ガラスの鍵 (光文社古典新訳文庫)

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制作 : Dashiell Hammett  池田 真紀子 
  • 光文社 (2010年8月10日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (453ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334752101

ガラスの鍵 (光文社古典新訳文庫)の感想・レビュー・書評

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  • ハメット凄い!
    この作品の主人公はクールな探偵ではない。正義感に燃える警官でも、人情にあついヤクザ者でもない。
    賭博師であり、市制を牛耳るギャングの右腕。探偵という役割からくるハードボイルドな生き方すらできない。ただの人なのだから。何をモチベーションにしていくのか問いかけられる究極のハードボイルド小説。
    感情移入すら難しいけれど、引き込まれてしまうこの小説の魅力はいったいなんだろう。

    解説の通り、この作品は存在そのものがハードボイルドなのだ!

  • 点描的作品。主人公の息遣いが感じられる。

  • この本には諏訪部浩一さんによるひじょうに立派な解説がついている。
    解説かくあるべしと言いたくなる大変すばらしいもので17ページにも及ぶ。
    この解説を読むだけでハメットについていろいろ知ったかぶりができるだろう。
    (そんなことしてなんの得があるのか、というのはさておき)
    諏訪部さんはまずハメットの小説がハードボイルドという分野を開拓し、ミステリの外からも古典と呼ばれるようになったことを説明する。
    次に、しかしハードボイルドの古典として読むと、主人公がヒーローとは言いがたい、つかみどころのない人間なので違和感を覚えるだろう、と言う。
    そして、最近の研究ではこの小説が大戦間に書かれたことを重視し、ノワール小説の先駆として読むことが多くなっていると指摘する。

    引用したくなる文章が多い。

    「このようにして、『ガラスの鍵』という小説においては、主人公に「共感」するためには読者が相応の努力を払わなくてはならない」

    「しかし、ハメットがこうした「わかりにくさ」をほとんど「ぶっきらぼう」なほどに――「ハードボイルド」に――出すことを可能にしているのが、彼の読者に対する、あるいは文学に対する信頼と呼ぶべきものであることは強調しておきたい」

    「虚しさばかりが残る小説を読むことが、虚しさばかりが残る体験であるわけではない。それは虚しさを見つめた主人公と作者を、追体験する営みに他ならないからである」

    解説でも池田真紀子さんの訳者あとがきでも共感しにくいと評されていたが、私は最初から共感しようとせず行動と会話のみを追ってならず者たちの抗争を楽しんだ。ちょうど「仁義なき戦い」のように。

    この本には8ページにわたる年譜がついているが、次の記述にはちょっと仰天してしまった。

    「一九一七年 二十三歳
    ピンカートン探偵社から、銅山会社の労働組合が行っていたストライキの「スト破り」を命じられる。さらに銅山会社から組合の幹部を暗殺するよう依頼されるが、ハメットはこれを拒否する。しかし後に、この幹部の死体が鉄道の踏切で発見される。ハメットはこの事件に大きな衝撃を受ける」

    以下は余談になるが(といってもこの文章はすべて余談なのだが)解説の中に、ハメットの主要作品は「永遠に活字として残し、広く読者の手に届くようにする」プロジェクトである「ライブラリー・オブ・アメリカ」に収められている、という一文があった。

    このライブラリー・オブ・アメリカとはなんだろうか。

    まずカタカナで検索してみたが、「クライム・ノヴェルを毎日読もう」というブログ以外は文学と直接関係ない事柄しか出てこない。件のサイトによると、古典から現代までアメリカ文学の主要な作家を集めた叢書であるという。
    そこで今度はアルファベットで検索してみると、公式サイトが見つかった。
    想像以上の充実ぶりで、アメリカ文学の富が一同に会したかのようだ。すっかり興奮してしまった。スーザン・ソンタグやカート・ヴォネガットまで入っている。著者別だけでなく、「映画批評」「野球」「ロサンゼルス」「ベトナム戦記」といったテーマ別のアンソロジーもある。
    思うのだが、岩波文庫はここと提携してライブラリー・オブ・アメリカの本をどんどん翻訳して見てはどうだろう。(もうしているのかもしれないが)解説も本国版と日本版の二本立てでいく。著作権の切れている本などやりやすいのではないだろうか。
    話は戻るが、『マルタの鷹』は1934年にシリアスな文学叢書「モダン・ライブラリー」に加えられたという。これはどのようなものだったのだろう。アメリカの文学叢書の歴史というのも面白そうだ。

  • 2014年7月5日(土)、読了。

  • ハードボイルドってやっぱり苦手かも知れない。あんまり頭に入らなくて眠くなっちゃった。解説の“「わかりにくさ」に耐え、そこから目をそむけない読者だけがネッド・バーモンドの苦境を実感できる”というのを読んで、私には我慢が足りなかったと思わされた。先に解説を読んでから読み始めれば良かった。ハメットがいたからこそチャンドラーが出てきたというのはなかなかに考えさせられる。2012/190

  • ハードボイルド小説の特徴や魅力は心理描写が極力排除され、人物の心情をその仕草や振る舞いから読み取らなければならない不親切にも思えるぶっきらぼうなところだと考えています。主人公と読者の同調を拒むかのように突き放しつつも、人物と雰囲気で読ませる高倉健的魅力。そういう面ではこの作品は満足でした。ただ個人的には、ネッド・ボーモントという人物は少しタフガイすぎるかも? という印象です。よく読むと頻繁に動揺したりするのですが、もう少し強がりというか、やせ我慢というか、そういった表情をもっと見せて欲しかったかな。と。

  • ハードボイルド嫌いなのに、読んでしまった。

  • あまりの面白さに一気読み。状況を逐一説明的にしていくのではなくて、色々推測しなくてはいけないから、苦手な人は苦手かと思う。私はこういう文章のが好きだが、昔マルタの鷹を読んだ時のような文章でも問題ない。このノワール感が突き抜けていて、ややもすればひとりよがりになって読者をおいて行きそうな構成も絶妙。

  • 中だるみせず、最後まで楽しめて読めました。
    ちょっと複雑かなとゆっくり目に読んでいたら、
    解説でも「読み始めはとっつきにくい」って書いてありましたね。
    登場人物を説明する文章がなく、会話の内容から推測していく必要があります。
    いきなり出てくる初登場の登場人物に「誰この人?」ってなります。

    (毎日電車内で読む。最終章だけ自宅。読了に6日(他の本も併読してますが))

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ガラスの鍵 (光文社古典新訳文庫)の作品紹介

賭博師ボーモントは友人の実業家であり市政の黒幕・マドヴィッグに、次の選挙で地元の上院議員を後押しすると打ち明けられる。その矢先、上院議員の息子が殺され、マドヴィッグの犯行を匂わせる手紙が関係者に届けられる。友人を窮地から救うためボーモントは事件の解明に乗り出す。

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