求婚の密室 新装版 (光文社文庫 さ 3-109 笹沢左保コレクション)

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (379ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334745356

感想・レビュー・書評

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  • 求婚の密室
     第1章 密室の死
     第2章 心中説
     第3章 他殺説
     第4章 真犯人
    小説宝石 1978年4月~6月

    著者のことば
    光文社「求婚の密室」 1978年7月

    エッセイ 柄刀一
    これは、クイーンの○○○○だったのですね

    解題 山前譲
    密室への再チャレンジ

  • 密室状態にあった別荘の地下室で、夫妻の服毒死体が発見される。床にはダイイング・メッセージらしきものが残されていた。自殺か他殺か、招待された客による推理対決が行われる。
    昔の作品なので表現や感覚が現代とずれているが、それが気にならないほど、推理の行方に引き込まれた。

  • 犯人の特徴を活かした密室トリックが秀逸。気がつきそうで気がつかない感じがとても良いです。
    ダイイング・メッセージは心理的に納得し難いものがありますが、多重解決やどんでん返しなどの出来も良く、優れたフーダニット小説だと思います。

  • 4 

    冷静に振り返ってみると、“密室の謎を解いたら美女と結婚できる”という設定は如何にも突拍子もないものだが、作中は無理なく進行していくので然程違和感を感じない。筆者の卓越したストーリーテリングの賜物だろう。内容も骨太な密室ものと言って良く、トリックやプロット、人物設定などが高次元で渾然一体となった本格である。
    目次を見た段階で、第二章などはかませ犬的な雰囲気もあり、何となく軽視しがちだが、きちんと読まないと重要な情報を見逃しかねないので気が抜けない。で、割と早い段階で決定的なヒントが出されるので、勘の良い人は早々にトリックや実行犯について想像がついてしまうが、何故そんなことになったのかという更なる真相が気になり、結局最後まで読まされてしまう。上手いものだ。

  • 別荘に集められた13人が目を覚ますと密室の中で主人夫妻が死体となって見つかった。というのは、実に古典的な推理小説の設定である。ところが、主人夫妻には妙齢の美しい娘がいて、彼女に求婚する二人の若者がいて、この殺人事件の謎を解いたものと結婚する、という話になってくると、少々びっくりする。なんという設定なんだと思う。

    こういうラブ・ロマン的な設定に遊んだミステリというのは、ミステリ的な要素は添え物で、特に密室なんて言われると、どこかで見たネタのパクリというものが結構ある。こういうと失礼だけど、安易に書かれた「○曜サスペンスドラマ」の脚本のようになってしまうのだ。しかし、この作品は違う。ミステリとしての完成度は高い。才人有栖川有栖氏が「密室大図鑑」で賞賛するだけのことはあるのだ。

    いわば推理の決闘なのだから、何通りかの解釈が示される。そういうタイプのミステリがとっても好きなので、とても楽しかった。殺人が起きてから最初の推理が示されるまでが早く、細かいごたごたにわずらわされないのも好みである。

    3つの推理が次々と披露される中で、描き出される人間模様はドロドロとしていて、紳士淑女然としている招待客の影の部分が現れていくあたり、なんとも言えない雰囲気がある。そのたびに事件に解釈が変わっていくのもおもしろいけれど、暴露物としての興味深さも正直あると思う。犯人もその延長にあるわけだし。

    ただし、文章の書き方が粘っこいので、好みに合わなければあわないと思う。僕はぎりぎりセーフだった。また、文章の書きぶりそのもので、なんとなく真犯人が見えてくるようなところもあった。それでも、真相、特に密室の謎解きは虚を突かれたもので、実に見事だったと思う。

    おもしろさとミステリとしての趣向は満点。だけど満点をつけられないのは、文体と、あと「感情移入できる登場人物が一人もいないんだよな」という個人的な趣味による。

  • 密室トリックの原理はユニークでよくできている。特に被害者の行動に関する部分は、残酷ではあるが解法としてはエレガントなもので、感心した。

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著者プロフィール

1930年生まれ。1960年、初長篇『招かれざる客』が第5回江戸川乱歩賞候補次席となり、本格的な小説家デビュー。 1961年『人喰い』で第14回日本探偵作家クラブ賞を受賞。 テレビドラマ化されて大ヒットした『木枯し紋次郎』シリーズの原作者として知られ、推理小説、サスペンス小説、恋愛論などのエッセイ他、歴史書等も著し、380冊近くもの著書がある。2002年、逝去。

「2023年 『有栖川有栖選 必読! Selection11 シェイクスピアの誘拐』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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