文化としての数学 (光文社文庫)

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  • 光文社
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (247ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334741617

感想・レビュー・書評

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  • 数学者でありながら、小中学の現場で指導と教育改革に注力した著者による「数学」をその成立と文化の面から解説した本。初見の内容が多くあり、面白かった。
    例えば、発生当初は帰納的で動的だった数学が、時代を経て揺れながらも演繹的で静的なものとして帰着しているなど、数学そのものの属性に解説を与える記述が多かった。著者はその解説の上で、本来の数学教育はもっと自由で懐疑的なものでなければならないと指摘する。
    自分はばちばちの文系でこれまで数学を拒絶してきたが、数学をもっとメタ的に見ることが出来れば接し方が変わるかもしれない。新しい示唆をもらったと感じる良書。

  • 2006年(底本1973年)刊行。東京工業大学名誉教授。数学教育に画期的足跡を残した著者の講演・講義、あるいは雑誌投稿文を纏めたもの。数学史においては、非常に簡明な文章であるので読みやすいが、やはり、集合論、集合に構成を加味した現代数学論になると、極端に難易度がアップする。数学・算数学習の意味、総合と分析の両立は大きく首肯するところ。

  • 書かれた時代も、書いた人もまったく違うのに、同じようなことが書かれていた(小さく分割していくという点)。これって基本といえば基本なんだけど、そこまで考えない人が多いってことか。

  • 2013/02/03-13:48 さすがにちょっと古いかも

  • 前半はエッセイで取っ付き易いが、後半は哲学・思想史になってくるので、その手の思考に慣れている大学生でないと、頭に残らない内容。万人向けではないが、波長があう人はハマると思う

  • 定番の数学本だったが。

  • 本書は、数学エッセイ。
    けど、軽い気持ちで読むと、痛い目に遭うだろう。
    分析と総合。この二つにして、一つの深遠なる人間の思惟方法。

    本文だけだったら、☆4つだったが、吉本隆明の追悼文を読んで、心が震えたので、満点の☆5つ。

    以下、抜き書き。
    ・トルストイが国語や算数のすぐれた教科書をつくっていた。
    ・リンカーンと幾何学
    ・大きい無限と小さい無限
    ・デカルトの『方法序説』
    ・「私が何度でも確認したいとおもうのは、この無権力的な混乱の時期(敗戦直後)に、わたしたちは何かをおこすことも何かの指示をうけとることもなかったということである」吉本

  • なんで買ったのか全く覚えていない!
    ごめんなさい。読まないまま売却です。

  • 数学は人間が創ったものだろうか? <2+2=4>これは人類が存在する遥か以前からの真理ではないだろうか? こうした素朴な疑問に答えることからはじめて、著者は数学とは何かを平明に説いていく。しかし、綴られる文章の根底には、数学の持つ厳しさ、正確さへの信念と情熱が横たわり、遠山啓が築き上げた確かな人生哲学を読み取ることができる。
    ※読みながら思わず息を呑んでしまいました。

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著者プロフィール

遠山 啓(とおやま・ひらく):1909-79年。熊本県生まれ。東京大学数学科に入学するも退学、のち東北大学数学科を卒業。海軍教授をへて東京工業大学教授。数学教育への関心から民間教育団体「数学教育協議会」を結成、長く委員長をつとめた。数学教育の理論と方法を開発・提唱し、その水道方式、量の理論などは、教育現場に大きな影響を与えた。著書に『無限と連続』『数学入門(上・下)』(以上、岩波新書)、『代数的構造』『現代数学入門』『代数入門』『微分と積分』(以上、ちくま学芸文庫M&S)『競争原理を超えて』(太郎次郎社)などがある。教科書や雑誌の創刊にも多く関わった。

「2023年 『初等整数論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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