ぼくは落ち着きがない (光文社文庫 な 34-1)

著者 :
  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334749538

作品紹介・あらすじ

両開きのドアを押して入るとカウンターがある。そこは西部劇の酒場…ではなく図書室だった。桜ヶ丘高校の図書部員・望美は今日も朝一番に部室へ行く。そこには不機嫌な頼子、柔道部と掛け持ちの幸治など様々な面々が揃っている。決して事件は起こらない。でも、高校生だからこその悩み、友情、そして恋-すべてが詰まった話題の不可資議学園小説が文庫化。

感想・レビュー・書評

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  • 最近好きになった長嶋有さんの作品。
    猛スピードで母は、夕子ちゃんの近道、に続き読了。

    今まで読んだ作品と少し毛色が違った本作。
    んー、正直前の作品の方が好きだったかなぁ…

    最後までこの「摩訶不思議学園モノ」っていう楽しみ方というか、読み方というか…イマイチこうノリが分からず終わってしまった感があったかなぁ…
    コレ掴めないの自分だけ?って感じもしたので、他の方の感想とか逆に楽しみかも知れない。

    とはいえ、ちょくちょく出てくるセンス溢れるフレーズは健在でした(´∀`)

    せっかくハマる予感がした作家さんなので、あの時のトキメキを信じて、もう一冊別の作品も読んでみようかな…( ̄∇ ̄)

    <印象に残った言葉>
    ・「その程度でしたか。いや……お手間をとらせました」では失礼。(カランカラン)とは笑わなかったが、意気揚々とひきあげようとする男を頼子は呼び止めた。「あんたのも、みせてみなさいよ!」威勢のいい言葉に、えっと思う。頼子は突然発生したようにみえる「価値観」に対し、もとよりプライドがあったのか。(P94)

    ・しかし男は容赦がない。近づきざま昇竜拳!昇竜拳!そして竜巻旋風脚!……You win!そして着地。(P115)

    ・十代を正しく無為に過ごし、二十代はいろいろ面白いぐらいに間違えました。遅れてやってきた自意識と戦い、さまざまなハラスメントを鈍感さで乗り切ったところで三十代。読み、書くことで世界を知り、受賞したことで、今後なにが起きても自分は勝ちだと思えるようになった。自分の出会ったすべての異性に感謝。あ、同性にも!(P130)

    ・我々人類はこれ以降ずっと、寝て暮らす、そう、寝人間になるのだ!(P180)

    ・啖呵は切ったもの勝ち。うるせえ、俺はおまえが嫌いだ!って。無茶苦茶だ。論議にならない。でも、タイミングよく言い放ったもの勝ち。この世界はときどき、いや、ときどきじゃなくてしばしば、正しい方ではなくて格好いい方が勝つんだってこと、望美はもう知っていた。なぜ知っているのかも、もちろん分かっていた。(P217)

    <内容(「Amazon」より)>
    両開きのドアを押して入るとカウンターがある。そこは西部劇の酒場…ではなく図書室だった。桜ヶ丘高校の図書部員・望美は今日も朝一番に部室へ行く。そこには不機嫌な頼子、柔道部と掛け持ちの幸治など様々な面々が揃っている。決して事件は起こらない。でも、高校生だからこその悩み、友情、そして恋―すべてが詰まった話題の不可資議学園小説が文庫化。

  • 本を読むということの(いろいろひっくるめてすごく簡単に要約すると)面白さが、ものすごくたくさん詰まっていて、書かれていて、読みながらずっと読んでいることにうれしくなる小説だった。

  • 図書部員さんのお話

  • 30ウン年生きてきて一番しんどかった時期に読み、クラスでは目立たない子達がなんとなく居場所を持って背伸びしないで生きていく姿にまったりと救われました。
    特に「本はつまり、役に立つ!」の部分に電車の中で思わず号泣。
    自分の芯を持って生きている人は強い。

  • 「チェリーブラッサム」がサビの校歌にだけはツッコミたい。

  • ぐるぐると身近なことを、
    真剣と暇に任せてと致し方なく、
    のすべてて考え続けていた日々を、
    持っていた人はどのくらいいるのだろうか。

  • 表紙の絵がどうにも好みでないのと、うーん高校生の部活の話かーとか思ってたのとでちょっと敬遠していたんだけど、読んでみたら、まったく違和感なく、おもしろく読めた。長嶋有が描く高校生だからかなあ。べつに高校生じゃなくてもいいというか、身分にかかわらず、共感できる。主人公の、じっと観察してて、あれこれ考えちゃうところが、だからって実際なにかするわけじゃない、っていうような感じがすごーくよくわかる。だれもが生きにくさをかかえている、っていうのも、なんだかすごくよくわかる。こういうのって、思春期にかぎらず、感じる人はずっと感じつづけることなのかも。なにかが起きてがらっとなにかが変わったりしないところもリアルな感じがしてよかった。それにしても、ともかく、高校時代こんな図書部があったら入りたかった!!やっぱり長嶋有の作品って好きかも。

  • 「皆、誰かに期待なんかしないで、皆、勝手に生きててよ。」

    高校の、図書部のおはなし。

    タイトルの「ぼくは落ち着きがない」は、むかし図書部にいた先生が書く、次回作のタイトル。
    おそらく、図書室につながる両開きのドア(西部劇なんかにあるやつ)を擬人化して「ぼく」としているのではないだろうか。
    私は、作中の先生が書いた同タイトルの小説を読みたい、と思ったのだけど、これを読み終わることでその願いはかなってるのか、なんて厨二みたいなこと考えました。

    青春小説特有のかる~い会話劇が私はもんのすごく苦手なんだけど
    長嶋先生はやはりセンスがあります。
    滑り知らずというわけではないけれど薄ら寒くもない、あーわかるわかる、があるから安心して読めるんだ。
    雑多に登場人物が出てきて
    思い思いしゃべって
    ときどき気になる人もいて
    事件もことごとく地味、なんだけど、それがいい。
    高校生の自分をおもいださせてくれるのが、青春小説の醍醐味かも。

  • 中学生の時に読んでめちゃくちゃ好きだった本。
    入手してもう一度読み直す。

    こういう人、いる。そして部内で流行もあり、頻繁に変わる。わかる。

    望美の精神というかテンションというか、当時の私も今の私もなんだか彼女と波長があっている。だから余計に好き。

    登場人物全員魅力的だけどナス先輩、部長、頼子はもう合戦モノ。
    みんなこの3人の誰かしら好きでしょ。
    私は片岡哲生も好き。樫尾もいいな〜!選べん!

  • 終わりがないように続くような文体が苦手だけれど、ああ、と感嘆してしまうような、高校生のときにしか出会えない風景を思い出させるキラキラした言葉がたくさん出てくる。

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著者プロフィール

小説家、俳人。「猛スピードで母は」で芥川賞(文春文庫)、『夕子ちゃんの近道』(講談社文庫)で大江健三郎賞、『三の隣は五号室』(中央公論新社)で谷崎潤一郎賞を受賞。近作に『ルーティーンズ』(講談社)。句集に『新装版・ 春のお辞儀』(書肆侃侃房)。その他の著作に『俳句は入門できる』(朝日新書)、『フキンシンちゃん』(エデンコミックス)など。
自選一句「素麺や磔のウルトラセブン」

「2021年 『東京マッハ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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