幼年期の終わり (光文社古典新訳文庫)

  • 1554人登録
  • 4.03評価
    • (192)
    • (200)
    • (144)
    • (11)
    • (4)
  • 206レビュー
著者 : クラーク
制作 : 池田 真紀子 
  • 光文社 (2007年11月8日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (452ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334751449

幼年期の終わり (光文社古典新訳文庫)の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • 異星人の宇宙船が地球上空に現れ、
    暴力的な手段を用いず人類を統治し、
    平和で安定した社会へと導く……。

    恥ずかしながら初めて読みました。
    で、この作品のパワーは凄まじく、
    様々な形で影響を受けた後発作品が
    多々生み出されたことも理解。
    作者が世界の恒久平和を願って、
    善の心で書いたらしい――というのも、わかる。
    発表は1953年、第二次世界大戦終結の八年後。

    得心するけれど強烈な感動を味わうわけでもなく、
    サラッと読み終えてしまったのは、
    キャラクターの誰にも感情移入できなかったせいか。
    大人は覇気がないし、子供らも騒ぐでなし暴れるでなし(笑)。

    大集団の価値観を一本化すれば争いは回避される、
    安寧が保証される……的な考え方が好きではないことも、
    本作への没入を阻害していたかもしれない。
    もっと年を取ってから読み直せば印象は変わるだろうか。

  •  自分が好きなSFは『火の鳥 未来編』のパターンのやつだなあということに何年か前に気付きまして、その類型を遡ると辿り着くのがこの『幼年期の終わり』でした。
     『幼年期の終わり』が1953年、『火の鳥 未来編』が1967年ごろ、そして’80年代になると『ブラッド・ミュージック』、’90年代になると『新世紀エヴァンゲリオン』・・・と、いうよりガイナックス作品、庵野監督作品はSFマインドいやSFエキスが濃縮されてて『ふしぎの海のナディア』のレッドノアもそうだと思う。たぶん。(『トップをねらえ!』のウラシマ効果はこれではなく『終りなき戦い』の方だそうです)そして’00年代になると『電脳コイル』のヒゲ回とかですかねー。
     
     以前『ミッション・トゥ・マーズ』(たぶん駄作)を観た時に『2001年宇宙の旅』のよさを再確認できまして、それは異星人を出さずにモノリスのみにした点で、そのおかげであの映画は古びないということでした。これはクラークではなくキューブリックが出したアイデアだそうで、さすがキューブリックGJだなと。
     その15年前に出版されたクラークの『幼年期の終わり』、第1部は『地球の静止する日』のようなファーストコンタクトものですが、『2001年宇宙の旅』と同じくやはり異星人の容姿が重要な鍵でした。この部分は永野護のFSSにそのまま引用されてます。
     異星人オーヴァーロードの容姿、仏教(たぶん禅)、そしてクジラというのは英国人であるクラークだからこそなんじゃないか、あとニューエイジ系の人達にやはり影響を与えてるんじゃないのかなあと思いました。英国といえばダーウィンを生んだ国で無神論者も多い、と同時にオカルトやファンタジー大国でもあるという・・・トールキンとか、最近だとハリーポッターとかもそうですね。また、クラークが移住して晩年まで住んだスリランカは仏教国でもあります。
     お話自体は『2001年宇宙の旅』に近いけど、モノリスが無機物、板だったのに対してオーヴァーロードについては人類が右に行くか左に行くか試されてるような、タイトロープの上に立たされてる感覚を強く感じました。

     後継作『2001年宇宙の旅』を名前を出しましたが、あんなに難解ではなくとても読み易いんでびっくり。クラークは理系のものすごい人なんですが比喩表現がけっこうロマンティック。
     面白さで言うと途中までが★5で、後半は途中で話わかっちゃう(そうする他ない)ので悲しいだけ、★4なのですが歴史的に重要な作品なのでトータル★5にしました。

  • さすがに年間500冊くらいの本を読んでいると、「本を読む」ってのは「昼食をとる」くらいの日常になってしまっている。
    昼食をとったあとに深い感慨を得ることがあまりないように、本を読み終わったあとは「うん、読み終わったな」と淡々とページを閉じることがほとんど。
    だけどたまに「ああ、なんていい読書体験をしたんだ」と、じんわりと幸福感に包まれることがある。本書の読了時、その幸福感が来た。

    いや~、実にすごい本。壮大なストーリー。
    名作との誉れ高いだけあって、なんで僕はこんな歳まで本書を知らなかったのだろうと悔やむほど面白い。

    いろんなSFの原型になっている、古典中の古典なんだろうね。今後もSFを頑張って読もうと強く思わされる本。

  • Aiは人間を憎んだりせず、無関心なのかもっていう記事を
    みたけれど、それに通じるものがあるな。
    人が無関心に他の動物や植物を殺したり管理したりして
    必要な、あるいは必ずしもなくてはならないものではないものを作る材料にするように、どこかで地球を観察している誰かが、その時が来た時に無慈悲に全てを持ち去ってしまうのかもしれない。

    どうなってしまうのかとハラハラしながら読み進めた。
    まだまだ知らない面白い作品はたくさんあるんだな。
    本があるって幸せだな。読みきれる気はしないけれど。

  • 人類を遥かに凌ぐ高次知性生命体が地球を訪れ,それによって世界政府が実現される…という話であるが,全体からするとそれらはあくまで導入に過ぎず,彼らが何のためにそれを行っ(てき)たかという部分が次第に明らかになっていく.
    歳月を経ようが知恵を結集しようが,根源的なスケールの違いによって,到底及びもしないような,遥かに高度なものを有する存在を前にしての無力感というのが通底したテーマのようである.序盤は人類のオーバーロードに対するそれが繰り返し描かれ,無力感を振り払って抗おうとする人々に焦点が当たっている.が,展開が進むにつれ,実はオーバーロード自身も,その種のコンプレックスをより上の高度な存在に対して抱えており,更には人類も含め,オーバーロードが面倒を見ることになる種族は,最終的には彼らが及びもつかない高みへと進んでいくことに,言い知れない寂寥感を抱えていることも明かされる.
    果てしない階層構造の中で,人類が技術や概念の進歩を重ね,どんなに高みへ行ったとしても,上には上がいる…ということになるのだろうか.

  • 古典。
    このラストを新しい進化と取るか、終焉と取るか。
    まさしく芋虫にとっての死は蝶にとっての誕生である、を地でいく作品。
    あまりの世界の壮大さと人類の矮小さ、悠久の時間と儚い生の在り方にクラクラしてしまった。

  • 2015年10月13日読了。
    これはまさしくSFの傑作。素晴らしい構成と描写。読んで良かった。

  • 金字塔。

  •  SF古典を読んでみよう、という感覚で手にとった本。割とイメージ通りのSF古典。
     描写に時代を感じる部分はあるけれど、骨子の部分は時代を感じさせないものがある。というか、いつまでも斬新なテーマっていうのはすごいなあと。いいものはいつの時代でもいい、を体現しているようなところがある。

     具体的な技術の描写とか、雰囲気の描写とか、個々人の行動とか、話の展開とかは、ある意味些末だと思わせるところがあって。
     オーバーロードのあり方とか、人類がどこに向かっていくのかとか、『テーマ』に向かってまっしぐらなところが思考の奥へと突き刺さってくる。
     影響が大きい本でした。本を読む楽しみって、こういう本に触れた時にあるんだなぁって感じられる。

     現代と比較しての、ちょっとした答え合わせ的な要素があるのは、昔のSFを読む時のお楽しみ。
     当たってる部分もあり、当時からでは想像もつかなかったであろう変化もあり。

  • 地球を訪れる宇宙人は、なにも侵略者ばかりではない。この小説では、宇宙人はむしろ地球人を育てる教師。彼らによって、地上にはユートピアが築かれた。彼らが本当に優秀な教師なら、これからも子供たちの無限の可能性を引き出してくれるだろう

    http://www.lib.miyakyo-u.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=219569

全206件中 1 - 10件を表示

クラークの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
アゴタ クリスト...
ジェイムズ・P・...
村上 春樹
村上 春樹
三島 由紀夫
遠藤 周作
ヘミングウェイ
有効な右矢印 無効な右矢印

幼年期の終わり (光文社古典新訳文庫)に関連するまとめ

幼年期の終わり (光文社古典新訳文庫)を本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

幼年期の終わり (光文社古典新訳文庫)を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

幼年期の終わり (光文社古典新訳文庫)を本棚に「積読」で登録しているひと

幼年期の終わり (光文社古典新訳文庫)の作品紹介

地球上空に、突如として現れた巨大な宇宙船。オーヴァーロード(最高君主)と呼ばれる異星人は姿を見せることなく人類を統治し、平和で理想的な社会をもたらした。彼らの真の目的とはなにか?異星人との遭遇によって新たな道を歩み始める人類の姿を哲学的に描いた傑作SF。

幼年期の終わり (光文社古典新訳文庫)のKindle版

ツイートする