恐るべき子供たち (光文社古典新訳文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (262ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334751227

作品紹介・あらすじ

14歳のポールは、憧れの生徒ダルジュロスの投げた雪玉で負傷し、友人のジェラールに部屋まで送られる。そこはポールと姉エリザベートの「ふたりだけの部屋」だった。そしてダルジュロスにそっくりの少女、アガートの登場。愛するがゆえに傷つけ合う4人の交友が始まった。

感想・レビュー・書評

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  • 今頃ではあるけれど、新訳版を購入し、
    昔読んだ角川文庫の画家・東郷青児訳バージョンと読み比べ。

    読みやすい、こちらの方が日本語としてこなれていて、
    非常に読みやすいのだった。
    コクトー自身による挿画も収録されていて、お得感。

    内容は……
    年は違うけれども、
    精神的結合双生児とでも呼びたくなる姉弟を中心とする、
    まるで神話のような悲劇。
    彼らの純潔さ、無邪気さ、残酷さを引き立たせるように、
    善良で凡庸な人物が配置され、見事な明暗を成している。
    とはいえ、姉弟が闇に溶けているのではない。
    二人は雪明かりに包まれて、清らかに白い。

    ところで、東郷訳版と萩尾望都によるコミカライズ版では
    かなりキツイ性格に見えていた姉エリザベートが、
    この新訳版では――氷が僅かな温もりでほんのり融けたように、
    少しだけ角が取れて、セリフ回しも微妙に柔らかく、
    それによって一層、読後感が切なくなるのだった。

    • 佐藤史緒さん
      マンガ話が出たついでに…。
      アンファンテリブル、私が読んだのは岩波文庫版でしたが、読んだ時「萩尾望都か竹宮恵子の世界だなぁ」と思いました。...
      マンガ話が出たついでに…。
      アンファンテリブル、私が読んだのは岩波文庫版でしたが、読んだ時「萩尾望都か竹宮恵子の世界だなぁ」と思いました。萩尾望都がコミカライズしていると後で知り、非常に納得したのを覚えています。昭和の耽美系少女漫画のルーツはこれであったか!と…(笑)
      2017/04/22
    • 深川夏眠さん
      岩波版は未読ですが、いつかそちらにもアタックしたいですね。読み比べが楽しそうな作品(*'ω'*)。萩尾さんのマンガは内容をきちんと噛み砕いて...
      岩波版は未読ですが、いつかそちらにもアタックしたいですね。読み比べが楽しそうな作品(*'ω'*)。萩尾さんのマンガは内容をきちんと噛み砕いてわかりやすく表現してあって見事だなと思います。
      2017/04/22
  • 読み比べしなきゃ
    コクトー自身によるイラスト62点!

    恐るべき子供たち | 光文社古典新訳文庫
    https://www.kotensinyaku.jp/books/book23/

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      姉と弟の美しく危険な物語 コクトー×メルビル「恐るべき子供たち」4Kレストア版が10月公開 : 映画ニュース - 映画.com
      https:...
      姉と弟の美しく危険な物語 コクトー×メルビル「恐るべき子供たち」4Kレストア版が10月公開 : 映画ニュース - 映画.com
      https://eiga.com/news/20210624/7/
      2021/06/24
  • 永遠に子供のままであり続ける人間の原型、精霊の部屋。小説を書くのに括弧つきの人間を描く必要はない、という表現の可能性に衝撃を受けた。そして最後の一文が愛おしいくらいに美しい。物語の幕引きにあたって、こんなにも美しい文章が他にあるだろうか。今まで自分が読んできた小説の中で、もっともラストが美しい小説だった。

  • 終始世の中を少し離れた幻想的で儚い雰囲気で物語が進んでいくので、物語として徹頭徹尾きれい.

  • この本は何度も読んだ。いろんな訳で、原書で仏語で、萩尾望都で。で、いちばんよかったのは、萩尾望都でした。

  • どこまでも純粋な4人の子供たちの運命悲劇。コクトーが阿片治療中に17日間で書いたという伝説的な作品。
    エリザベートとポールの純血さもさながらダルジュロスの悪魔的な魅力が美しい。
    「姉と弟」、「ダルジュロスとアガート」、「愛と死」、「子供部屋とマイケル邸」、「白と黒」といった対をなす存在がそれぞれを際立たせ、神秘的で躍動感のあるものにしている。
    『阿片』も平行して読むことでさらに興味深さが増す。

  • ある種これは、アヘン中毒を体現しているのかも
    しれませんね。
    一つの雪玉の接触が…
    それがある意味…

    その言葉そのもので読んでも、
    歪みを感じました。
    どこまでも、どこまでも落ち続ける
    子供たち。

    きっとエリザベートは
    最後まで、自我をもてなかったのだと思います。
    かわいい弟を離せなかった。
    そしてそれが、あの悲劇へと…

    でもそれも別視点で見ると
    依存症の末期なのでしょうね。
    そして、己が身は滅びていく…

    背筋が寒い本でした。

  • ラストの数ページにはただただ圧倒された。全編にわたって比喩表現や心理描写が巧みで、尋常とは言えない物語世界にすんなりと入り込めてしまう。作者自ら描いた魅力的な挿絵もそれを助けている。内容を忘れてもう一度じっくり読んでみたい。

  • まぁまぁ
    すぐ話忘れそう

  • エリザベートとポールを繋ぐ愛。エリザベートの弟を失いたくないという思いがすさまじいが2人ともが子供時代を抜け出せなかったのもそのせいではないのだろうか。

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