海に住む少女 (光文社古典新訳文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (189ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334751111

感想・レビュー・書評

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  • …でも、大西洋にはあいかわらず何の気配もなく、少女のもとを訪れたのは、いくつかの流れ星だけでした…
    淋しさは、薄い水色をしているのかな。そんな風に思ってしまう。海を漂うのは、水の中深く彷徨うのは、生まれる前のことかしら。多くの詩人に影響を与えたフランス詩人の、詩的なイメージで綴られた短編集。 海辺の旅に読むと臨場感があってちょっとホラーでぴったり。訳者はフランス版宮沢賢治と言われているけど、その通りかも。

  • 新訳シリーズがどこの本屋でも平積みで、表紙も目を惹くので一冊購入。
    この著者の名前すら知らなかったのだが、読んでよかった。
    訳者は、フランス版宮沢賢治とコピーを付けたが、おフランス人詩人と
    農民詩人の差こそあれど、「ちいさくちいさくありたい、大いなるものの為に」
    的思想は通じていると感じた。「飼養桶を囲む牛とロバ」で泣いた。
    牛最高。

  • これはいい。
    フランスの詩なんだろうけど、ほんのりとした寂しさと神話的な美しさがナイス。牛くんも孤独な世界で生きる少女も、手を差し伸べたいけど届かないもどかしさを感じてしまう。

  • 適当に手に取った本。
    ウルグアイで生まれたフランス人の両親をもつ詩人の短編作品集。
    今の世界の中に不思議な世界を作り上げて、その中で物語を作り上げてるので、非日常感が心地よく、それでいて悲しい。
    孤独な生き方が多くの作品に共通しており、自身がどう生きるかよりも、世界のありかたを示そうとしていると思う。

  • 圧倒的な孤独。そこにあるのは不条理というよりも、ただひたすらに冷徹な条理だと思った。非現実な世界観と、童話のようなやさしげな語りの中で、目をそらしようもなくリアルを突き付けられた感じ。
    最後の一篇がシンプルながら余韻が残って好き。

  • 悪意や強い想念と、生きることにまつわる哀しさが表裏で重なったものとして描き出されていた印象。童話っぽいからこそ、それがいっそう沁みるのは、文体によるところがあるのかも。誰もが(人だけではなく)断片的な世界を生きていて、それが重なりそうで、その瞬間に断絶してしまうからこその哀しさなのかもしれない(「ノアの方舟」とか)。

  • 日常と神話のような不思議な空間が入り混じった世界。きれいだが、悲しい

  • とても美しい小説。出会えて良かった短編集。

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  • 幻想小説短篇10作品。ロバが喋ったり、死体がプカプカしたりする系の、まぁ大雑把に言うと『ぐりとぐらと死体と残酷』みたいな話です。

    表題作『海に住む少女』は読むとあーあれねのやつです。白水社のアンソロジーで窪田般彌訳の持ってますが、こっちの方がガーリー&ポップでした。堀口大學も翻訳してるようなので見つけたら読んでみたいです。
    表題作以外で印象的だったのは以下。
    少女の死体がどんぶらこする『セーヌ河の名無し娘』、「牛、無理しやがって」の『飼い葉桶を囲む牛とロバ』、『足跡と沼』は著者がウルグアイにルーツを持つからかラテンアメリカ的、『ノアの箱舟』はノアさんせこいなぁ、『牛乳のお椀』は『海にすむ少女』のご近所さん的な話。
    全体的に好みなので、文庫化されている『ひとさらい』もそのうち読もうと思います。

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著者プロフィール

Jules Supervielle

「2006年 『ノアの方舟』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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