短劇 (光文社文庫 さ 24-2)

著者 :
  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (347ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334749057

感想・レビュー・書評

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  • ブラックユーモア満載のショートショート集。坂木さんの本は、今まで読んだものが前向きな爽やか小説が多かったので、こんな感じの文章も書くのかと意外だった。あとがきに『当初は「いい話」の連載だったはずが、どんどんブラックになってしまい…』と書かれている通り、段々と薄気味悪い話も入ってきて震える。でも、私はどちらかというと「MM」や「秘祭」のような、クスリと笑える話が良かったな。


    この本はサイン本で、サインの横に謎の絵が描かれていて、吹き出しで「いて」と書いてある。最初は何の絵だろ?と思ったが、最後まで読んだら分かりました( ´艸`)

  • ブクログ仲間さんのレビューで、覚悟はしていたけれど
    坂木さんの思った以上にダークな一面を垣間見て
    まさに、「甘いぞ。苦いぞ。おどろくぞ。」

    26篇のショートショートが収められていますが、
    甘い=10%、苦い=70%、驚く=20%
    という感じでしょうか。

    坂木さんといえば、心癒される温かい読後感や
    問題を起こしてしまった人物も含め
    登場人物への手厚いフォローが持ち味と思っていたけれど、
    『先生と僕』あたりからひとさじずつ苦さが加わってきて
    『夜の光』での、高校生たちの家族への絶望感は
    かなりヒリヒリ後を引く痛みとなって残って。。。

    その後での、一気に苦さ倍増の、この『短劇』!
    読んでいて辛くなるような作品もかなりありましたが、
    こういうシニカルな一面や、混沌とした闇を抱えているからこそ
    『青空の卵』や『和菓子のアン』でみせる坂木さんの温かさが、
    地に足がつかないふわふわしたものではなく
    清濁併せ呑む苦しさの中から濾過に濾過を重ねて生み出した
    きらめくような一滴なのだ、と信じられる気がしました。

    たぶん坂木さんにとってのガス抜きともいえるこの1冊、
    そう思いつつも、このあとしばらくは
    「温かい坂木さん」作品が続きますように!
    と祈ってしまうわがままな読者を、
    坂木さんが許してくれますように!

    • 円軌道の外さん

      坂木さんの作品は
      読んだことないんやけど、
      自分の中では
      勝手に瀬尾まいこさん的な
      あたたかな読後感をもたらしてくれる作家のイメ...

      坂木さんの作品は
      読んだことないんやけど、
      自分の中では
      勝手に瀬尾まいこさん的な
      あたたかな読後感をもたらしてくれる作家のイメージだったんで、

      そういうダークな作品もあるんやぁって
      ちょっとビックリでした(汗)


      それにしても
      まろんさんの
      『清濁併せ呑む苦しさの中から濾過に濾過を重ねて生み出した
      きらめくような一滴』って
      ほんと素晴らしい表現ですね!

      坂木さんに対する愛情いっぱいのレビューに
      自分も無性に読んでみたいって思いました!!


      2012/06/07
    • まろんさん
      まっき~♪さん

      びっくりだったけど、まっき~♪さんのレビューのおかげで
      覚悟をもって臨んだ(?!)ので、金縛り状態は免れて、助かりました(...
      まっき~♪さん

      びっくりだったけど、まっき~♪さんのレビューのおかげで
      覚悟をもって臨んだ(?!)ので、金縛り状態は免れて、助かりました(笑)
      了解もなく、レビューに登場させてしまってごめんなさい(>_<)

      でも、ああいうピリっとしたショートショートだと
      いつものほんわか作品では隠れがちな
      坂木さんの筆力の確かさが、際立ちますよね!

      とはいえ、一緒に、坂木さんのほんわか作品完成を祈りましょう!
      2012/06/08
    • まろんさん
      円軌道の外さん、いつもコメントありがとうございます♪

      坂木さんは、デビューから追いかけてる作家さんなので
      ついつい力んでレビューを書いてし...
      円軌道の外さん、いつもコメントありがとうございます♪

      坂木さんは、デビューから追いかけてる作家さんなので
      ついつい力んでレビューを書いてしまって、はずかしい(>_<)

      さすが本を愛する円軌道の外さん、
      本来の坂木さんのイメージを的確に把握してくださってます!
      世界をやさしく温かい目でみつめている円軌道の外さんには
      坂木さんの作品は、きっと気に入っていただけると思います!

      ひきこもり探偵シリーズの1巻目の『青空の卵』なんかは
      ブックオフだと、100円とかで売ってたりするので
      ぜひぜひ読んで、レビューを書いていただきたいです(*^_^*)
      2012/06/08
  • 坂木司さんの短編集。
    ほんわかエピソードもありつつ、結構ダークな話が多かったですね。人間の闇を描いたような…。
    個人的には、「雨やどり」「秘祭」「物件案内」「ゴミ掃除」「穴を掘る」「試写会」あたりが好みです。
    空き時間にさらっと読めるのも良いですね。

  • なんというか、不思議な読後感。

    この前に読んだ『夜の光』も色が違うと思ってたんだけど
    この『短劇』はそれ以上だった。
    読後感がいいか悪いかといったら良くはない。
    だけどただ薄気味悪いとかゾッとするだけではない何か、
    巧く説明できないけど、気持ち悪いんだけどクスッと笑っちゃうような感じ。

    長さ的には物足りない向きもあるかと思うが
    坂木司という作家さんは意外とこういうショートショートもイケるんだなーと
    目から鱗が落ちる気がした。

    個人的には
    『カフェラテのない日』のオチのほのぼの感、
    『ゴミ掃除』のどんでん返しのスッキリ感、
    『試写会』の主人公に一切同情できない感じが好きだった。


  • 坂木司版世にも奇妙な物語
    という帯に惹かれて買いました。

    短編がブラックなまま
    余韻を残して終わるのが
    繰り返されるとなんとも言えない気持ちになる、、、

    あとがきさえも坂木司さんが
    上手に脅かしてくれるので
    病院で呼ばれるのを待ちながら
    読んでた私はこれからも
    ふとこの物語を思い出してしまう気がします。。。

    和菓子のアンシリーズや
    先生と僕など読んできましたが
    これまでと種類が違くて楽しかったです。


  • 切れ味がよく、読みやすい。
    手に取った時はそれなりの分厚さを感じたものの、読み終わるまではあっという間だった。
    ふふっと笑える程よいブラックジョークの短編集。
    最高です。

  • あかね文庫より。再読。3回目かな。覚えてるのも忘れてるのもあったけど、やっぱ坂木司は好きだ。『ケーキ登場』レストランにバースデーケーキが運ばれてくる。その場に居合わせた人たちの思いは周りが思っているのとは全く違う。人のことなどテレパシーの持ち主でもないと分からないのだ。『ゴミ掃除』も好き。本当にこういう悪質な奴らを退治してくれる人がいたらいいのに。それこそテレパシー、未来も過去も見えちゃうようなおばちゃんの『物件案内』、都会の背景としてひっそり住む『ビル業務』なんかは憧れる。『秘祭』は自分がされるとなったら本当に恐ろしい。思春期だもの。

  • 坂木司さんは好きな作家さんのひとり。
    この本で坂木さんの本は10冊目になります。
    今まで読んできたのはライトミステリー。
    この本は坂木さん初のショートショート。
    いつもの坂木さんのほんを読むようなつもりで読み進めていくと・・・
    あれ?あれれ??あれれれ???あれれれれ????
    どんどんブラックになっていきます。
    うわぁ~、坂木さんの作品にもこんな感じのものがあったのね・・・
    と、驚きつつ、いつもの坂木さんの本が好き!と強く思ったのでした。

  • 坂木司さんは「和菓子のアン」シリーズが大好きなんです。ほのぼの温かく美味しくて、ちょっと不思議な謎々話がお得意なイメージだったので、なかなか意外性がありました。
    確かに【世にも奇妙な物語】っぽいというか、、【笑うせぇるすまん】的かも( ̄▽ ̄)
    少しのいい話と、多めのブラックユーモア。
    「試写会」はちょっと我を顧みて怖くなった。
    こうやって、自分も自覚ないままに、周りに対して気遣いのできない人間になってたらホントに怖いわ。。。
    あと「最先端」も怖い、、、最先端オシャレ怖い。。
    日常に潜んでそうな内容から、いや、ありえんだろってシチュエーションまで、全て短編だけど面白かったです。

  • 今までは、どちらかと言うと、優しい感じの作品が多い作者のダークな一面が見える、ショートショート短編集。
    収録されている作品、全てが読んでいて、気分が悪くなるという、かなりの強者。
    坂木司の闇って深いんだなぁ、とただただ脱帽。
    ただ、題材としては、どこにでも潜んでいそうな小さい憎悪で、作品の中の登場人物みたいに、実行に移せたらいいのに…と思う部分も。でも、半分くらいは読後感は最悪…気持ち悪くなる内容も。

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著者プロフィール

一九六九年、東京都生まれ。二〇〇二年『青空の卵』で〈覆面作家〉としてデビュー。一三年『和菓子のアン』で第二回静岡書店大賞・映像化したい文庫部門大賞を受賞。主な著書に『ワーキング・ホリデー』『ホテルジューシー』『大きな音が聞こえるか』『肉小説集』『鶏小説集』『女子的生活』など。

「2022年 『おいしい旅 初めて編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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