武器よさらば(下) (光文社古典新訳文庫 Aヘ 1-2)

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  • Amazon.co.jp ・本 (308ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334751357

作品紹介・あらすじ

傷が癒え、再び前線へと戻るフレデリック。しかし戦況は厳しく、イタリア軍は敗走を余儀なくされる。フレデリックは戦線を離脱し、命がけでキャサリンのもとへ帰り着く。結婚を誓い、スイスへ脱出する二人。だが、戦場の中で燃え上がった愛の結末は、あまりにも悲劇的なものだった。

感想・レビュー・書評

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  • 読了後に思い浮かべた言葉は『真実の愛こそ、一筋縄ではいかない by シェイクスピア』。確かに表紙に書かれている本の説明文には「現代のロミオとジュリエット」。愛し合っている2人には悲劇的結末が待ち受けていた。戦争現場から逃亡し、銃殺される直前に逃げ出した男主人公ヘンリー。家に戻りキャサリンと逃避行し、お産を向かえるがキャサリンの容体が悪化、子どもは死産、キャサリンは出血死。戦時中の純粋な愛と2人の悲劇の結末というアンビバレントな対立構造を表現したヘミングウェイの巧妙さに感動した。

  • あまりに衝撃的な結末だった。幸せだったフレデリックとキャサリンだが最後には赤ん坊は死産、キャサリンも死んでしまうとは悲劇的で人生の悲哀を感じさせる。喜びと悲しみのギャップが大きく映画のワンシーンの様だ。最後の一文、雨が降っていた、というところにぞくっとするほどのインパクトがあった。ヘミングウェイの小説は一文が短く映像が浮かんでくるもので、”武器よさらば”がbestだと感じた。

  • 悲惨な敗走、混乱による同士討ち、脱走。
    恋人との再会、ひとときの享楽が後ろめたさ、空虚な感情を際立たせる。
    突然の喪失。
    人は必ず死ぬ。あっけなく。
    足元がぐらつく。

  • 本筋とは関係ないのだけど、
    主人公のセリフ、
    「子供の頃から、あんなしっぽが欲しかったんだ。人間にもキツネみたいなしっぽがあったら楽しいと思わないか」っていうのにびっくり!
    私はいつもそう思ってるから!!(^-^)

    眩しい時はアイマスクとして、
    寒い時は襟巻として、
    塀の上を歩く時はバランスをとるために、
    など、
    用途は沢山あるぞ!(*^。^*)

  • 上巻の最後は恋愛話だったのが、下巻はとても恐ろしい戦争の描写が続く。
    主人公がどうなるのか気になり一気に読み進んだ。
    後半はまた恋愛話に戻るが、最後は悲しい結末で、読んだ後、結局ヘミングウェイはこの本で何を書きたかったのか、よくわからなくなってしまった。

  • 大好きな小説だったのに、感想を言葉にしたら信じられないくらい陳腐でつまんない小説のような言葉しか書けなくて諦めました。
    ヒロインはもちろん魅力的だけど他にも沢山好きな人がいて、世界観も書き方も全部大好きでした。

    「夜だけはキリスト教徒だから」「世界には私とあなた、それ以外の2種類しかない。だから私たちが離れたら、それ以外になってしまう」とか。

  • 怒涛の勢いで話が進んでいく!生と死は遠いようでとても近いところにある。戦争という死と隣り合わせの状況で彼女と出会い、生を得て、なんとか生きようと努力しても、自分の手の届かないルールで死がやってくる。最終盤の、主人公が彼女の生のために祈る文章が心に迫る。

  • 戦場に戻り、戦況に劣勢から敗走の途上で軍から離脱する。輸送していたトラックを捨ざるを得ないやむなきの事情があったのだが、言い訳するより逃亡罪のリスクを選んだのは、キャサリンの存在と元々好んで兵士という職業を選んだのでは無かったから。エンディングは淡々としつつ切ない。2021.2.25

  • (Mixiより, 2010年)
    うーん。この物語は、特にストーリーに際だった魅力を持っていないと思う。主人公の性格に感情移入しながら考えていると、どんなに危機的な状況であっても絶対に打開され(もしくはスルーされ?)ることが、読んでいるうちにわかってくる。たとえばどんなに戦地が激しい戦闘状態で、仲間が殺され、次いで主人公がとらわれ絶対絶命、という場面でも、落ち着いた情景描写が続くことによって、絶対に死なないという確信を読者は得てしまう。主人公の目を通してみる、戦地のフィルムのような作品。随所に光る、恋愛の哲学ともいえる詩的な表現は心に残るものがいくつかありました。上巻と同様にいくつか引用すると、(キャサリン)「・・・魅力的になるから、あなたはわたしにもう一度恋をするわよ。」(ヘンリー)「(中略)いったい、なにが望みなんだ?破滅させたいのか?」(キャサリン)「正解。あなたを破滅させたいの。」(独白)「男はよく、ひとりになりたがるし、女もひとりになりたがるし、愛し合っていると、おたがいの、ひとりになりたいという気持ちに嫉妬する」

  • 救いようがねえ...でも面白かった。
    このまま2人が惚気けて赤子も無事出産しスイスで幸せに暮らしました。だったらとんでもない駄作だなとおもったけど、ちゃんとカタルシスがあってよかった。

    (Amazonより引用)
    第1次世界大戦のイタリア戦線。傷病者搬送の任務に就くフレデリック。オーストリア軍との戦線は、泥沼の膠着状態。イタリア軍は山に籠るオーストリア軍に対し、総攻撃をかける。その中でオーストリア軍の砲火を受けてフレデリックは負傷し後方に送られ、ミラノの病院に入院する。
    ミラノの病院で看護師のキャサリン・バークレイと再会し、フレデリックは初めて恋に落ちる感覚を知る。フレデリックはミラノの病院に入院中に二人は激しい恋に落ちる。そうした蜜月も過ぎ、フレデリックの体調の回復により、戦線への復帰を命ぜられ、また北部イタリアの戦線に戻る。
    戦線に戻ると、オーストリア軍に加え、ドイツ軍が本格的に侵攻してきて、イタリア軍は戦線を各所で打ち破られ、厳しい退却になる。
    厳しい退却ののちにフレデリックを待ち受けていたのは、脱走兵との嫌疑であった。敗残兵が同じイタリア軍に殺害されていく中、フレデリックは脱走を決意する。この退却行は、ヘミングウェイならではの細密な描写で描かれている。
    フレデリックは逃走を重ね、キャサリンとの運命的な再会をする。フレデリックは脱走兵として追われ、バーテンに助けられ、キャサリンと共にスイスに脱出する。
    スイスでは、二人は満ち足りた生活を送るが、最後に残るのは悲劇的な結末だった。

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著者プロフィール

Ernest Hemingway
1899年、シカゴ近郊オークパークで生まれる。高校で執筆活動に勤しみ、学内新聞に多くの記事を書き、学内文芸誌には3本の短編小説が掲載された。卒業後に職を得た新聞社を退職し、傷病兵運搬車の運転手として赴いたイタリア戦線で被弾し、肉体だけでなく精神にも深い傷を負って、生の向こうに常に死を意識するようになる。新聞記者として文章鍛錬を受けたため、文体は基本的には単文で短く簡潔なのを特徴とする。希土戦争、スペインでの闘牛見物、アフリカでのサファリ体験、スペイン内戦、第二次世界大戦、彼が好んで出かけたところには絶えず激烈な死があった。長編小説、『日はまた昇る』、『武器よさらば』、『誰がために鐘は鳴る』といった傑作も、背後に不穏な死の気配が漂っている。彼の才能は、長編より短編小説でこそ発揮されたと評価する向きがある。とくにアフリカとスペイン内戦を舞台にした1930年代に発表した中・短編小説は、死を扱う短編作家として円熟の域にまで達しており、読み応えがある。1945年度のノーベル文学賞の受賞対象になった『老人と海』では死は遠ざけられ、人間の究極的な生き方そのものに焦点が当てられ、ヘミングウェイの作品群のなかでは異色の作品といえる。1961年7月2日、ケチャムの自宅で猟銃による非業の最期を遂げた。

「2023年 『挿し絵入り版 老人と海』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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