チヨ子 (光文社文庫 み 13-8)

著者 :
  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334749699

作品紹介・あらすじ

五年前に使われたきりであちこち古びてしまったピンクのウサギの着ぐるみ。大学生の「わたし」がアルバイトでそれをかぶって中から外を覗くと、周囲の人はぬいぐるみやロボットに変わり-(「チヨ子」)。表題作を含め、超常現象を題材にした珠玉のホラー&ファンタジー五編を収録。個人短編集に未収録の傑作ばかりを選りすぐり、いきなり文庫化した贅沢な一冊。

感想・レビュー・書評

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  • 五つの短編集。
    味のあるウサギのイラストにひかれて読んでみた。
    「チヨ子」 幼少の頃、私自身ウサギのキャラクターが大好きで部屋には沢山のウサギ達が居た。
    従兄弟達がゲームやオモチャを選んだ時も、おばに「本当にクリスマスプレゼントこれでいいの?」と何度も確認された時も、私は新たなウサギのぬいぐるみを抱いたままうなずいた。
    そんな訳で私には「チヨ子」がドンピシャだった。
    あの子達どうしたっけ?あんなに大好きだったのに。あとがきにある、着ぐるみを着た宮部さんが可愛らしかった。

  • 宮部みゆき 著
    本作は1999年から2010年にかけて発表された五つ中短編、著者自選宮部みゆき作品集。

    私にとっては久しぶりに手に取った
    宮部みゆきさん、好きな作家さんで、以前は随分読んでたけど、しばらくご無沙汰していた。
    しかも…時代小説捕物帳や怪談以外、長編のイメージしかなく、最近少し忙しくしてる合間に片手間と言っちゃなんだけど…古本屋で
    宮部さんの短編集を見つけ短いので丁度いいと買って読んだ。
    ホラーのジャンルを含むようだと…
    これまたホラーを少し読みたかった気分なので一石二鳥?しかしながら、全く怖くはなかった(・・;) 流石に短編集なので、あっという間に読めたのだが、モヤモヤ…
    これといった決め手に欠ける感じ。
    宮部みゆきさんって、こんな感じだっけ?
    それから、それから…ってところで
    はぐらかされたように終わる(・_・;
    巧いんだけど…自分は宮部みゆきさんに関しては、長編が好きかなと思った。

  • 久しぶりに宮部作品を読んだ。
    宮部のファンタジーには何度か読んで
    きたが、短編は、イマイチだった。
    共感できたのが、チヨ子。
    幽霊談の雪娘、玩具屋の話は、あまり
    入ってこなかった。
    いしまくらは、殺人事件に絡んだスト
    ーリーで、最後のオチが良かった。
    聖痕は、長いだけに期待したが、何を
    テーマにしたいのかが見えて来ない。
    長編は、いい作品が多いだけに残念。

  • 「雪娘」「オモチャ」は良かった。特に、「オモチャ」は「泣けるホラー」である。
    「聖痕」は力作だが、私は支持しない。

  • 宮部さん自選の他で未収録の中短編集。5編。
    初出1999〜2010で少し古め。どれも懐かしい雰囲気がある。

    「チヨ子」は、アルバイトで着ぐるみを着ることになった女子大生が、着ぐるみを着て人を見ると、その人の大切な物に見えるというもの。鏡に映った自分を見て大切だったぬいぐるみ「チヨ子」を思い出す。作者が、着ぐるみ着て朗読したい為創作したらしい。

    「聖痕」は、他の作品とは異質。母親と同居男性をその虐待苦から殺した少年A。反省して罪を償い、保護監察付きで社会復帰し、平穏な生活を送ろうとする。しかし、ネットに彼を救世主とするサイトが立ち上がり、巻き込まれていく。実社会の描写からこの後SFの流れになる。「英雄の書」に繋がるらしい。そちらも読みたい。


  • 久しぶりのヒット。ホラー&ファンタジーの短編集とのこと。読みやすく読後感も悪くなく後半の短編が少しずつ長くなっていくのも良かった。

  • 『雪娘』は、なんとも悲しき孤独な犯罪者だ。
    淡々と徐々に語られる思い出と今の感情。罪は結局自ら罰を受けに行くようなものなのかな。
    『オモチャ』は、宮部みゆきさんの書籍は初めてだったので驚きましたが、『雪娘』同様に心霊も出てくるのですね。とはいえ、子供も心情が可愛らしくて、怖いというより優しさを感じてしまいました。
    『チヨコ』は、もしかして怖い話なの?と、ドキドキしながら読み始めたけど、あったかい話でした。個人的思いを馳せると一昨年永眠したウサギを忘れられずにいる私自身、誕生日に娘がくれたウサギのぬいぐるみをあの仔のつもりで毎晩一緒に寝てるくらいのイタイおばさんなので、尚更感情移入するわけだ。
    ゆるい主人公が友人に半ば騙されたような形で引き受けることになったキグルミの中の人のアルバイト。始まってみれば、不思議なことが起こる。読みながら共にワクワクする事必至。
    『いしまくら』は、娘1人と妻と暮らす編集者が娘に引っ張られる形で不思議な噂の真実を見つけに行くことになる。
    そこに、父親としての娘への思いだったりが差し挟まれながら進行していく謎解きが面白い。
    『聖痕』は、語り部の職業も性別も認識しないまま読みだしたので、読みながら、ああ女性なんだな。何か子供に関わる調査の仕事をされているんだなと察しながら、来客の話を一緒に伺うような展開。
    語り部の感想というか視点での観察は多くはないので、それが私のような鈍い読み手には
    「何が始まり、どうなっていくのだろう」とざわざわ読み進めることになる。
    結末は私的には、正直「え?どうゆうこと?」と、我ながら読解力の無い自分にガッカリするのですが、他の方の感想も追いかけて理解したいと深掘りしたくなる話でした。

    最後の解説で知ったのですが、本書はかなりマニアックな著者が選ぶ短編集とのこと。
    確かにどの話も展開が読めなく比類無く面白かった。

  • 暗い話が多い短編集。少しありがちな話を宮部さん風にアレンジした話が多い気がしました。表題の「チヨ子」は、着ぐるみを着て見た世界が違って見えたというのは、わかりやすく面白かった。最後の「聖痕」は、うーん・・・難しすぎるというか神がテーマなので、理解に苦しむ内容でした。

  • 図書室本。短編を色々楽しめた。

  • 損のない名品。

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著者プロフィール

1960年東京都生まれ。87年『我らが隣人の犯罪』で、「オール讀物推理小説新人賞」を受賞し、デビュー。92年『龍は眠る』で「日本推理作家協会賞」、『本所深川ふしぎ草紙』で「吉川英治文学新人賞」を受賞。93年『火車』で「山本周五郎賞」、99年『理由』で「直木賞」を受賞する。その他著書に、『おそろし』『あんじゅう』『泣き童子』『三鬼』『あやかし草紙』『黒武御神火御殿』「三島屋」シリーズ等がある。

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