春を嫌いになった理由 (光文社文庫 ほ 4-4)

著者 :
  • 光文社
3.24
  • (41)
  • (271)
  • (421)
  • (103)
  • (22)
本棚登録 : 2689
感想 : 257
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (389ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334747237

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 初期の頃の作品。ホラーミステリーらしいが、あまり怖く・グロいシーンは少なく、漫才のような笑える箇所も多い。
    プー太郎の主人公の瑞希26才とTV局の敏腕プロデューサーである叔母38才の織江。織江から超能力者が行方不明者を捜索するという番組の通訳者として瑞希が依頼を受ける。小さい頃、透視らしきものでトラウマになっている瑞希は胡散臭さを感じながら、金の為に引き受ける。
    ブラジル人の超能力者エステーラに対して、心の中では悪態を吐きながら、通訳する瑞希。
    早速死体を見つけるが、本筋とは別に中国からの密航兄妹と一般家庭の話しが脈絡無く並行する。
    密航の内容が壮絶だし、事故で亡くなったり、殺人者に狙われたり、展開が目まぐるしい。
    同時並行しているのに、時間経過が不調和であり、最後に一本となる。
    超能力者のエステーラの透視が悉く当たるのに、信用しない瑞希、それを最後まで撮り続けるTVマンの織江。生放送で進行するシーンが生々しい。昔の似たような番組を食い入るように観ていた事が懐かしい。
    最後の章での種明かしが腑に落ちたような、落ちないような・・。 殺人者を倒したのは誰?

  • フリーターの瑞希は、テレビプロデューサーの叔母から霊能力者・エステラの通訳兼世話役を依頼される。霊能力者嫌いの瑞希は嫌々それを引き受け、向かったロケ現場、エステラの霊視通り、男性の遺体が見つかって……!?

    霊能力者の通訳を依頼された瑞希の物語と、林守敬という中国からの密入国者の話が並行して語られていきます。割とコミカルなテイストの瑞希の話と、シリアスな守敬の話。まったく関係のないように見える、雰囲気の違う2つの話が最後に一つにまとまり、意外な結末にたどり着きます。

    何だか最初から最後まで、叔母やエステラ、慣れないテレビ業界に振り回されっぱなしの瑞希がかわいそうでものすごく瑞希に肩入れしたまま読んでしまいました。オチまでかわいそう……。事件は解決したはずなのに瑞希の今後を考えると何となく後味が悪いです。

    「霊能力捜査」や「オカルト特番」みたいな番組って昔よくやってましたよね。子供の頃なんかは色々見た記憶があります。
    そんな番組の数々を思い出し、懐かしい気分になりました。

  • 3.4
    二つの話が交互に進んでいきます。
    当然どこかで繋がるものと思いながら読み進めていきました。
    漠然と想像していた繋がりとは違っていて、結構複雑に絡み合っていました。
    伏線もしっかり回収されてますし、面白かったんですが、物語の背景や設定そのものにイマイチ入り込めませんでした。
    恐らく主人公の魅力が足りなかったのかな、と思います。

  • ホラーミステリーになるのかな?
    守敬のくだりが切なすぎる。
    映像で見てみたいかも。

  • なんとなくこの子も超能力みたいな霊視みたいなの出来る展開だなーとはおもったけど、最後まじの霊出てくるとは思わなかった。ホラーミステリー!

    中国の名前とか地名とかが全然覚えられなくて、あれ?これなんて読むっけ?からのページ戻ってふりがなを確認して、を繰り返し最後は諦めて漢字だけみて登場人物を頭に浮かべながら読んだ。

  • 20110718読了
    #季節

  • 霊の存在など信じないといいつつ、不気味さは感じる。なにか落ち着かない場所がある。
    が、超常現象は信じない。超常現象を判断の基準にしない。
    というタイプだが、それはさておき面白かった。多分、霊媒師を持ち出さなくても物語できたのではないだろうか。

  • 昔あったなぁ…こういう番組。

  • 2012.11.6
    過去のトラウマから超能力、霊感等信じない主人公が叔母さんから依頼された仕事は霊能力者の通訳。
    透視された場所に行ってみるとそこには白骨化した遺体が!
    本当に透視されたものなのか、
    それともtvが用意した遺体?
    その捜査と同時に進む中国密航者の過去。

    この2つがどう絡んでいくのかと思ってたら、
    ラスト2ページぐらいまで引っ張って
    オチはふむふむ...って感じやった...
    それまでが一気読みする程だったからまあいいか。

  • 「春を嫌いになった理由」
    誉田哲也初期作品。


    今やジウシリーズ、姫川玲子シリーズ、武士道シリーズといった警察小説や青春小説のイメージが強い作者だが、初期は伝奇、ホラー作品も執筆していた。2002年には「ダークサイド・エンジェル紅鈴 妖の華」で第2回ムー伝奇ノベル大賞優秀賞を、2003年には「アクセス」で第4回ホラーサスペンス大賞特別賞を受賞している。「春を嫌いになった理由」もホラー路線の一冊である(かなり、オカルト寄りな気もするが)。


    主人公は、通釈者志望の実質無職で霊能力者が嫌いな二枚目半な秋川瑞希。テレビプロデューサーの叔母の名倉織江から霊能力者・エステラの通訳兼世話役をむりやり押し付けられた瑞希は、番組スタッフと共に若い男の幽霊が目撃されるという交差点に訪れる。


    が、訪れた現場でエステラはとんでも無いことを言い出す。交差点近くの廃ビルに男の死体があると言うのだ。そして、実際に調べてみるとエステラの言う通り、ミイラ化したら死体が発見する。超能力が信じられない瑞希は、織江ら番組スタッフがエステラと組んだヤラセの可能性を疑うが、またまたエステラがとんでも無いことを予知する。


    この瑞希を主人公にした物語と並行して展開されるのが、中国からの密入国者・林守敬(リンソウチン)をめぐる物語である。こちらは瑞希のような二枚目半キャラもいなく、中国から日本への過酷な旅や妹・従兄との日本の暮らし(こちらも過酷)、そして、新宿歌舞伎町で最も恐れられている男「月(ユエ)」との邂逅とコミカル要素は全くなし。


    当然この二つの物語は交差していくのだが、瑞希は置いてきぼりになる。何が何か分からずにエステラに突っ走られ、織江にかき回され、テレビ番組作りの都合に巻き込まれる。結局、最後にとっておきの活躍の場が用意されているが(あれだけ嫌いだった超能力に最後気に入られる形となるとは瑞希の心境はどうだったのか)、ちょっと同情するほどの目の回りようだ。


    瑞希が超能力を嫌いになった理由が重いが、瑞希の二枚目半と織江との掛け合いがコミカルな分、全体的に読みやすい。因みにホラー・オカルトも薄めなので、そこを期待すると物足りないかも知れない。


    さて、タイトルの「春を嫌いになった理由」の理由だが、てっきり重いと思いきやコミカルな理由であった。が、それで引き受けてはいけないよ、瑞希よ!

全257件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

誉田哲也
1969年東京都生まれ。2002年『妖の華』で第2回ムー伝奇ノベル大賞優秀賞受賞、03年『アクセス』で第4回ホラーサスペンス大賞特別賞受賞。主なシリーズとして、『ジウⅠ・Ⅱ・Ⅲ』に始まり『国境事変』『ハング』『歌舞伎町セブン』『歌舞伎町ダムド』『ノワール 硝子の太陽』と続く〈ジウ〉サーガ、『ストロベリーナイト』から『ルージュ 硝子の太陽』まで続く〈姫川玲子〉シリーズ、『武士道シックスティーン』などの〈武士道〉シリーズ、『ドルチェ』など〈魚住久江〉シリーズ等があり、映像化作品も多い。

「2023年 『ジウX』 で使われていた紹介文から引用しています。」

誉田哲也の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
伊坂 幸太郎
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×