ソクラテスの弁明 (光文社古典新訳文庫)

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著者 : プラトン
制作 : 納富 信留 
  • 光文社 (2012年9月12日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334752569

ソクラテスの弁明 (光文社古典新訳文庫)の感想・レビュー・書評

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  • ・かつて岩波文庫の久保勉訳で読んだことがあるが、それよりも格段に読みやすい。もちろん格調高い久保氏の翻訳が果たした功績は尊重されるべきと思うが、教養主義の時代が終わった今、難解な哲学書を平易な日本語に訳しなおす時期にきているのだと思う。この新訳の誕生を素直に喜びたい。

    ・ただ、スラスラ読めてしまうだけに、ソクラテスの主張を「判ったつもり」になってしまうのが唯一の難点だ(「無知の自覚」を促したソクラテス先生に申し訳が立たない)。しかし、誤読・誤解しやすい箇所は訳者解説で丁寧に注意喚起されていて、訳文といい解説といい、本当に心が行き届いていると思う。

    ・原告からの死刑求刑に対して、被告人ソクラテスが「自分は何も悪いことはしていない。むしろ善いことをしたのだからメシを食わせろ」と放言するくだりなどは、とんでもなく滑稽な場面であり、喜劇的ですらある。思えば、ソクラテス裁判自体が、全体を通じて、ソクラテスが弁明すれば弁明するほど裁判員の反感を買って死刑に近づいていくという一種の喜劇的な構造を持っていることに、今さらながら気がついた。

    ・ソクラテスの死を単なる一面的な悲劇として取り上げるのではなく、多面的な悲喜劇として描き切ったプラトンの文学的力量は流石だ、とも思う。

  • プラトンの初期作。ソクラテスの没年が前399年で、この執筆時期が前390年だという。プラトンの師であるソクラテスが、アテナイの市民から不敬罪により訴えられて裁判にかけらた。その裁判において、原告や判事とのやり取りが描かれる。

    ソクラテスは死を恐れない。人間にとっての不幸とは肉体の死のことではなく、魂の死であると。自らの思想は神託であるとの信念から、毒杯をあえて仰ぐに至るまでの雄々しい彼の姿が描かれる。一般にきかされるソクラテスの生涯のポイントが、この作品で本人の口を通して語られている。

    このような場においても、ソクラテスはソクラテスであり、この「魂への配慮」があって、弟子のプラトンが生まれたのだとじっと考える。ソクラテスは思想家というよりは宗教家に近いかもしれないが、そのソクラテスの思想と信念をプラトンが体系化し、学園を築き教え説いたということが重要。いろいろと思い巡らす一冊。とっても読みやすかった。


    17.9.23

  • 読みやすく面白い哲学書。
    裁判に参加してるように話を聞ける。

  • 目次→訳者まえがき→本文の順で読み始めたところ、訳の言い回しがまわりくどいのか、原典がくどいのか、ソクラテスが何を言いたいのか良くわからない印象でした。
    でも、解説→本文の順で読み直したところ読めるようになりました。

    「徳について対話・吟味のない生は人間にとって生きるに値しないもの」と言い切るソクラテスはかっこいい。でも、吟味のために全てを切り捨てる必要があるのか?
    プラトンの他の著作も含めて哲学の歴史を辿ってみようと思います。

  • 昔学生のころ絶対に読んだのだが。(読んだことだけは
    覚えているのだが)全く覚えていないもので。
    大まかな内容は当然しっているのだが、詳細は全く
    思い出せなかってです。でもまた読めてよかったと思います。
    光文社のこの文庫シリーズは非常にいいと思うので、
    もっと多くの古典を新訳で発売してほしいと思います。

    ソクラテスの無知の(知)恥の本来の意味合いが、
    少しわかったような気がします。

  • プラトン著。本書で改めて知ったのだが、ソクラテス自身の著作でなく、弟子の1人であるプラトンがまとめたものである。
    前5世紀前半のアテナイの哲人・ソクラテスは「不敬罪」で告発され、死刑の宣告を受ける。その罪とは「ポリスの信ずる神々を信ぜず、別の新奇な神霊(ダイモーン)のようなものを導入すること」また「若者を堕落させることのゆえに、不正を犯している。」とされた。

    この告発を受けて、法廷の場で、被告人たるソクラテスは、裁判員の市民を前に、身の潔白を証明するための「弁明」を述べる。結果、ソクラテスは有罪の票決を受け、その後死刑が確定する。

    本書は、裁判に臨席したプラトンが、師ソクラテスの「弁明」を記録(または記憶し)これをまとめたものであるという。紀元前に書かれた書物であるが、生き生きとした言葉使いと臨場感で、カビくささを感じさせない。
    本書の肝は以下の2点であるように思う。
    ・当時の、真理追究に於ける限界だと思われるが、社会や科学の真理を追い求めることが、保守的な、あるいは前時代的な秩序を脅かすこと。その宿命、限界。ソクラテスの提示する新たな理念や真理が、ダイモーン的なるものと受け止められたのである。

    ・悪法も法なり、という思想であろうか。例え、その判断が誤りであっても、アテナイの市民による法制と、その下での票決に従うべきだ、とするソクラテスの意思。その潔さと、同時に、その不条理。

    ・ソクラテスは自ら提案する。死刑の代りの刑罰として「プリュタネイオン会堂での豪華な食事」。そのニュアンスはよく分からないが、おそらく大いなる皮肉と逆説であろうか。

    この光文社古典新訳文庫版では、60頁の詳細な解説が設けられている。(本篇は100頁程)。さらに30頁あまりの「プラトン対話篇を読むために」も附録。何らかの宿題・課題に取り組むひとには重宝するはず。

  • 哲学と言えば、高校の頃のY先生という数学教師がよく話をしてくれて、まさしく「知らないのに知っていると思っている」ことへの警鐘を鳴らしてくれていたことが思い返される。
    今読んで遅すぎるということはないだろうけど、もっと早くに出会っていたらよかった

  • 知を愛し求めるかぎり、人はより良く生きている。

    無知の知。
    人は「死」を知らないのに、なぜ恐れるのか。

    恐れはダークサイドの入り口。。。

  • フィロソフィア:「智を愛する」とはどういうことか。ソクラテスはその命を懸けて証明した。わかりやすい。





     ソクラテスも知識人らしく、他人の気持ちを読めない空気を読めないアスペルガーっぽい所があったっポイな。でも、他社に迎合しないその姿勢は、高潔で、勇気があるようで、強い意志を感じる。
     しかし、それだけでもなかったんだろうな。やっぱり対人関係が不自由だったんだろうな。でもそれゆえに死ぬことになった。


     ソクラテスが最も愚かと言ったのは、「無知の恥」
     知ったかぶりの人間ほど醜い物はない。「智識は無限」である。どんな知者でも、何でもは知らない。知っていることだけを知っているのである。羽川翼もそう言っている。持てる知識の多少をひけらかすのは愚か。謙虚に自分の知識を増やし続けること、学びを愛することが正しい態度。
     「無知の智」を自覚しよう。学び続けよう。


     

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ソクラテスの弁明 (光文社古典新訳文庫)の作品紹介

ソクラテスの裁判とは何だったのか?ソクラテスの生と死は何だったのか?その真実を、プラトンは「哲学」として後世に伝える。シリーズ第3弾。プラトン対話篇の最高傑作。

ソクラテスの弁明 (光文社古典新訳文庫)のKindle版

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