八十日間世界一周 (下) (光文社古典新訳文庫 Aウ 2-2)

  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (291ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334751838

感想・レビュー・書評

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  • 本作の内容は、次のとおり。

    ---引用開始

    汽船、汽車、象と、あらゆる乗り物を駆使して次々巻き起こる障害を乗り越えていくフォッグ氏たち。インドで命を助けたアウダ夫人も仲間に加わり、中国から日本を目指す。しかし、酒とアヘンに酔ったパスパルトゥーはフォッグ氏と離ればなれになってしまい、最大のピンチが訪れる。

    ---引用終了


    ジュールの代表作と言われている作品は、

    ・海底二万里(1869年)
    ・八十日間世界一周(1873年)

  • さて、下巻である。

    前回、上海で乗り遅れたかにみえたフォッグ氏らだが、間一髪乗せてもらうことができた。そして船ではパスパルトゥーとも再会できる。
    舞台はアメリカ大陸へ。アメリカは主に鉄道の旅であるが、インディアンとの闘争が繰り広げられていた時代、鉄道旅といえども一筋縄ではいかない。
    ニューヨークを目指して急ぐが、大西洋を渡る船にまたしても乗り遅れてしまい…。
    フォッグ氏らは、約束の時間に戻ってくることができるのか。

    上巻の感想と重なるけれど、この時代の国々の様子がわかるのが一番面白いところ。
    そして降りかかる問題に、(主に金の力をもって)フォッグ氏が慌てずに適切な次善の策をとっていくところも。
    アウダ夫人との間で信頼関係から恋心も生じてきて、ロマンスもある。

    飛行機移動が当たり前になってしまった今ではもうできない旅行。
    今はあらかじめいくつかの条件(飛行機は乗らない、携帯を使わない)を決めておかないと、面白くならなさそう。

    「あっ!」と驚く逆転劇もあり、最後までハラハラ楽しめます。旅行記が好きな人はぜひ。

  • 1972年(明治5年)、この年、新橋ー横浜間で、国内初となる鉄道が開通した。この物語の舞台となった年だ。
    この時代に、イギリス人は80日間で世界一周したのか(物語だけど)と思うと、当時の日本とヨーロッパ列強との差を改めて実感する。
    この物語は、世界のグローバル化の始まりを描いた小説であるが、横浜が太平洋横断の拠点となる港として描かれており、日本の開国がグローバル化の欠くべからざる重要なピースであることがわかる。
    また、アメリカという国が、ヨーロッパ人からかなり特殊な国であると受け止められていたこともわかり、おもしろい。

  • 「1991年、夏」

    <マイ五ツ星>
    フランス人作家:★★★★★

    <あらすじ>-ウラ表紙より
    1872年のロンドン、謎の紳士フォッグ氏は《改革クラブ》の友人と大金2万ポンドの賭けをした。それは八十日間あれば世界を一周できるというものだった。成功に絶対の自信をもつフォッグ氏は、フランス人の召使いパスパルトゥーを従えて出発。
    全財産とプライドを賭けた旅が始まった!

    <お気に入り>
    各新聞はきわめて情熱的に、だが、あくまでも論理的に「八十日間で世界を一周する」ことの成否を論じたが、それは当然のことであった。話題が“地理”のことになると、イギリス人はたちまち夢中になってしまうからである。

    <寸評>
    実はこの作品、久しぶりに読んだ。

    遡ること20年近く、中2の時である。
    小学生時代に英会話を3年間、(野球の片手間ではあるが)習っていた俺は、中学英語にかなりの貯金が出来ていた。そこで、当時の英語の先生が、夏休みの宿題ワークブックの代わりに手渡したのが、サイドリーダー版『八十日間世界一周』である。

    ウワサを聞き付けたクラスメートたちが群がる。
    「ルイさん(→当時のあだ名)、英語の宿題無いってホンマ!?」
    「いや、無いんやなくて、これを全部訳してくるねんで…」
    「……頑張れ~♪♪」

    簡潔に短くしたものだったと思うが、それでも全訳はキツかった思い出がある。キャンパスノート3冊になった。
    あのノート残しときゃよかったなぁ。
    セリフを関西弁にし、お金は全て円に換算するなど、意外と凝っていた(笑)。

    当時は世界史も習う前で、知らないことだらけだったのだが、それでも日本の横浜が出てきた時にはワクワクし、フォッグ氏の金遣いに、始め引き気味→次第に清々しくなり、そしてラストのどんでん返しには一気読みならぬ「一気翻訳」をし、間違いなく人生で1番英語を楽しんだ時間だった。

    まさかあの頃は、自分が将来“英語”でなく“国語”の方に進むとは夢にも思わなかった。人生いろいろ、である。

    約20年ぶりに読む『八十日間世界一周』は、全く別の世界だった。
    世界史も学び、1872年の“ヨコの歴史”をこうして読む楽しみ。そして、フランス人作家のヴェルヌが、イギリス紳士を描き、スエズ運河を通過し、英領インド、香港を通り、開国間もない日本に寄り、アメリカ大陸を横断する、そういう物語を書いていることの意味……。
    まさに、子どもから大人まで楽しめる物語である。

    そして個人的には、とにかくがむしゃらな男の子だった「ルイさん」に久しぶりに出会えた、タイムマシーン物語だった。

  • アウダ夫人の登場以来、旅を彩る紅一点として、心穏やかになる瞬間もしばしば。フォッグ氏に対する感謝と同時にわずかな恋心のようなものも感じ取れ、最後に2人は結ばれるのではないかとワクワクしながら読み進められた。最高のハッピーエンドが見られて非常に満足である。

  • 面白かった。
    結局金かー、という気もするけれど。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/742257

  • 旅行記、サスペンス、アクション、ラブロマンス、いろんな要素が詰まっていて飽きることなく一気に読んでしまった。
    ヴェルヌの本は、読んでいるだけで実際に見て体験しているような気にさせてくれる生き生きとした描写がとても魅力的で本書でもそれが存分に発揮されていた。

  • 2人の世界一周旅行は後半を迎えます。様々なトラブルに対して、毅然と立ち向かうフォッグ氏に感動をうけます。時間に追われながらも東へ東へ旅は継続していきます。
    ロンドンは向かい、お話のラストのラストまで本当に目が離せない素晴らしい小説です。有名な小説ですが、活字で通読したのは初めてでした。これまで読了していない方は、ぜひ一度お読みになることをおすすめします。

  • ※上下巻併せて記録。

    巻頭に世界一周の旅程行程の図表があり、見てるだけでワクワク楽しい。読んでいて地下鉄の駅を乗り過ごしそうになった。夢中に読ませる面白さあり。
    ただなんだか“おさない”感じがした。同じくヴェルヌ作で少年向けと思われる「 二年間の休暇 」の方がむしろ大人びた手触りがあった。翻訳のせいかもしれぬ。光文社古典新訳文庫特有の、やわらかい訳で読み易い代わりに重みや品格に欠ける、それかもしれない。( 重厚な深みを望む小説の場合、古典新訳文庫を選ぶのは要検討かも)。

    主人公フォッグ氏は機械のように正確な時間割で律した生活を送っている。人物も冷静で穏やか。なので氏が世界一周の旅を賭けると宣言する急展開に若干の唐突感を感じた。その動機の描き込みが希薄な気がした。またサンフランシスコで遭遇したデモの渦中、ある軍人と鋭く対立、フォッグ氏は決闘を決意する。このくだりもなぜそこまで?とフォッグ氏の動機について説得力を感じなかった。

    〈以下ネタバレの恐れ〉

    お金の使い方がすごい。フォッグ氏は旅の道中で、日本円で100万とか1千万単位でポンドの札束を切り、各種乗り物を雇い上げてしまう。終盤近くでは小型の貨物船を買い上げてしまう。その額1万2千ポンド(5万ドル)現在の日本円にして3億円。「あとがき」によれば、旅の費用総額も5億円と想定されるという。超富裕層ならではの豪快な道行きなのであった。

    終幕、意外にも寂しい結末… と意外性を味わっていた… ところがもうひとひねり。やられた。この終幕の力技は天晴れ。心地良いカタルシスを得られたことで評価盛り返した。

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著者プロフィール

Jules Verne, 1828 - 1905.
フランスの小説家。
『海底二万海里』『月世界旅行』『八十日間世界一周』
『神秘の島』『十五少年漂流記』など、
冒険小説、SF小説で知られ、SFの父とも呼ばれる。

「2016年 『名を捨てた家族』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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