すばらしい新世界 (光文社古典新訳文庫)

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制作 : Aldous Huxley  黒原 敏行 
  • 光文社 (2013年6月12日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (433ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334752729

すばらしい新世界 (光文社古典新訳文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 未来小説の古典として1984と比較
    人間が機械と同等になる
    妊娠出産しない(フリーセックスと人工授精)
    宗教のない世界での支配者vsインディアン=野蛮人
    老いと死(の概念)がない世界で⇒自死という終末

  •  言わずと知れたディストピアの名作。最近読んだ『1984年』と比べると、あちらは「監視」が徹底しているのに対し、こちらは「管理」が徹底しているという印象を受けます。

     人間をあたかも工業製品のように製造し、その製品に一定の動作を行なわせることで、社会を安定的に運営するというのがこの物語の世界観です。

     管理されている人間たちは、あらゆる不快さから守られ、管理されながらただただ快楽を享受しています。いわば人間性のない生活なのですが、彼らはそれを楽しむように作られているのだから、幸せには違いありません。

     じゃあこの物語はめでたくおわりではないか。そう思ったときに現れるのが、優秀な欠陥品バーナードと、野蛮人ジョン。超管理社会の権化ともいえる世界統制官ムスタファ・モンドと彼らの問答は圧巻です。

     芸術や文化、宗教といったものを徹底的に排除し、ただひたすらに社会の安定性を追及していった結果うまれた社会。筆者が描くそのいびつな社会から、現代につながる技術と人間の問題が見えてきます。「やはり」と思うと同時に、その普遍性に戦慄もさせられる一冊。

  • 題名がシェイクスピアから引用しているとは思っていなかった。というかこの物語を通してジョンはほとんどのセリフをシェイクスピアから引用している。しかしジョンが言う「すばらしい新世界」はとても皮肉に満ちていて、いかにもなディストピア小説だ。
    この新世界の人々の描くユートピアには家族がなく、人は生まれつき人生のレールをひかれていて、宗教もなく、ソーマという快楽剤を服用することにより感情の起伏を抑えている。階級付けされた人々もそれに疑問を抱くことなく享受している。なんとも孤独で生きがいのない人生だなぁと思いながら、きっとハクスリーはそれを伝えたかったのだと確信した。また時代はこの新世界へ向かっていくことの危険さを警告しているように思えた。機関さえ整えば、人間は簡単にこの新世界の制度に染まってしまう。
    読んでて最も苦しかったのはリンダが亡くなる場面。病院というよりもむしろ収容所に入れられた患者は誰に看取られるわけもなく、孤独に死を迎える、そしてその死の間際に現れる同じ顔をした子供たち。残酷でグロテスクで、悪気がないところがさらにジョンを苦しめているのではないかと思う。

  • 安定か、芸術か

    冒頭の「すばらしき新世界」の仕組みについての説明書き、
    想像すると気持ち悪くなった。
    同じ人間同士でなぜあんなことができるんだろう
    こどもをうんだ後なので余計にそう感じた

    色々なことを知らない方が幸せでいられるってむずかしい

  • ここ最近のSFでは一番の当たりかも。

  • いわゆるディストピア小説。人間が大量生産される世界。社会に奉仕して生きることを条件付けされた世界。幸福の代償として科学と芸術と宗教を失った世界。自由を意図的に排斥した世界。
    出生から、才能から、経験から、そのような世界に疑問をもつものが現れる…。
    ディストピア小説に惹かれるのは、それが理性のハイエンドを描いているからかもしれない。

  • ディストピア小説とSFの境目はぼんやりとしているがこの作品は十分に「科学的」なのでSFの傑作といえる。1932年に書かれたこの作品の世界はすでに現在でちょっと形を変えて実現されている。あな怖ろし〜〜。

  • ❖古臭い印象はあるけれどそこそこおもしろく読んだ。同じディストピア(国家・社会の暗黒)を描いた『一九八四年』との対比より、モリスの牧歌『ユートピアだより』との近似を見る方が(逆説的に?)本作の本質は(歪も)明確になるような気もする。作品中盤から存在感がうすくなるが、バーナードの人物像はおかしかった。屈折してアウトサイダーぶっているかと思えば好機を得て俗気を露わにする・・ただの嫌なヤツである。物語の終盤(終幕)、野蛮人ジョンのたどる末路、彼を追いこむ狂気(狂躁)はそのまま現代を映していると思った。

    《西暦2540年。人間の工場生産と条件付け教育、フリーセックスの奨励、快楽薬の配給によって、人類は不満と無縁の安定社会を築いていた。だが、時代の異端児たちと未開社会から来たジョンは、世界に疑問を抱き始め…驚くべき洞察力で描かれた、ディストピア小説の決定版! 》(アマゾン紹介記事)。

    ●著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
    ハクスリー,オルダス
    1894‐1963。イギリスの作家。祖父、長兄、異母弟が著名な生物学者、父は編集者で作家、母は文人の家系という名家に生まれる。医者をめざしてイートン校に入るが、角膜炎から失明同然となり退学。視力回復後はオックスフォード大学で英文学と言語学を専攻し、D・H・ロレンスなどと親交を深める。文芸誌編集などを経て、詩集で作家デビュー。膨大な数のエッセイ、旅行記、伝記などもある

    ●黒原/敏行
    1957年生まれ。英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

  • 衝撃だ。

    書籍は新しければ良い訳ではないことを、改めて感じさせられた一冊だ。

    今から80年前に書かれた作品であることから、現在を詳細にイメージできていたかというと決してそうではない。

    詳細にイメージされているのは、人間の行動そのものだ。

    このイメージを読んでいくと、80年という時代が経過したにもかかわらず、人間の進歩はないのではないかと思ってしまう。そのことから考えると、もしかして進歩が必要だと思っている我々が可笑しいのかもしれない。

    日本では想像できない、気づいていない階層社会を、明確に記し、それにらについてどの階層が幸せで、不幸せであるかと言うことはないと記されている。

    非常におもしろい、変かがないと言うことは、多くの人にとって幸せなことであり、それを上記のように記しているのだろうかと思えた。

    何にせよ、この80年間を、そしてこれからの歴史を考える上でも読んでみると為になるSF作品だ。

  • 本屋で勧められていたので購入、光文社の古典新訳なので読みにくいかなと思っていたけどサクサク読めた。現在自分の生活する環境や体験にも通じるところがあったからだと思う。
    前半は事実を並べたように物語が進んでいくのかなと思ったが中盤から登場人物の人間性考え方や関係性が現れてとても面白かった。
    よく文中にシェイクスピアなどの引用がでてくるのでまた読んでみたいとおもったし、筆者高い知性が感じられた
    また、解説やあとがきは考え方がのっていたり丁寧に書いてあったのでおもしろかった。

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