしまったものを全く違う流れに持っていくことの難しさ。
読むのが止まらなかった。
その後どうなったんやろうって、気になるわ。そのままかな。本当の犯人がどうしてそこに至ったのかっていう章も読みたかった。ただこの小説は、冤罪側サイトの視線で描かれたものだから、仕方ないかな。実際の事件もすべてのサイドから明らかにされていくばっかりじゃないだろうし。真犯人だと予想されている人物は、つかまらないままになっちゃうのかな。 -
おすすめで読んだ本。たしかにオススメです。
こんな事件本当にありそうで怖い。
小説というよりドキュメンタリー・ルポに近い感じで書かれているのでよけいリアリティが増します。
思わぬことから犯人確定となってしまう。こんな雑な捜査はないと信じたいとしか言えませんが、人間だからあってもおかしくないかもと思えます。
何を信じたらいいのか考えさせられました。 -
フィクションとは思えないリアリティ。
きっと昔はこんな風に冤罪がうまれたのだろう、、、
自分の正義と組織、、、 -
途中まで読んで警察は犯罪を抑制する人じゃなくて体面のために殺してもいない人、気の弱い人を犯人に仕立て上げ真犯人を野放しにする。
敵だと思っていたけど本当に敵だ。他の著者の警官はいい人、職務を全うする人を描いていたけど、この著者を読んでやはり敵になった。
一般市民には分からない自白の仕方や曖昧に説明する手口。半分も読んでいないのに書かずにはいられない憤りのやり口に犯人に仕立てられた人が今後どうなるのか、自分がそうなった場合の参考にもなるのかじっくり読んでいきたい。
逮捕されてから弁護士がつく経過、裁判と読むのが辛くなる内容に気持ちが落ち込んでいく。
内容はすごくいいし、分かりやすく書いてあるけど心のモチベーションが下降して這い上がれないので評価低め。
そしてやはり警察は敵だ
信用してはいけないと再確信。 -
ドキュメンタリーかと錯覚するミステリー。
自分がその立場にいたらきっとそうするであろうなと色々な立場や考えが「禍福はあざなえる縄の如し」(人生は禍福-禍いも幸福も混ざり合ってなわれた縄のようなものだ)冤罪事件を作り上げていきほどけない縄になって行くのだと考えさせられる作品でした。 -
小説だけどドキュメンタリーのようで、自分が裁判員になったら巧妙に作られたストーリーを聞き、被告人が否定したとしても冤罪だと感じることは難しいだろうなと思った
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冤罪が作られる過程とはこういうものなのか。
悪人の悪意、ミスなどだけではなく、正義や組織への義務、模範的行動もそうさせてしまう。人間の行うことだからそうなってしまうこともあるだろうが、自分は自分のために嘘をつかない正義を貫きたい。