ねじの回転 (光文社古典新訳文庫 Aシ 6-1)

  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334752552

作品紹介・あらすじ

両親を亡くし、英国エセックスの伯父の屋敷に身を寄せる美しい兄妹。奇妙な条件のもと、その家庭教師として雇われた「わたし」は、邪悪な亡霊を目撃する。子供たちを守るべく勇気を振り絞ってその正体を探ろうとするが-巧緻きわまる構造から紡ぎ出される戦慄の物語。

感想・レビュー・書評

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  • 読みたかった本。立派な屋敷に家庭教師として雇われたわたし。奇妙な雇用条件に反し美しく素直な兄妹、邪悪な亡霊の出現と前任者のスキャンダルとものすごく煽る。のだがはっきりとわからないまま事態が進み唐突な結末に取り残された感。

  • まずは自画自賛から

    いやー面白かった
    そしてこの物語を面白いと感じられる自分、なかなかの読書人ではなかろうか

    非常に読む側の技量を試される物語だと思いました
    読む側の技量って何か知らんけども

    多くのことを読み手の想像力に委ねてくるんです
    それでいて空白が少ないんですね
    非常に緻密に計算しつくした上で必要最小限のことしか語ってないんですが、とてもたくさんのことが込められていて、読者はその想像力の及ぶ範囲で様々なことが読み取れる文章に感じました

    読む人によって怪奇物語であったり、謎解きミステリーであったり、恋愛物語であったりとくるくると姿を変える物語
    そしてそれは全て意図して書かれている
    さらに言えばいろんな人の感想を聞いてみたい物語でした

    短い物語なんで是非とも手に取って頂きたいなと思いました
    特に19世紀のイギリスの文化や階級社会なんかの歴史的背景に詳しい人が読んだらさらに色々なことが読み取れるんじゃないかと思い、またちょっと違う沼にはまりそうで恐いですw

    それにしても『光文社古典新訳シリーズ』凄いなこれ
    歴史に残る古典の名作を新訳で読むってことに完全に魅入られたてしまった気がします
    どんどん読むぞ、待ってろ光文社!

    • おびのりさん
      新潮文庫もどうぞ宜しく
      新潮文庫もどうぞ宜しく
      2023/02/19
    • ひまわりめろんさん
      なんの営業やねん
      新潮文庫はしおりひもがあるくらいしか魅力を感じない
      訳は光文社だね
      なんの営業やねん
      新潮文庫はしおりひもがあるくらいしか魅力を感じない
      訳は光文社だね
      2023/03/02
  • わー!わぁぁああーーー!
    読後、リアルに叫びました。そうなるのか!そうくるのかぁ!!
    世界観がゴシックホラーで、イギリスのあのじめっとしたそれでいて美しい田舎の空気感が感じ取れるので、大好物でした。
    言葉の使い方も絶妙で、ねじの回転が一回転でも多く回れば、そりゃぎりっと奥に押し込まれるよね!そんなふうに表現するの、すごいね!!って、驚きばっかり。
    気になる表現は山のようにあるし、平凡な自分には永遠に生まれないような言い回しにはただただ、感心するのみです。
    おもしろかった。もし、ラストネタバレされてたとしても、きっと同じように驚いて叫んでた気がします。

  • いまいちよくわからなかった
    評価が高い有名な本だから、自分の側の読解力の問題か
    どんな話なのかさえうまく噛み砕けなかった


    丁寧に再読。
    噛み砕けはした。
    ピーター・クイントとジェスル先生の幽霊からマイルズとフローラを守ろうとする家庭教師。
    家庭教師の妄想で、子どもたちやグロース夫人は主人公の家庭教師の異常性に恐れていると読めました。
    それにしては、マイルズ1人残して、グロース夫人とフローラは伯父のところに行くっていうのが何故そんなことするのか意味わからない
    最後もどういうこと?

  • 19世紀から20世紀にかけて活躍したヘンリー・ジェイムズ中期の傑作。ゴシックホラーの様式を借りながら、無意識や語られぬもの=幽霊を巡って狂わされていく家庭教師とその家の子供2人。
    Netflixでドラマ化されたように、単純にホラーとして読むことができる作品である一方で、怖いのは亡霊が出てくるからではなく、亡霊の出現を契機として破綻をきたしていく、家庭教師と2人の子供の顛末だろう。解説で言及されているように、それは19世紀末に登場したフロイト理論や心霊主義の影響を色濃く受けていて、どことなく亡霊によって狂わされていくマクベスを思い出させる。
    著者のヘンリー・ジェイムズのお兄さんは哲学者のウィリアム・ジェイムズであり、とんでもなく文化資本を持つ家に生まれた人。解説によると『鳩の翼』『大使たち』『金色の盃』が後半期における傑作小説も面白いようなので、入手して読みたいと思う。今作自体も再読すると新たな発見がありそうなので、機を見て改めて読みたい。

  • セクシュアリティ、階級、社会構造をいろんな視点から見て、いろんな解釈を読者に与えるような本だと感じた。
    面白かった。

  • 幽霊小説でありながらセクシュアリティが中心に描かれており、本当に起こったことを描いているかのように妙にリアルで興味をそそられる内容であった。

  • 宿泊者がクリスマスイブにを怪談を語る。一人が女性家庭教師の手紙を読む。手紙の中で女性は幽霊から子供たちを守ろうとしている。本当に幽霊はいるのだろうか?

  • 怪奇が起こる屋敷についての話だと思って読み始めたけど、だんだんこの語り手が恐れている亡霊は二人の子供たちに迫る「性の目覚め」を象徴するものなんじゃないか?という気がしながら読んだ。解説を読むに当たらずも遠からずというか、いろいろな解釈が可能であるように書かれた話のようで、怪奇の正体に思いをめぐらせて楽しんだ読者としては、書き手の狙ったとおりというところか。

    巻末の訳者あとがきが軽快で地味に楽しい。読みやすい訳文で、原文の難解さはだいぶ緩和されていたのでは。

  • 訳:土屋政雄、解説:松本朗、原書名:THE TURN OF THE SCREW(James,Henry)

  • うー。素敵な本だな。お屋敷に家庭教師として雇われた若い女。子供らの美しさ、住み込みの生活に満足するも、前任者の幽霊らしき物を見てしまう。あの二人は子供達を連れ去ってしまう!幽霊はいるんでしょうよ。描写も間違ってないようだし。そのストレスによる神経の揺らぎが話のメインであり、海の堤防が決壊するのを今か今かとハラハラするように、頼りない彼女の精神状態の描写が素晴らしかった。ナニー(子守り)のグロースさんがいい人すぎ。自分だったら主人公にキレる。

  • 光文社の新訳は読みやすいけど、古典的な翻訳の方でも読んでみようかなと思う。

  • 後半終盤にかけて少しは盛り上がるかな、具体的なことが詳らかにされるかな、と期待して我慢して読み進めた。が、しかし、曖昧なまま終幕。カタルシスを得られぬまま読了した。
    美しい兄妹である、少年マイルズと少女フローラ。ふたりはそれぞれ、城館の周囲に幻のように姿を見せる亡霊らしき男女から、影響を受けているらしい。亡霊の言うがままに操られているらしい。新任の家庭教師である「私」は、ほどなくそのことに気づく。また、亡霊の姿を見て戦慄する。亡霊はわりと繰り返して出現する。だが、まわりくどい表現が続き、もやもやする。心霊ものなら、恐がらせるなら、もっとはっきり語ってくれ!と苛立ちが募るのであった。

    「わたし」は、兄妹に対して、「亡霊」について直接言及することを恐れ、まわりくどいほのめかしを続ける。もどかしい。そして、「真実」が明らかにされぬまま、「わたし」の焦燥や恐怖が募るさまに、ふと、これは家庭教師たる「わたし」の思い込み、彼女は狂人なのでは? という気もしてくるのだった。

    さて、巻末の解説を読んで初めて、そうか成程…と思う部分が。
    1つは、少年少女を相手にした、暗示やまわりくどい駆け引きを駆使した、心理ゲームを描いた側面。これは、ヨーロッパ社会の伝統的な(旧来の)コミュニケーションのありようを描いたサブテーマだ、とする分析。
    2つめは、「亡霊」クイントは、身分の低い下劣な男として、恐怖と同時に蔑みの対象として描かれるが、これは、新しい産業社会の到来と共に勃興しつつあった下層階級の人間たちへの、階級的恐れを暗示している、とする批評だ。
    なるほど、そう言われると、そうかもしれない、という気もする。とすれば、本書が「恐いお話」とか「心霊もの」として巷間に流布された結果の、わたしの読み違えなのか。
    包み紙と中身が違う小説だった、という、これまたもう1つのモヤモヤである。 

  • 死者は生者を束縛する。ある者は永遠の情愛の対象として、またある者は尽きぬ憎悪の対象として。19世紀のイギリス、幼い兄妹が住まう屋敷に家庭教師として雇われた私が体験した怪奇譚は、会ったことのない死者の話に振り回され、語られぬ謎を多数残したまま唐突に物語は終わる。語られ切らぬ物語はだからこそ想像の余地を残し、それは死者のように私の中へ侵犯する。だからこそ、語り手の私は既に死者である必要があるのだがーええと、一言で表せば、残された者の死者に対する「ふざけんなよ!」という感覚、それを適切に表現していると思います。

  • いろいろなことが、オブラートに包まれて語られていく…
    時代的な背景があるからかな、と。

    マイルズが口にした、退学の原因とはなんだったのか。
    マイルズが、「わたし」に対して示した、「成長する」につれて起こる変化…
    「わたし」が雇用主に感じている感情などなど…

    不思議な話でしたが、最近目にした記事などで、いろんな方がこの本を取り上げていて、読まねば!と思っていたら、図書館の書棚で発見したもの。
    新訳版ですが、新潮社からも小川高義さんの新訳が出ているので、いつかチャレンジしたいです。

    いろんな側面から「取り憑かれた話」…と理解。
    ぐるぐるした展開が難解さにつながっているなあと感じたので3.8点ぐらい。でも、大好きな雰囲気を持つ作品でした。


  • 私には難解で、この本の魅力が分からなかった。
    読者に全て明らかにされることはなく、結局なに!?な結末は、読む人を選ぶのではないかなー。

  • 一見すると論理的に見えなくもないけれど、その実、決め付けと憶測による強行的な推測ばかり。あまりにもヒステリックな推論のオンパレードに、昔だったらいざ知らず、現代において幽霊説を唱えるのは厳しくないか?と思ったらここの感想でも幽霊説を唱えてる人が結構いて驚く。うーん。 あの映画とかあの映画を見てしまった後だとアイデアの新鮮味は感じられなくて残念ではあったけど、ラストシーン(ヒステリー説をとるなら圧殺だ)はダークな捻りが効いていい。

  • じりじりと不協和音を聞かされているような感覚。
    怪奇小説といいつつも、決して身の毛のよだつような恐ろしさはない。きっと何らかの精神世界のメタファーなんだろうなぁと思いつつ読み進めたが、それがはっきりと明示されるような表現があるわけではないから最後までいまいちすっきりせず。
    確かに解説でも書かれているように、性への目覚めを感じさせるところはあったけど、ならば最後のマイルズの死は何を意味するんだろう。

    語り口に惹かれず2時間半くらいでさくっと読んでしまったけど、じっくり何度も読み返していろいろなことに気づく作品なのだと思う。

    村上春樹の東京怪奇譚が思い出された。

  • R3/9/21

  • オチは今となっては珍しく無いが、神に背くゴーストやモンスターを祓って終わり!ハッピー!な内容ではない。脅威が迫ってきているのに上手く行かない、守る子供も邪悪な幽霊に魅了されている絶望的な状況が終始主人公の視点で展開されていく。100年以上前の作品とは思えないほど状況は分かりやすく書かれていて読みやすい。

  • 本当は岩波文庫だったけど表示されなかったので。
    表現が遠回しすぎて解説がないとわからない部分もあった。
    やっぱ教師がノイローゼ説に1票。

  • 亡霊ものなのだが、怖いというよりも忌避感や嫌悪感のほうが強い作品。しかもタイトルのようにグリグリと地味にメンタルをえぐりながら迫ってくるぶん、たちが悪い。この、読んでいてムカつく感じは、見目麗しく性格的にも愛らしい兄妹という存在が非常に有効的に使われているからに他ならない。うぬぼれと喪失にとどめを刺されて、読後はちょっとぐったりしてしまった。

  • 亡霊なんていなかった…?

  • 怪奇小説として有名な本作。怪談話をすることになった男性がすでに亡くなった知り合いの女性の手記を読みます。彼女は家庭教師先で幽霊と出会うのですが前半はとにかく彼女の懊悩ばかりで全く幽霊の怖さが伝わってこず、読みにくかったです。後半一気に話が動き始め、読むスピードも上がったのですが、たどり着いたラストシーンには驚愕しました。その後戻ったり読み返したりして、自分なりの答えを見つけましたが、読まれた方によってきっと違う解釈があると思います。これはきっちりした日本の怪談とは違う不安定さが魅力なのかもしれません。

  • 2012-9-21

  • サスペンスだろうか。
    1世紀以上前の小説だというのに、結末を握り続ける著者が妬ましい。
    訳もわかりやすく、いわゆる古典はこちらを頼ろう。

  • 出だしが面白い。いったいどんな話が、とそそられる。
    内容も最後まで読める。今とは価値観がが違うので、そこはちょっと障害。

  • ちょっと何言ってるかわからなかった。

    回りくどすぎてフラストレーション溜まった。

  • メモ:2017年8月27日新潮文庫にて新訳発売

  • # ねじの回転

    クリスマスの夜に怪談を語り合う会で、「わたし」はダグラスという男が、彼の妹の家庭教師であった女性の手記を読み上げるのを聞く。物語の本体は、この手記を「わたし」が書き直したものである。

    家庭教師が田舎の屋敷に赴任するとそこで二人の亡霊を目撃する。女中頭のグロースに特徴を伝えると、屋敷の従者と前任の家庭教師らしい。生徒の兄は学校を退学になって屋敷に戻ってきているが、兄妹とも亡霊が見えているのかはっきりしない。グロースにも見えているのか分からない。何しろ家庭教師の一人称なので、その辺がとても疑わしい。
    最後に兄は死んでしまうが、この兄が手記を読んだダグラスのはずなので、辻褄が合わない。「わたし」の創作部分なのだろうか。
    ダグラスは家庭教師に恋心を抱いていたという仄めかしもある。グロースの物言いは常に中途半端で何が言いたいか分からない。家庭教師が思い込んでいるだけとも考えられる。家庭教師は雇い主である兄妹の叔父に惚れているという読み方ができないこともない。
    そんな感じで多様に解釈できる要素がたくさんあるので、非常にもやもやする。
    独自の読み方をするのが好きであればよいが、答え合わせを望む僕のような読者にとっては消化不良感が否めない。

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著者プロフィール

Henry James.1843-1916
19世紀後半~20世紀の英米文学を代表する小説家。
主要作品に『デイジー・ミラー』、『ある婦人の肖像』、
『ねじの回転』、『鳩の翼』等。
映画化作品が多いが、難解なテクストで知られる。

「2016年 『ヨーロッパ人』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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