猫とともに去りぬ (光文社古典新訳文庫)

  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (287ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334751074

感想・レビュー・書評

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  • 不条理。しかし面白い。どこか皮肉っぽいのに登場人物で本当にバッドエンドになる人はいない幸せな感じ。たしかにイタリアっぽい。不思議な話っ不思議とおもしろい。よかった。

  • 傑作だ。児童文学はどこかなつかしい。暖かな気持ちにさせてくれる。

  • 「猫とともに去りぬ」


    オハラを想像していたが、まぁそんな話ではない。
    題名が洒落ていたので何となく古本屋で手が伸びた。
    予備知識ゼロ。
    しかし軽そうだな、っと言う印象は受けていた。
    結果から言っても確かに軽かった。
    現代向けの童話と言ったところかな。


    作者のロダーリは日本でもあまり知名度の高くない作家。
    私も聞いたことはない。
    経歴をあとで軽く読んで、文章の印象がそのままに内容に反映されている作家だなと感じた。
    幼い頃から音楽への造詣が深くヴァイオリンを習っていた所や、ジャーナリスト精神。
    児童文学が得意な作家らしく、それらしいファンタジー部分が多く見えるのだが、大人を飽きさせない皮肉も見え隠れする。
    やけに螺子が出てきた気がする。
    気に入ったのは『マンブレッティ社長のご自慢の庭』と『三人の女神が紡ぐのは、誰の糸?』。
    全体的にさらっと読めたし、楽しめる内容だが、どうもあまり深くは印象に残らない本だったと今書きながら思う。
    誰が悪いという訳ではないのだが何でかな。
    同じように奇想天外ファンタジーというくくりではゴーゴリの『鼻』の方が私は好きだな。
    あと、気になったのがもう一つ。コレは古典新訳文庫出だすモノでもないような気がする。
    内容云々というか結構最近の作家ではないかという意味。
    そんなつもりもないのだがどうもケチばかり付けてしまったが楽しめる本である。

  • 一つ一つの物語に諧謔とアイロニーが見える。笑いと皮肉の融合は猫の鳴き声に似ている。「にゃあ、にゃあ」と。モチーフとシンボルが意味するものは戦争の無効化と機械泥棒。

  • SFのようでもあり、パロディのようでもあり、おとぎ話のようでもある。そんな不思議な世界観のファンタジー短篇集だ。 
    所々に顔を出す作者特有の知的ユーモアに笑わされ、時には現代社会に対する痛烈な批判を感じさせられる。想像力をかき立ててくれる様々な物語の世界に、どんどん引き込まれていった。
    中でも「恋するバイカー」がおすすめ。バイクに恋をして、バイクと駆け落ちする青年の物語の結末は……読んでからのお楽しみ。

  • 4位
    題名でまず笑わせていただきました。
    のんびりした奇想と、とぼけたユーモア。
    日本なら星新一+川上弘美かな?
    それのもっと陽気なバージョン。これは楽しい。

  • ○「猫とともに去りぬ」「チヴィタヴェッキアの郵便配達人」「カルちゃん、カルロ、カルちゃん あるいは 赤ん坊の悪い癖を矯正するには……」「ヴェネツィアを救え あるいは 魚になるのがいちばんだ」

  • 幻想と現実の入り混じった美しい情景があちこちに描かれているし、訳文も読みやすい。
    一編一編は豊かな発想に触れてかなり満たされた気持ちにもなる。
    しかし、一冊通して読み終えると、読後感はあまり良くなかった。
    富裕層や自称常識人への皮肉で落ちをつける、というパターンが多すぎたからだと思う。
    何編もある中に一編皮肉があるならピリッとしたスパイスとして美味しく感じられもするが、そればかりではあまりいい気分にはならない。
    作者の特徴でもあるのだろうが、他の本に収録済みとして削られた何篇かが入っていたら、もしかすると印象は違ったかもしれない。
    作者がもし、元々は個々の話の味を考えてバランスよく編み上げていたのだとしたら、残念なことだ。

  •  イタリアの詩人によるファンタジー短編集。20世紀イタリア文学の古典なんだって。
     生活に嫌気がさして猫になり、仲間と「猫座」が無いことに対し抗議デモを起こしたり。魚になった一家がヴェネツィアの水没をくい止めたり。宇宙人がピサの斜塔を占拠しようとしたり。
     手厳しいアイロニーとそれが読後に残らないまろやかなユーモア・センスがなかなか好いんじゃないかと。

  • イタリアの作家による短編集。いわゆる異色作家系といっていい内容だが、皮肉やブラックジョークっぽさはあまり感じない(裏表紙に‘現代社会への痛烈なアイロニー’ってあるけどねえ)。一方で人は簡単に猫や魚になり、バイクと結婚しようとし、生まれたばかりの赤ん坊がいきなり薀蓄を語り、人形は勝手なことをするなど話はぶっ飛んでいて、いわば<可愛らしい奇想>といった趣。以下印象に残ったもの。
    「猫とともに去りぬ」リタイヤした駅長は家族から疎まれたのをきっかけに猫の世界へ。どうってことない話なんだけどのんびりした猫の世界が楽しい。
    「チヴィタヴェッキアのひ郵便配達人」力持ちの郵便配達人が重量挙げコンテストに誘われる。これも特別なことは起こらないんだけど民話風でいい感じなんだよな。
    「ピアノ・ビルと消えたかかし」ピアノ弾きが西部劇のガンマンよろしくある町にやってくる話。文句なく楽しい。
    「箱入りの世界」捨てた空き瓶や空き缶がどんどん大きくなってしまう。なんだかイアン・ワトソンのようである。
    「カルちゃん、カルロ、カルちゃん あるいは 赤ん坊の悪い癖を矯正するには」生まれたばかりの赤ん坊がテレパシーを使って世慣れた話をどんどんしてくる。その後実は(ネタばれ失礼)能力を失っちゃうんだけどぜんぜん悲壮感とかないんだよね。子どもは子どもらしくしているのが幸せ、みたいな説教くさい話ととれなくもないけどどうなの?
    「ピサの斜塔をめぐるおかしな出来事」宇宙人がピサの斜塔を懸賞の当選品としてもらいにくる話。星新一だ、これ。でもオチがこうはならないだろうな。

    いろいろ暗いニュースが多い日々の中、ちょっと息抜きをさせてくれるような短編集だった。

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著者プロフィール

1920年生まれ、1980年没。イタリアの作家、詩人、教育者。1970年、国際アンデルセン賞を受賞。20世紀イタリアで最も重要な児童文学者、国民的作家とされている。『チポリーノの冒険』『青(あお)矢号(やごう) おもちゃの夜行列車』『空にうかんだ大きなケーキ』『羊飼いの指輪 ファンタジーの練習帳』『猫とともに去りぬ』『ランベルト男爵は二度生きる サン・ジュリオ島の奇想天外な物語』『パパの電話を待ちながら』『緑の髪のパオリーノ』『クジオのさかな会計士』などがある。

「2022年 『うそつき王国とジェルソミーノ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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