アガタ,声 (光文社古典新訳文庫 Aテ 3-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (249ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334752187

作品紹介・あらすじ

お互いに記憶の深層から紡ぎ出した欲望の言葉で、"近親相姦"を語る兄と妹(『アガタ』)。不在の男を相手に、女が電話越しに"別れ話"をひたすら語る(『声』)。男と女、すれ違う言葉と想い…。対話と独白の、抑制された動きと「語り」の濃密さが、鮮烈な印象を与える、一幕もの傑作2篇。

感想・レビュー・書評

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  • 〝アガタ〟という名の少女と、その兄との関係性の遍歴。あの夏の日。繰り返し離れようと、けして離れられなかった二人のお話し。

    自分を捨てて新しい女ともうすぐ結婚する男に、最後の電話を掛ける。一人芝居。そして電話の切れた後。

    戯曲を読むのは初めてだと思う。イメージの奔走を追いかけるような、感覚の背びれに捕まってすごい速度で読み切った本。
    これを下敷きにお話しを書くのも楽しそう。

  • 男女2人しかいない、しかもあまり動きのない劇の「アガタ」と女優が独りで電話をしている「声」の2篇。「アガタ」を朝読み、「声」を夜読んだ。どちらも実際の舞台で観ないとよくわからない。けれども教会の鐘や寺の鐘が鳴り止んでもいつまでも耳の中で鳴っている気がするように読み終わってからも電話で話す「声」が聞こえてくる気がするし、寄せては返す波のように「アガタ」の男女の呼びかけがリフレインする。昔、国語の教科書にあった、上田敏の訳詩「私の耳は貝の耳/海の響きを懐かしむ」という詩を思い出した。コクトーの詩だったかな?

    共通するのは濃密な時と過ぎ去った過去。悲劇の予感。

  • 『アガタ』はお互いに性愛を抱いている兄と妹が過去の思い出を互いに語り合う話し。
    打ちのめされたような優しさをもって語り合うという序文が印象的。
    『声』は女性が殺人のあったような部屋の中で電話向こうの男性と別れ話をする独白。女優は絶えず血を流し次第に血を失っていく、足を引きずる獣のように、最後は血の充満した部屋の中で芝居が終わると、鮮烈なイメージが的確。評価されるだけあるという印象。実際に芝居を見ればより素晴らしい感動が得られるだろう。

  • 演劇を、観たい。生の声を、聴きたい。

  • 言葉で語る,言葉が語る。

    「アガタ」は近親相姦の話らしい。あまりよくわからなくて解説を読んでもふーんとしか。

    「声」は電話の独白。別れ話をしている。途中混線したり,通じなかったり,なんとなく演じている女優さんが見えるような気持ちになった。こちらは解説を読んで,なんとなく詳細がわかった。面白い。

  • 戯曲は登場人物のモノローグがないからセリフと間で行間を読むことができて想像力が掻き立てられる。デュラス『アガタ』は、白い水着に付着した血液のエロティシズムがなんかいいと思った。結局これが二人が思い描いたフィクションなのか、事実なのかふわふわしてるのでぜひ舞台で見てみたい。コクトー『声』は電話を掛けている相手の会話は何も分からず、・・・・・で片方の会話だけから展開を読んでいく非常に面白い作品。・・・・・の向こうを想像して読むとまた楽しい。女が破滅していくのが女の会話だけでわかるのが凄い。2012/223

  • ただ読むだけでは色いろわからない。これはどう演じられるべきなんだろう。
    どうでもいいけど「声」の《女》ってものすごく『女』だな。血がだんだん流れていく、っていうのはどういうことだろう。舞台上でどうあれば一番いい状態なのかを妄想しながら何度も読んでしまう。すごく面白い。

  • 燃えるような愛を孕んだ小説二本立て。圧倒的な文字に引き込まれていく。

  • 共に冷たい緊張感を漂わせる二人芝居「アガタ」、一人芝居「声」。

  • もちろん必読。

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