- Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334752194
感想・レビュー・書評
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自然と感情の描写が、緻密で柔らかく、若い幼なじみの夏がフワッとこちらに浮かび上がって来るようだ。
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友情から恋愛へと発展していく過程で生じる苦しみについて描かれている本。
風景描写に力点を置き過ぎているきらいがある。もう少し、詳細な心理描写が欲しかった。 -
最初は正直フィリップの青さにすごくイライラした。けれど最初薄っぺらいと思っていたヴァンカがストーリーを追うごとにすごく面白くなった。最後の方はとくによかった。あとはちょいちょい訳の言葉遣いが気になったのでフランス語をもっと勉強して自分で原書を読んでみたい。
p.134「だって、わたしにいじわる言ってるあいだは、そこにいるでしょう、あなた……」 -
この訳者さんのフランス小説を読むのは3冊目。読みやすかったのは訳者のおかげかフランス文学の傾向なのかな。
個人的にフィルの秘密より前半のヴァンカとのやりとりに引き寄せられた。 -
いとこを懐かしく思った。
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光文社古典新訳文庫シリーズの特徴は、奔放な翻訳と優れた解説、この二点だと個人的に思っている。
その意味で、コレットの『青い麦』を河野訳で読むことの面白さは、彼女の明快な解説と共に評価するのがよいと思う。彼女の解説は、若い男女の恋愛を描いた『青い麦』のテーマは、いかにもありふれて見えるのに、なぜ仏文史上「新しい」ものだったかを、コレットの伝記的事実も交えながら、分かりやすく、興味深く説明している。
本作を読んでまず目にとまるのが、夏の海辺の家を背景にした爽やさな情景。そして、十代の男女恋愛がもつ苦々しさを繊細に描いた巧みな心理描写である。謎の三十女が登場する展開は、フランス文学のおなじみのものだが、二人の主人公の関係が変化するための契機として効果的に使われている。直接的な性描写を排しているのは、何も彼女が性的なことがらに嫌悪感をもっていたからではなく(そうでなければストリップ同然のパントマイムを仕事になどできないはずだ)、十代の男女のぎこちなさを表現するのに適当だったからであるようにも思う。 -
少年少女の初めての性の前後における心身の繊細な描写と避暑地の風景。
大人は影。少年に初めての性を教える年上の女性も影。
少年と少女にもだんだんと影が差していく。
そしてまだ残る童心の輝きや色彩豊かな風景と、迫り来る影とのコントラストの中に切なさ、甘酸っぱさがあるんだろうな。 -
コレットの名作を、新訳で読み返した。
幼馴染がどんどんと少女から女へ変わっていき、子供でもない大人でもない状態の複雑な心境を、ひと夏の出来事と共に綴る。
隣にいた女の子が嫉妬に狂い、女へと変貌する。
あぁ。女の娘って男より怖くて大人だなぁ。 -
あまり期待していなかったが、意外と面白かった。幼なじみの15歳の少女と16歳の少年がお互いを意識し始めた。そこに年上の若い女性が現れた。よくありそうなテーマです。各々の心の動きがうまく描かれていました。
また、解説の第一次世界大戦前のフランスにおける恋のパターンがフランス文学を読むのに参考になりました。6パターン分けされていました。ぜひご一読を。