サロメ (光文社古典新訳文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (225ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334752484

作品紹介・あらすじ

妖しい月光の下、継父へロデ王の御前で艶やかに舞ってみせた王女サロメが褒美に求めたものは、囚われの美しき預言者ヨカナーンの首だった――少女の無垢で残酷な激情と悲劇的結末を鮮烈に描いた傑作が、作家・平野啓一郎の新訳で甦る!
平野啓一郎さん、初の翻訳作品です。

感想・レビュー・書評

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  • 福田恆存氏翻訳のものと読み比べたく、平野啓一郎氏翻訳のものも読みました。
    個人的な好みで言えば、文体は福田氏、解説は平野氏のものです。

    聖書とワイルドに限りなく寄り添い、現代的な言葉で書かれているこの本は、他の方も書かれているようにサロメの少女性、無邪気さ、処女性にフォーカスを当てています。

    この本の最も良い点は、平野氏による語の解説が細かいこと。本文と解説を何度も反復横跳びしていました。楽しい。

    私は蠱惑的なユダヤ・パレスチナの魅力に取り憑かれた人間なので、解釈としては福田氏の翻訳が好きです。
    ビアズリー、モローの世界観がお好きな方であれば、福田氏のものを読んでからこの本を読むことを強くお勧めします。

    それにしても、戯曲「サロメ」の魅力は恐ろしいですね。しばらくその世界観から逃れられそうにありません。

  • 平野啓一郎によるサロメ。解説でご本人が述べられていたが非常に少女性があるサロメになっている。好きな男を振り向かせようとして一生懸命なサロメ。だけど振り向いてくれず最後は殺してしまう。ヘロデも娘を振り向かせようと領土の半分を与えようとする。耽美的になりすぎず一方でサロメ独特の魅力も残したままうまく訳されていると思う。
    平野さんの解説も出色で世紀末の京都の雰囲気が懐かしかった。田中さんのワイルドに関する解説もワイルド、サロメ理解を深めてくれるもので、田中さんのアドバイスがあっての平野訳ということでもあるのだろう。リヒャルト・シュトラウスのサロメとは違うということも解説を通じて知ることができた。
    宮本亜門による舞台は見てみたかった。舞台は終わってしまうともう見れないから残念だ。当たり前なのだけれど。

  • 巨万の富を約束されても欲しいのは一貫としてヨナカーンの首。
    頑固一徹。
    王様に長々と説得されたとしても、欲しいのはあの人の首の一言。
    一連のやりとりがとても滑稽でもあり、サロメのどうしようもない感じがまた狂気を感じました。
    愛を知らないから?拗らせてしまったから?
    純粋過ぎるから?後のとんでもない行動、斬首された人の首にキスだなんて‥想像するだけで気持ちが悪いですが、
    愛していたからこそ出来る事でもあるのかもしれませんね。

  • なぜ『サロメ』を平野啓一郎が?その狙いは?という答えは本人によるあとがきと宮本亜門が寄せた文章でしっかりと明らかに。そういうところから、この「古典新訳」シリーズ自体の意義や面白さについても考えさせられる。

    ファムファタール的イメージに支配されない、無垢な乙女であるサロメ像が、奇を衒わない堅実な訳文から確かに浮かび上がっているように思う。その試みから、ワイルド→三島→平野の文学の系譜も見出せる。

  • サロメはあの絵が有名だからよく知っていた。でもまた絵で見るのと本で読むのとは違ってよかった。サロメの妖艶な感じがよく出ていると思う。

  • サロメって、ヘロディアにそそのかされた操り人形のイメージがあったけど、こういう純真な恋からの斬首っていう解釈もできるんだなー。平野さんの解説が素晴らしい。

  • 岩波文庫の福田恆存訳を読んだけど、新訳で再読。福田訳ではビアズリーの挿絵も相まってどこか妖艶な雰囲気で、典型的なファム・ファタールとして描かれていたサロメだけど、新訳では純真な少女としてのサロメが描かれている。同じ作品なのにガラッと雰囲気が変わった。新訳では初めての恋をするサロメの少女的な無邪気さの中に隠しきれない悪女としての素質が見え隠れする。雰囲気を楽しみたいなら岩波文庫、サロメの世界観知りたいなら光文社かな。本文の倍以上のボリュームで、解説が収録されているから。2012/437

  • ブクログ:2013/2/26
    読了:2013/2/28

    ワイルド研究者による解説は読み応えがあったけど…肝心の本編は全然引っかからなかった。
    サロメの言葉遣いがちぐはぐで、全然一人の少女として像を結ばないんだよな~。
    「私、踊りたくなんかない」とか言う女の子が、「お前の髪が愛おしい。」なんて言うかね。
    ヘロデも、「イチイチ、〜するでない」というセリフがあって、なぜそこが片仮名!?と、よく分からない訳があって、白けてもた。

    作者の後書きで書かれている「新訳の動機」も、要約したら「時代は変わってるのに訳は古いまんまだから、新しくしなきゃ」ってことで、普通だなぁ~~、わざわざ数ページ割いてまで書くことかなぁ~~、って思った。

    田中さんの解説だけが良かった。

  • このサロメ超可愛い。

  • サロメ 新国立劇場 5/31~6/17
    作:オスカー・ワイルド、翻訳:平野啓一郎、演出:宮本亜門、美術:伊藤雅子
    キャスト:
    サロメ(ヘロディアの娘)多部未華子、ヨカナーン(預言者)成河、ヘロディア(ヘロデの妻)麻実れい、ヘロデ・アンディパス(ユダヤの四分領王)奥田瑛二
    http://www.nntt.jac.go.jp/play/salome/index.html

    観てみたいねぇ~

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著者プロフィール

1854年アイルランド・ダブリンに生まれる。19世記末の耽美主義文学の代表的存在。詩人・小説家・劇作家として多彩な文筆活動で名声を得る。講演の名手としても知られ、社交界の花形であった。小説に『ドリアン=グレーの肖像』戯曲に『サロメ』『ウィンダミア卿夫人の扇』回想記に『獄中記』などがある。1900年没。

「2022年 『オスカー・ワイルド ショートセレクション 幸せな王子』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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