- Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334751388
感想・レビュー・書評
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素晴らしい作品。百年前に書かれた作品だが古さは感じられない。それはきっとこの小説のテーマが不変的なものだから。大自然の厳しさ。弱肉強食弱。敬慕。愛情。野生への回帰。なんの気をてらわずにとてもシンプルな事が書かれている。だけど現代の小説にこのシンプルを恥じらいもせず真っ直ぐに書くだけの素直さがあるだろうか。
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翻訳物であることが影響しているのか、あるいは原文のテイスト自体がそうなのか、壮大な物語である割には、あまりに淡々と進行していく感じがして、特にジョン・ソーントンと絆を深めていくくだりなんかはもっと紙幅を使って盛り上げに掛かればいいのに…などと思ってしまうが、執筆から120年近く経った今も決して色褪せぬどころか、輝きを増しているかのような創作世界の素晴らしさと凄みは充分過ぎる。
動物好きであれば、だからこそ読んでいるのがしんどくなる苦境の描写もあるし、リアルな犬の能力を遥かに超えるブッ飛び展開もあったりするが、やはり必読の名著だろう。
時折、シートンの「狼王ロボ」や高橋よしひろ氏の「銀牙」を思い出してしまった。
都市部で暮らす現代の人間ですら、自然の中に一定期間以上身を置いて、一個の動物として過ごせば感覚は鋭敏になり、世代を超越して保存されているであろう遠い記憶が揺り起こされる気配を知るのだから、バックに自ずと共感し、憧憬を抱くのは道理に違いない。 -
昔、読んだことがあったなぁ、と主人公の名前を見て気づいた。大型犬のバックが主人公。うろ覚えだったため、いつ野生に戻って大暴れするのかハラハラしながら読み進めた。少し勘違いしていた。大暴れは大好きなソーントンのためだった。犬と人間の絆が、変に擬人化せずに描かれていて、我が家に犬がいた頃の感情などを思い出した。
北の国の厳しく美しい自然がすてき。また、ゴールドラッシュや犬橇、ネイティブ・アメリカンなどが普通に出てくると、こういう時代があったんだなぁ、と興味深く読んだ。
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過酷なアラスカの自然、そこで覚醒していくバックの「野生」。大変にマッチョで、なんだかヤクザものの漫画みたいな趣もあるといえばあるのだが、それが面白いんだなあ、と発見。
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ジャックロンドンはすでに「白い牙」「火を熾す」(短編集)と読んできた。
自然界の様子をリアルに、力強く簡潔に描かれているところは流石で、特に極北の冷たい雰囲気がよく伝わった。
ジャックロンドンは、あえてなのかもしれないが、淡々と物語を進めるのでスラスラ読めるがここがイチオシといった名場面を探すのは難しいかもしれない。 -
100年以上前の作品ながら、ストーリー展開や戦いの描写に引き込まれて、登場人物(犬物)も魅力的で面白かった
最強的わんこの物語
ジャック・ロンドンのほかの書物も読みたいと思った -
伝説の狼王バックの数奇な運命を辿る小説の旅。
余計なエピソードや描写が多く、またバックがあまりにもスーパー犬なのにはちょっと鼻白むところもあったが、ここまで犬視点で物語を構築した手腕はさすがです。 -
児童文学のときには読む機会はなかったですが、
大人になってから読むことができました。
犬という生き物が使役として有用、という時代に
「誘拐」されて使役されることとなったバックという犬。
彼は、賢い頭脳と、勇敢な心を持っていました。
持ち主が変わり、数々の苦難を味わうバック。
時に、もう動けなくなるところまで
いくときもあります。
だけれども、彼はその精神で苦難を
乗り越えます。
そして、眠れる野性は、
最後の主人の死によって解放されます。
野性ってなんだろう。