- Amazon.co.jp ・本 (399ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334744045
感想・レビュー・書評
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池井戸潤の「空飛ぶタイヤ」を先に読んでいたので、
既視感が随分あったが、会社上層部の克明な描写が、優れていた。
桑山と峯岸の距離感のある関係。
桑山の権力の集中。そして、不正の隠蔽。
反対するものは、飛ばされる。
反対するもので、窓際よりひどい壁際で体を壊す。
結局は、反対せずに、隠蔽に協力する。社畜だね。
隠蔽を支持するが、内部告発者がいる。
桑山の足元から崩れていく。
常務 笹平の無念と娘郁子のなんとも言えないしたたかさ。
新聞記者の深堀の追求と 息子の不登校に対する対処。
なぜ働くのだろうか?なぜ勉強するのか?
その問いかけが、実に意味がある。
日本の会社の病巣が、相当深くに浸透している。
なぜか、日産のゴーン状態が、想起される。
会社って、怖いねぇ。牢屋の中に閉じ込められている。
池井戸潤とは、同じネタで、全く違ったテイスト。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
東北自動車道で起きた一件の事故。
駆動系の部品に欠陥があったのではないか?
メーカーの五代自動車は、あくまでトラックに問題はなく、運転手の過失と断定。
しかし、今度は、川崎市で、大型トラックのタイヤが脱落し、母子を直撃し、母親が死亡する。
ひたすらリコール隠しに扮装する大企業に、新聞社などマスコミの追求が、激しくなる。
大企業の中堅社員と新聞社の記者の対立を主軸に、大企業の社員の立場、新聞社の立場、役所や検察の立場など、それぞれの登場人物が、それぞれの立場で、己の信念に従って、闘いを続ける。
先の読めない展開に、ハラハラドキドキの連続です。
池井戸潤の「空飛ぶタイヤ」と似たシチュエーションですが、こちらも興味深く読みました。
両書とも、お薦めです!!!
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ほとんど予備知識なく、店頭で手に取って、面白そうだと感じて購入したのですが、結構面白く読みました
基本的には、リコール隠しをする財閥系の自動車メーカーで、会社の体質に疑問を感じる中間管理職の動きと、リコール隠しの実態を追う新聞記者の取材過程を交互に描くような作りになっています
一方の主人公、中間管理職の社内的なポジションがややわかりにくい点、記者会見の妙に秩序だった荒れ方など、ところどころ「おや」と思うところもありましたが、全体としてきちんとした取材をもとに書かれていることがわかる書き方で、好感が持てました。(記者会見の描写など、ややデフォルメが過ぎるな、と思えるところもありますが、まあ、小説作法の範囲内でしょう)
ただ、女性が出てきますが、はたしてこの小説に必要だったか、疑問です。この女性がいない方が、ストーリーはすっきりしたような気がします -
090731
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東北自動車道で起きた一件の死亡事故がきっかけだった。ディーラーからあがってくる不具合情報を隠蔽し、リコールを逃れようとする五代自動車と、事故原因を追及する新聞記者の必死の攻防。終わりの見えない「企業倫理」の崩壊は、なぜなのか?この国は、どこへ向かおうとしているのか?誇りをもって、日々を闘うすべての人に贈る。入魂の長編経済小説。(親本は2006年刊、2008年文庫化)
・第一章 死亡事故
・第二章 不具合情報
・第三章 脅迫者
・第四章 隠蔽体質
・第五章 再会
・第六章 土牢
・第七章 傾斜
・第八章 紛糾
・第九章 滅びの予感
・第十章 内部告発
・第十一章 闇の底から
・第十二章 蟻地獄
・第十三章 強制捜査
・エピローグ
自動車メーカーを舞台とした企業小説。新聞社との攻防が面白いが爽快感には欠ける。 -
自動車のリコールをきちんとしなかったため大きなダメージを受けた会社の話。
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このように会社は崩壊していくのか、と考えさせられる。