素行調査官 (光文社文庫 さ 21-8)

著者 :
  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (484ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334749798

感想・レビュー・書評

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  • 素行調査官シリーズの1作目 
    2012.12発行。大活字本。

    「警察のなかの警察」と言われる、警視庁警務部人事一課監察係の本郷岳志巡査部長の活躍を描いたものです。

    同窓会で優秀な私立探偵であるが失業状態の本郷に、キャリアの首席監察官・入江透警視正から警視庁へ転職を進める。入った監察係は、警察の恥部を隠す褌のような物かと、自嘲をもらしかけるものであった。

    事件は、警邏中に「林試(りんし)の森公園での女性刺殺事件」の事件現場に駆け付けた機捜隊員・小松佳文警部補が、警察庁警備局長・本田義久警視監の名刺入れを拾うと、事件の重要証拠品である名刺入れを荏原署の捜査本部に連絡することなく、自分の利益のために使おうとポケットに入れたことから始まります。

    【読後】
    テンポが速く、読んでいて面白いです。警察の監察係という組織の本を読むのは初めてです。

    【音読】
    11月2日~18日まで音読で埼玉福祉会の大活字本シリーズ「素行調査官」上・中・下を読みました。

    【登録】
    本は、社会福祉法人埼玉福祉会の大活字本シリーズ「素行調査官」上・中・下の三冊ですが、登録は、この本の底本が「光文社文庫・素行調査官」のため光文社文庫で登録します。
    2020.11.18読了
    ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
    【感想・レビュー500冊目】
    令和2年(2020年)11月18日、笹本稜平さんの素行調査官シリーズの1作目が感想・レビュー500冊目となります。

  • 【読間】30ページくらい時点。
    久しぶりの警察小説。
    久しぶりの笹本稜平。
    たった30ページしか読んでないが、面白くなる予感が、ひしひしと感じられる。期待大。

    【読間2】第6章途中の3(3/4時点)
    笹本節とも言うべき台詞回し(「~だよ」「~だね」「~思うよ」)の連発に少々辟易しつつ、かつ、やはり笹本節とも言うべき理想論・正義論がくどいほど繰り返され、、、読むのが疲れてきたな・・・と思った矢先。

    失踪していた探偵のの所在が判明した途端、急に物語が疾り始めた。

    したたかな小物としか映らなかった小松の意外な有能さやら、本田警視正の敵対勢力の登場やら。目が離せなくなってきた……。


    【読了】
    綺麗だけれどいまいちスカっとはし切れないラスト、といったところかな。

    巨悪の権化をどうやって調理したのか……悪事が暴かれれば組織全体の屋台骨が揺らぎかねない程の大物を、一介の警視正の力で果たして法で裁ききれるのか…。

    どのような“結末”を得るのか…。

    文庫出版時点で続編も2作目の連載まで進んでいるとのこと。
    続編作中で“ついで”のように過去の話として語られるだけでなく、実際に追い詰めていく過程も描いて欲しかったかな。

    ※と、文句を言いつつ、続編もきっと読むけど。

    ★3つ、7ポイント半。
    2018.01.30.古。

  • 2014.6.8読了。
    本当に警察vs警察ですね。
    監察という、警察のなかの警察という部署は別の本でも読んで知っていたけど、その時はやっぱり嫌われもので回りからの鼻つまみものだった。私も嫌な部署だなぁとその時は思っていたけど、書き方や目線にもよるんですね、今回は応援してました。本郷の読みの鋭さは元 探偵をしていたということからくるのだと思うけど、鋭すぎて私なんかは『へぇーよくわかったねー』という感じ。簡単ではなくすらすら読めなかったけど、これがシリーズと解説で知ったのでまた探してみようかと思います。が、少し疲れたのでw休憩。本郷と沙織里の関係はシリーズ読んだら少しずつ進展するんでしょうか?そちらも気になりますけど。

  • 主人公である本郷は元探偵である。
    ドラマや小説の中に登場する探偵とは違い実際の探偵は法に許された範囲でしか活動することができない。
    しかも勤めていた探偵事務所が解散となり失業中の身ともなれば、せっかくの口利きは無駄にしたくない。
    警察官の素行を調査する監察の仕事を得た本郷は、警察官にしか使えない調査方法に驚きながらも戸惑いを隠せない。
    何故なら、監察の仕事とは犯罪を摘発することや犯人を逮捕することではないからだ。
    悪事の証拠を揃えても、諸事情から闇から闇へと葬らなければならないこともあるらしい。
    本郷にはそのあたりがどうにも納得できない。

    ひとりの女性が殺害された。
    本郷たちは監察の対象となっている浅野の素行調査をしているうちに、浮気相手の姉妹が殺人事件の被害者だと知る。
    怪しげな動きをする機捜の小松など、事件は思いもかけない方向へと進んで行く。
    警察官を取り締まる警察。
    監察とは、監察が果たすべき役割とは。
    警察小説であまり描かれることのない監察が物語の中心にいるのは新鮮だった。
    キャラクターもいい。
    一番のお気に入りは監察の先輩である北本だ。
    やけに経験豊かな一面を見せるかと思うと、妙に子供っぽい一面をのぞかせたりする。
    入江に心酔し、監察の仕事に真正面から取り組んでいる姿もいい。
    「嫌われる仕事」 といったイメージしかなかった監察の果たす役割が丁寧に描かれていて、従来の警察小説とは少し違った楽しみ方ができた。

  • 笹本稜平にハズレなし。

    警視庁監察部の本郷は元私立探偵。同級生の入江に特別枠で採用された警察官。

    監察は警察内部の不正を摘発する部署で、不正を未然に防ぐ役割もあり、相手が犯罪者ではないことから自らを「素行調査官」と呼ぶらしい。

    ストーリーは何本かの複線があり、さまざまな登場人物がどう関係していくのかの予測ができず、ラストがまったくわからない。

  • 元探偵の本郷が警視庁の素行調査官として活躍するシリーズ第一作。単純な殺人事件と思われた事案だったのだが、調査を進めるうちに背後に潜む巨悪が明らかになる。なかなか読み応えのある異色の警察小説。笹本さんの作品はハズレないな。

  • 元探偵の警察官という変わった肩書きをもつ主人公。警察官の不祥事を取り締まる監察という部署を舞台に、それらの設定をうまく活かして物語が進んでいきます。いささかキャリアの偉い人たちがなんでもできやしすぎないかとご都合主義な気もしますが、楽しめました。警察系ミステリーの期待通り、といった印象です。

  • 探偵業をやめた主人公が警察の監察に中途採用。しがらみのない彼と同級生キャリアとその部下が協力して、警察の不祥事に挑む内容です。

  • 元探偵の本郷は、警視庁監察係。警官の不正や不品行を取り締まる、いわば警察の中の警察だ。旧友の伝手で裏口入庁した彼の初仕事は、公安刑事と中国人女性の不倫調査。ところが、女性の妹が殺害されたことから、捜査は思わぬ方向へ。背後に見え隠れする蛇頭と大物警察官僚。本郷と仲間は、警察内部の底知れぬ闇に迫れるのか?

  • 主人公が、旧友の伝手で元探偵のキャリアを生かした警視庁監察係に転職とは、ユニークな設定。
    さらに、コンビを組むのが定年間近の、親子ほど年の違う一癖ある巡査部長、それに絡む主人公をスカウトしたキャリアの監察係トップ。
    こんな三人がチームを組み、警官の不正や、不品行を取り締まるのが仕事で、しかも今回の捜査のターゲットは、大物警察官僚ときたらこんな作品が面白くないわけがない。
    今後も、警察内部の底知れぬ闇をどこまで暴くか、このシリーズから目が離せなくなってしまう。

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著者プロフィール

1951年、千葉県生まれ。立教大学卒。出版社勤務を経て、2001年『時の渚』で第18回サントリーミステリー大賞と読者賞をダブル受賞。04年『太平洋の薔薇』で第6回大藪春彦賞を受賞。ミステリーをはじめ警察小説、山岳小説の名手として絶大な人気を誇る。主な著書に『ソロ』『K2 復活のソロ』(祥伝社文庫)他。21年逝去。

「2023年 『希望の峰 マカル―西壁』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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