ぼくは落ち着きがない (光文社文庫)

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著者 : 長嶋有
  • 光文社 (2011年5月12日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334749538

ぼくは落ち着きがない (光文社文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 本を読むということの(いろいろひっくるめてすごく簡単に要約すると)面白さが、ものすごくたくさん詰まっていて、書かれていて、読みながらずっと読んでいることにうれしくなる小説だった。

  • 「チェリーブラッサム」がサビの校歌にだけはツッコミたい。

  • ぐるぐると身近なことを、
    真剣と暇に任せてと致し方なく、
    のすべてて考え続けていた日々を、
    持っていた人はどのくらいいるのだろうか。

  • 「皆、誰かに期待なんかしないで、皆、勝手に生きててよ。」

    高校の、図書部のおはなし。

    タイトルの「ぼくは落ち着きがない」は、むかし図書部にいた先生が書く、次回作のタイトル。
    おそらく、図書室につながる両開きのドア(西部劇なんかにあるやつ)を擬人化して「ぼく」としているのではないだろうか。
    私は、作中の先生が書いた同タイトルの小説を読みたい、と思ったのだけど、これを読み終わることでその願いはかなってるのか、なんて厨二みたいなこと考えました。

    青春小説特有のかる~い会話劇が私はもんのすごく苦手なんだけど
    長嶋先生はやはりセンスがあります。
    滑り知らずというわけではないけれど薄ら寒くもない、あーわかるわかる、があるから安心して読めるんだ。
    雑多に登場人物が出てきて
    思い思いしゃべって
    ときどき気になる人もいて
    事件もことごとく地味、なんだけど、それがいい。
    高校生の自分をおもいださせてくれるのが、青春小説の醍醐味かも。

  • どこかで誰かがこの本を読んで「なるほど、本は役に立つなあ」と思っている瞬間が存在するなら、それだけで嬉しいな

  • 学校特有の匂いやザワザワした空気感、友との会話の合間に感じる小さな不安感や充実感、、、。
    高校生の頃に自分が感じた、そうした感覚や感情がじわりと蘇ってきた。
    主人公の望美の心のつぶやきを辿っているうちに、自分も図書部の部室の横並びの席の片隅に座って、紅茶を飲んでいるような気持ちになった。

    地味めで、クラスでは浮きがちな子も多い図書部の部員の毎日には、それほど劇的なことは起こらない。でも、毎日、何かしら心にひっかかる出来事があり、それについて自分なりに何かを感じながら、過ごしている。心の中に自分の想いをしまい込む日もあれば、何かに衝き動かされるように行動することもある。それがむしろリアルな感じがして、一気に読み切ってしまった。

    『ジャージの二人』を読んだ時にも感じたのだが、長嶋有さんの作品は、「ちょうどよい距離感」のようなものがある気がする。俯瞰気味に物事を捉える人物が必ずいるせいだろうか。作品に入り込みすぎず、自分も何かを考えながら、読み進める。それが心地よい。

  •  主人公の望美ちゃんがとても好きだ。ひょうひょうとしていて、自分のいる状況を受け止めるのが上手だなぁ、と。 
     それにしてもこの作品は帯に学園小説と書いてある割には、他の学園ものほど劇的な展開や刺激的な出来事も起こらない。が、それが高校生のリアルだと思う。そうドラマチックな出来事なんてなくて、日々は胸がざわつくような小さな出来事の積み重ねだよなぁ…。

  • ちょっと変わった部員の多い図書部を舞台に、主人公で語り部の望美が、落ち着きなくキョロキョロしながら、戸惑ったり悩んだりしながらの青春物語である。
     
    主人公の望美は、そんなに目立つ子でもなく、そんなに変わった印象でもないが、いつも図書室や部室の中をキョロキョロして、ペコペコしたベニヤ板の壁やパタパタ開く扉を西部劇みたいだとか、そんなことを考えている。
    彼氏もいないし、変わっているとしたら、同級生より難しい本を読む程度だ。
    そんな彼女が、ちょっと風変わりで人間臭い顧問の先生や、先生とつきあっているしっかり者の部長や、女の子なのにドカベンでういていて、不登校になってしまった友達や、一度に難しい本を6冊も借りて行くのに見たことがない転校生とか、一年の時の司書の先生など、印象的な人たちに心を動かしている。
    理由がわからないまま避けられている友達とか、学校裏サイトのこととか、勝手に送りつけられてくる卑猥な迷惑メールのことに心を痛めているけれど、それでも、周囲からは、かわいらしい小動物がちょこんと座っているみたいに見えるのだろう。
     
    いわゆる思春期は、心も体も環境も劇的に変化していく時で、心の中はめまぐるしく揺れ動いている。彼氏がいる子だけが、青春しているわけでもない。ケータイ小説みたいに記号的な不幸や幸せばかりじゃない。

    そんな日常をセンシティブに過ごしている子供たちが、とてもいとおしく思える作品だった。
     

  • 高校の「図書部」を舞台にした物語。何か事件が起こるわけでもなく、個性豊かな部員たちの日常が淡々と描かれる。こんなふうに書くと、よくある(本当によくある)ラノベ的学園世界を想起してしまうけど、この小説が書こうとしている世界は、たぶんそれとは違う。
    図書部の面々は、ゆるゆるとした毎日を過ごしている。部室でお茶を飲みつつダベり、漫画の貸し借りをして、「本来の」活動である図書室の貸出業務もおこなう。かつて文科系高校生だったすべての男女が「いいなぁ」と嘆息する日常がいきいきと描かれ、心地良いノスタルジーへと誘う。そして同時に、彼らがそのノスタルジーの奥底に沈めたものを呼び覚まし、ときおりヒヤッとさせたりもする。

    教室の皆に自分が仲間はずれにされているのではない、自分が皆を置き去りにして仲間はずれにしているんだー(中略)そういう逆転の見立てを、部員のうちの気弱そうな何人かは抱いているように見える。(p.97)

    「休憩休憩!」部室ではない、図書室内のテーブルで作業をしていた部員全員がほっとした表情。影の薄い浦田は黙って部室に向かった。(p.121)

    教室に居場所のなかった自分。
    そして、安息の地であるはずの文科系コミュニティーの中でさえ、上手く馴染めていなかった自分。
    「ラノベ的な」日常ではスルーされがちな、文科系高校生の「苦さ」を、この小説は見逃してはくれない。もちろんそれは、作者が冷淡だからではない。自分たちの「苦さ」を痛いほどに噛み締めて、その上で笑ったり泣いたり悩んだり怒ったりする彼らに向き合おうとしているからだ。そのためには、彼らの「苦さ」にも向き合わざるを得ない。
    現実では劣等感に苛まれ、フィクションでもまっとうに描かれない文科系高校生を文字通り「直視」しようとする誠実なまなざし。この小説の真価はそこにある。
    と、かつて文科系高校生だった自分は思う。

  • 【本の内容】
    両開きのドアを押して入るとカウンターがある。

    そこは西部劇の酒場…ではなく図書室だった。

    桜ヶ丘高校の図書部員・望美は今日も朝一番に部室へ行く。

    そこには不機嫌な頼子、柔道部と掛け持ちの幸治など様々な面々が揃っている。

    決して事件は起こらない。

    でも、高校生だからこその悩み、友情、そして恋―すべてが詰まった話題の不可資議学園小説が文庫化。

    [ 目次 ]


    [ POP ]
    ベニヤの壁で仕切られた図書室の奥の小さな空間を舞台に、図書部員の高校生たちの日々をゆるやかにかつ生き生きと描く青春小説。

    友達が不登校を宣言したり部長と顧問が噂になったりドラマになりそうな出来事もあるけれど、変なあだ名や部室で飲むお茶、何気ない昼休みの会話の積み重ねこそが彼らを変えていく。

    ひねりの効いた文体が楽しい。

    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

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両開きのドアを押して入るとカウンターがある。そこは西部劇の酒場…ではなく図書室だった。桜ヶ丘高校の図書部員・望美は今日も朝一番に部室へ行く。そこには不機嫌な頼子、柔道部と掛け持ちの幸治など様々な面々が揃っている。決して事件は起こらない。でも、高校生だからこその悩み、友情、そして恋-すべてが詰まった話題の不可資議学園小説が文庫化。

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