詐欺師フェーリクス・クルルの告白 上 (光文社古典新訳文庫 Aマ 1-3)

  • 光文社
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本棚登録 : 128
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (350ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334752330

作品紹介・あらすじ

武器は天与の美貌、爽やかな弁舌、鮮やかな模倣の才。貧しい青年クルルは子供の頃のずる休みと同様、仮病をつかって徴兵検査をくぐり抜け、憧れのパリで高級ホテルのエレベーターボーイとして雇われる。そして宿泊客の美しい女性作家に誘惑され、彼女の寝室に忍びこむと…。

感想・レビュー・書評

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  • 「武器は美貌、爽やかな弁舌、鮮やかな模倣の才」とかいう裏表紙の解説に惹かれ手に取るも、こっ、これはっ、かなり、むかつく。

    「貧しい」とのことだが、違うだろ。
    美貌についても解説がないから、ワガママで学校さぼるズル賢い子供、いじめられっ子、外では貝のように大人しく家では傍若無人、といった(私の印象)甘えた金持ちの駄目息子の語りが200ページ程続く。最後の最後でやっと自活しコネでホテルマンとなる。

    この上巻は果たして必要なのか?下巻ー読めば色々繋がって来るのか?書かれたのが1954年らしく意外に最近。

  • 2011-8-13

  • 幼少時から生来の美貌と感受性で人に取り入り、とある貴族の子息に成りすまして世界中を漫遊した詐欺師クルルの半生…のはずなのだが、しかし、小説はクルルが出発地であるリスボンをようやく出発しようかというところで未完に終わる。もっとも、マンがこの小説を書き始めたのが35歳、その後、中断と再開を繰り返しながら、この第一部を完成させたのが79歳だと言うのだから、物語が完結する見込みは全くなかった。マン自身も、第2部以降を書くつもりはなかったようだ。

    しかし、未完であることはこの小説の魅力を増しこそすれ、損なうことは全くない。むしろこの濃密さで世界中を旅されたら、とんでもない長編小説になってしまって、大変だ。第一部だけでもボリュームは十分だし、今後のクルルの人生を想像力豊かに楽しめるというものだ。

    マンといえば、いかにもドイツ語の本領発揮と言わんばかりのうざい複文で、これを光文社古典新訳のウリである「いま、息をしている言葉」に訳すのはさぞ大変だったかと思われるが、訳は自然で読みやすい。

  • 賢くて洗練された「私」と、そんな私だからその魅力や機知に翻弄されてもしょうがないよね、な人たちの話。ナルシストの告白ってうざいね。ぺっぺっ。
    それでもまあ最後まで読めたから星2つ。(ラストで死んで欲しかったけど)。

  • 素敵詐欺のような感じのふれこみだったので手に取ってみましたが、これは私の判断ではすれすれで詐欺でないと思います。
    でもあり。

    フェーリクスが少し尊大なところがありながらやはり魅力的だし、彼が出会っていく人たちも彼の引力がそうさせるのか、やはり素敵。
    にしても、これ一応下巻まで読んだのですが、ここで終わり?
    これ未完じゃないの?と思うようなラストでした。

  • (ただし読了日は、図書館で借りた新潮社全集版を読み終わった日付)

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著者プロフィール

【著者】トーマス・マン(Thomas Mann)1875年6月6日北ドイツのリューベクに生まれる。1894年ミュンヒェンに移り、1933年まで定住。1929年にはノーベル文学賞を授けられる。1933年国外講演旅行に出たまま帰国せず、スイスのチューリヒに居を構える。1936年亡命を宣言するとともに国籍を剥奪されたマンは38年アメリカに移る。戦後はふたたびヨーロッパ旅行を試みたが、1952年ふたたびチューリヒ近郊に定住、55年8月12日同地の病院で死去する。

「2016年 『トーマス・マン日記 1918-1921』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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